Symptom こんな症状はありませんか?
睡眠薬とは|4つのタイプ・依存・安全なやめ方を横浜・関内の精神科医が解説
「眠れないんです」——診察室でそう言われたとき、私たちが最初にお聞きするのは、薬のことではありません。何時に布団へ入り、何時に目が覚めるのか。朝の光をいつ浴びているか。眠れない夜が、いつから、どんなふうに続いているのか。そのあたりを一通りうかがってから、ようやく薬の話になります。
それでも、つらい不眠が続けば、睡眠薬は現実的な選択肢です。同時に、「飲んだらやめられなくなるのでは」という不安も、多くの方が抱えています。その不安は、けっして考えすぎではありません。薬の種類によっては、実際に注意が必要だからです。
このページでは、睡眠薬にはどんな種類があり、どう効き、依存や副作用、安全なやめ方(減薬)をどう考えればよいのかを、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックが整理します。個々のお薬のくわしい解説は、それぞれの専門ページにまとめました。
眠れない夜が続いている方へ
みなとメンタルクリニックは関内駅から徒歩2分(桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分)。祝日以外は土日も診療し、平日は夜間まで診療しています。当日予約にも対応していますので、「今夜も眠れそうにない」という日にご相談ください。他院で長く処方されてきた方のご相談も受けています(お薬手帳をお持ちください)。
▶ WEB予約はこちら(当日予約可)/初めての方は初診の流れのご案内をご覧ください。
この記事の要点
- 睡眠薬は、医師と相談しながら正しく使えば、乱れた睡眠を整える助けになる
- 大きく4タイプあり、作用のしくみも、依存性・注意点の考え方も異なる
- 依存が心配されるが、オレキシン系・メラトニン系は依存が生じにくいタイプ
- ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系は必要最小限・短期間が基本。やめ方にも順序がある
- いちばん大切なのは、自己判断で急にやめず、医師と一緒に進めること
睡眠薬とは|眠りを取り戻すまでの「松葉杖」
睡眠薬は、寝つきを助けたり、睡眠を維持したりするために使うお薬の総称です。寝つけないのか、途中で目が覚めるのか、朝早く目覚めてしまうのか。不眠のかたちと、その背景にあるものを見たうえで、医師が種類を選びます。
睡眠薬は、不眠を一時的に支えるものです。生活習慣の見直しや、不眠の背景にある要因への対応とあわせて使うことが基本とされています。言いかえれば、松葉杖のようなもの。傷んだ足をかばって歩く助けにはなりますが、足そのものを治していくことも、同じくらい大切です。
不眠そのもの(症状・原因・受診の目安・薬を使わない対処)については、「不眠・睡眠障害について」のカテゴリでくわしく解説しています。このページは「お薬」に絞った入口です。
睡眠薬は、大きく4つのタイプに分かれます
いま使われている睡眠薬は、どのように眠りへ働きかけるかによって、大きく4タイプに整理できます。タイプが違えば、効き方も、依存性の考え方も、注意点も変わります。名前をすべて覚える必要はありません。「タイプごとに性格が違う」とだけ知っておいていただければ十分です。
① オレキシン受容体拮抗薬
脳を覚醒させる方向に働く物質(オレキシン)のはたらきをやわらげ、自然な眠りを促すタイプです。無理に眠らせるのではなく、目を覚まさせている力をそっと弱める、という発想のお薬になります。依存が生じにくいとされ、近年、処方が増えています。
該当するのは、デエビゴ(レンボレキサント)、ベルソムラ(スボレキサント)、クービビック(ダリドレキサント)、ボルズィ(ボルノレキサント)です。タイプ全体の解説は「オレキシン受容体拮抗薬とは」をご覧ください。
② メラトニン受容体作動薬
体内時計と睡眠リズムに関わる物質(メラトニン)のしくみに働きかけ、眠りに入りやすい状態を整えるタイプです。効き目はおだやかで、飲んだその晩に劇的に眠れる、という種類の薬ではありません。数週間かけてリズムが整っていく薬だとご理解ください。生活リズムが乱れている方や、依存を避けたい方に向きます。
該当するのはロゼレム(ラメルテオン)です。タイプ全体の解説は「メラトニン受容体作動薬とは」をご覧ください。
③ 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
脳の興奮をしずめる神経のはたらき(GABA)に作用し、寝つきを助けるタイプです。ふらつきなど一部の副作用を減らす目的で設計されましたが、作用するしくみ自体はベンゾジアゼピン系と同じで、依存や耐性のリスクがゼロになったわけではありません。ここは誤解の多いところです。
該当するのは、マイスリー(ゾルピデム)、ルネスタ(エスゾピクロン)、アモバン(ゾピクロン)です。タイプ全体の解説は「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは」をご覧ください。
④ ベンゾジアゼピン系睡眠薬
古くから使われてきたタイプで、効き目が続く時間の長さによって、さらに分かれます。寝つけない方には短く効くもの、夜中に目が覚める方には長めに効くもの、という使い分けです。効果は確実ですが、長く続けたときの耐性・依存には注意が必要で、必要最小限・短期間の使用が基本になります。
- 超短時間型:ハルシオン(トリアゾラム)
- 短時間型:レンドルミン(ブロチゾラム)/リスミー(リルマザホン)/エバミール・ロラメット(ロルメタゼパム)
- 中間型:サイレース(フルニトラゼパム)/ベンザリン・ネルボン(ニトラゼパム)/ユーロジン(エスタゾラム)
- 長時間型:ドラール(クアゼパム)
タイプ全体の解説は「ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは」をご覧ください。なお、同じ系統の薬は抗不安薬としても使われています。両方を服用している場合、体の中では同じしくみの薬が重なっていることになるため、処方内容の確認が必要です。
そのほかに使われる薬
本来は抗うつ薬であるトラゾドンなどが、眠りを助ける目的で使われることもあります。どのタイプが向くかは、不眠のかたち、年齢、体の状態、飲み合わせなどをふまえて決まります。「よく効くと聞いた薬」が、その方に合うとは限りません。
「一度飲んだら、やめられなくなる」のか
睡眠薬でもっとも心配されるのが、この点です。結論から言えば、タイプによって答えが違います。
オレキシン受容体拮抗薬とメラトニン受容体作動薬は、依存が生じにくいタイプと位置づけられています。一方、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系は、長く使い続けると体が薬のある状態に慣れ、急にやめると不眠がぶり返すこと(反跳性不眠)があります。だから、必要最小限・できるだけ短期間を基本とし、医師が経過をみながら調整します。
こうした考え方は、厚生労働省の情報や、日本睡眠学会などによる「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」でも示されています。依存の心配は「薬そのものが悪い」というより、使い方で大きく変わるものだ、とご理解ください。
当院では、向精神薬の多剤投与・大量投与・長期処方を可能な限り控える方針をとっています。お出しするときは、「いつまで使うか」「どうやめるか」まで見通しをお話ししてから始めます。始まりと終わりを、最初に決めておくということです。
副作用は、こわがるより「知っておく」
代表的なものとして、翌朝への眠気の持ち越し、ふらつき、注意力や集中力の低下が知られています。とくに高齢の方では、ふらつきによる転倒に注意が必要です。車を運転される方は、翌朝の状態を必ず主治医にお伝えください。
これらをお伝えするのは、不安をあおるためではありません。知っていれば防げるものが多いからです。副作用の出やすさや種類はタイプによって違います。「合わないかもしれない」と感じたら、それは診察にとって大切な情報です。自己判断でやめる前に、まずご相談ください。
くわしくは「睡眠薬の副作用と安全な使い方」で扱っています。
やめ方には、順序があります
睡眠が安定し、不眠の背景にあった要因が落ち着いてくれば、医師と相談しながら減らしていけます。はじめから「ずっと飲み続ける」と決まっているわけではありません。
ただし、急な中止は反動を招きます。自分でやめようとして眠れなかった夜を、「やはり自分は薬なしでは眠れない」という証拠だと受け取ってしまう方が、とても多い。その夜の眠れなさは、薬が必要な証拠ではなく、やめ方が急すぎた証拠であることがほとんどです。
少しずつ減らす、一段ごとに体が慣れるのを待つ、減らす時期を選ぶ。この地味な原則を踏めば、多くの場合、無理なく減らしていけます。具体的な進め方は「睡眠薬のやめ方・減らし方」でくわしく解説しています。
市販の「睡眠改善薬」との違い
ドラッグストアで買える睡眠改善薬と、医療機関で処方される睡眠薬は、成分も位置づけも異なります。市販薬は一時的な寝つきの悪さを対象とするもので、慢性的な不眠や、背景に病気がある不眠には適しません。
市販薬でしのぎ続けているうちに、背景にある不調が見過ごされてしまうことがあります。眠れない状態が1か月以上続いているなら、市販薬を足すより、一度ご相談ください。違いは「市販の睡眠改善薬との違い」で整理しています。
寝酒との併用は避けてください
アルコールと睡眠薬は、どちらも脳の同じブレーキに働きます。重なれば作用が強く出すぎ、危険な事態につながりかねません。飲んだあとの記憶が抜ける(健忘)リスクも跳ね上がります。
そもそもお酒は、寝つきをよくしても睡眠の後半を浅くするため、続けるほど不眠を悪化させます。くわしくは「睡眠薬とアルコール(お酒)の併用について」をご覧ください。
高齢のご家族が飲んでいる場合
年齢を重ねると、薬が効きすぎたり、翌朝に残りやすくなったりします。転倒、もの忘れ、せん妄には、とくに注意が必要です。より安全なタイプを、少量から慎重に使うことが基本になります。
ご本人よりご家族のほうが先に心配に気づくことも多く、その視点は診療の助けになります。「高齢者の睡眠薬」もあわせてご覧ください。
薬だけに頼らない——土台を同時に立て直す
睡眠薬は選択肢のひとつです。あわせて、起床時刻を一定にする、朝に光を浴びる、寝酒をやめる、カフェインを夕方以降は控える——こうした土台を整えることが、回復を支えます。実際、薬を減らせる方は、例外なくこの土台が固まっています。
もうひとつ大切なのが、背景です。不眠は、うつ病や不安症のサインとして現れることがあります。睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります(当院では自宅でできる検査に対応しています)。背景が手つかずのままでは、睡眠薬だけを足しても根は残ります。
いま飲んでいるお薬のことが気になっている方へ
「このまま飲み続けていいのか」「そろそろ減らしたい」——そのご相談だけでも構いません。関内駅から徒歩2分、土日も診療、当日予約に対応しています。
▶ WEB予約はこちら(当日予約可)
よくある質問
睡眠薬は、一度飲んだらやめられなくなりますか?
タイプによります。オレキシン系・メラトニン系は依存が生じにくいとされ、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系は必要最小限・短期間の使用が基本です。いずれも、減らすときは医師と相談しながら進めます。減らし方は「睡眠薬のやめ方・減らし方」をご覧ください。
睡眠薬を飲むと、認知症になると聞いて不安です。
この点については、はっきりした結論が出ていないというのが現状です。ただ、高齢の方では持ち越しの眠気やふらつき、もの忘れへの配慮が必要とされており、より安全なタイプを慎重に使うことが基本になります。心配なまま飲み続けるより、診察で具体的にご相談ください。「高齢者の睡眠薬」もご参照ください。
飲んでいるのに効きません。量を増やせばいいですか?
まず、増やす前に考えることがあります。不眠のかたちと薬のタイプが合っていないのか、体が薬に慣れてきているのか、背景の不調が動いているのか。原因によって手の打ち方が変わります。自己判断で追加せず、いつ、どう効かないのかを診察でお聞かせください。
翌朝に眠気が残ります。運転しても大丈夫ですか?
持ち越しの眠気がある状態での運転は避けてください。そして、その症状は薬の種類や飲む時刻を見直すサインです。効き目の短いタイプへの変更や、服用のタイミングの調整で改善することがあります。
市販の睡眠改善薬で、対応してはいけませんか?
市販薬は一時的な寝つきの悪さを対象とするもので、慢性的な不眠には適さないことがあります。眠れない状態が続くときは、自己判断で使い続けず、ご相談ください。くわしくは「市販の睡眠改善薬との違い」をご覧ください。
お酒を飲んでから、睡眠薬を使ってもいいですか?
避けてください。作用が強く出すぎる危険があります。寝酒そのものも睡眠の質を下げるため、おすすめできません。くわしくは「睡眠薬とアルコール(お酒)の併用について」をご覧ください。
他院で長年出されてきました。減らしたいと言い出しにくいのですが。
言い出して大丈夫です。むしろ治療上とても大切な情報です。当院でも、他院からの継続処方の見直しについてご相談を受けています。これまでの経過がわかるよう、お薬手帳や紹介状をお持ちください。
当院の特徴|関内駅2分・平日夜間診療・当日予約対応・女性医師在籍
みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分の通いやすい立地にあります。祝日以外は毎日診療し、平日は夜19時まで、土曜・日曜も診療しているため、お仕事帰りにも立ち寄っていただけます。当日のご予約にも対応しています(枠の状況によっては、ご希望に添えない場合もございます)。
できるだけ同じ医師が継続して診療し、お薬についても、必要性と見通しをご説明したうえで進めます。女性医師も在籍し、保険適用の心理検査にも対応しています。うつ病、不安症、不眠症、自律神経失調症、適応障害、発達障害など、こころの不調全般を診療しています。
横浜・関内で、睡眠のお薬にお悩みの方へ
睡眠薬は、正しく理解して使えば、不眠から抜け出すための心強い助けになります。「使うべきか」「やめられるか」という迷いも含めて、一緒に考えていけます。
眠れない夜が続くのは、それだけで消耗するものです。「薬を出してほしい」でも、「薬を使わずに眠れるようになりたい」でも、どちらのご希望でも構いません。まずは、いまの睡眠の状況をお聞かせください。
横浜・関内のみなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。祝日以外は毎日診療し、平日は夜間まで、土日も診療しています。当日のご予約にも対応しており、みなとみらいエリアからも通院しやすいクリニックです。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町エリアからもお越しいただけます。
「こんなことで受診していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。初めての方が緊張されるのは当然です。その一歩を、ていねいにお迎えします。
▶ WEB予約はこちら(当日予約可)/初診の流れのご案内
関連ページ
睡眠薬のタイプ別解説
- オレキシン受容体拮抗薬とは(デエビゴ・ベルソムラ・クービビック・ボルズィ)
- メラトニン受容体作動薬とは(ロゼレム)
- 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは(マイスリー・ルネスタ・アモバン)
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは(作用時間による違い)
使い方・やめ方・安全性
不眠そのものについて
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。