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メンタルコラム

第16回

こころの聴診器:子どもたちが巣立った後の虚しさ

百パーセント傾倒しないで、自分自身の生活を楽しもう

子どもたちを巣立たせたその後で・・・

A子さん(53歳)は、長女を結婚させ、次女の結婚式も済ませました。次女の披露宴が終わって新婚旅行の見送りをした後は、家でゆっくりしようと思っていました。ところが、家の中に子どもたちが誰もいなくて、夫と二人だけになってしまった状況が、ひしひしと迫ってきて、とても寂しい感情に襲われました。

子どもたちは私の元から去っていってしまった。もう、あれこれ世話を焼いてあげることもない。毎日、顔を合わせることもないし、話をすることもない。一緒にショッピングにも映画にも行けない。今晩のおかずは何にしようと子どもの顔を思い浮かべながら献立を考えることもない。あんなに大事に大事に慈しんで育てたのに・・・・・・。心にぽっかり穴が開いてしまったような感覚で、空虚な感じがたびたび起こるようになってきました。

朝の支度をして夫を仕事に送り出した後、A子さんは娘たちのアルバムを取り出し、娘たちの描いた絵や成績表や表彰状を眺め、娘たちが書いた作文を読み返して娘たちの思い出に浸るようになりました。

遊園地に行ったとき、「お母さん、まだ帰りたくない、もっと遊んでいたいよう」と言われたとき(もっと夜遅くまで思う存分遊ばせてあげればよかったなぁ)。

ああもできた、こうもできたと、次第に後悔の念にさいなまれるようになってきました。それと同時に、自分が悪かったのだという自責の念が強まってきました。

そして、夫が帰ってくるまで家で一人で、同じことを蒸し返しては考えて、後悔して、考えて、自分を責めてという繰り返しになっていったのです。

感情のコントロールがきかず、起きているのがおっくうに

1ヵ月たって、昼間、A子さんはあまり悲しくなくても勝手に涙が出て、一人で泣いて過ごすようになりました。気分は重苦しく最悪になり、動くこともおっくうで、横になっていることが多くなりました。

最低限の家事はしていましたが、もともと社交的な性格ではないので、誰にも相談せずにいました。唯一、隣県に住む姉に電話で話すくらい。姉はどれくらいA子さんが悩んでいるか分からないので、「くよくよ考えても過去のことだから、パートで働くとか、何かおけいこ事を始めるとかして、気分を発散したらどう?考え方を切り替えて、元気出して」と、A子さんのためを思ってアドバイスをくれました。

ところが言われたA子さんは、「そんなこと言われてもできる気分じゃない。しょせん、私のことは誰にも分ってもらえないのよ」という思いが強くなっていったのです。

良妻賢母の母親に多い「空の巣症候群」

A子さんのように、それまで子どもを育て、家庭を守ってきた良妻賢母型の主婦が、子どもの独立、結婚などをきっかけに体調を崩すケースが増えています。守るべき家庭、守ってきた家庭が空になったことで孤独感を抱えてうつ状態になることから、「空の巣症候群」と呼ばれています。

また、夫は仕事人間で忙しく、休みの日にも出掛けていたり、あるいは単身赴任中であったりするなど、夫との関係が希薄なことも、発症の要因になります。

本来ならば、子育てという大事業を無事に成し遂げて、達成感や安心感を手に入れてゆっくり伸び伸び休むべきところなのですが、そうはならずに、うつ状態に陥ってしまうのです。

母親を休業して自分のために楽しもう

休みの日でも、A子さんは寝ていることが多くなりました。夫もようやく、どこか変だなと気付くようになり、A子さんに受診を勧めました。

更年期の年齢だからと、まず内科と婦人科を受診。しかしどこも異常がないと言われ、精神科に受診することをアドバイスされました。

精神科での診断はうつ病でした。

医師はA子さんの話を十分に聞き、そのままA子さんの気持ちを受け止めてくれました。A子さんは、このお医者さんなら、私のことを批判したり否定したりしないで、安心して話をできる、私の苦しい思いも受け入れてくれると、ようやく安堵することができました。

医師から処方された抗うつ薬のおかげで後悔や自責の念や自虐的な考え方は少なくなり、テレビを見たり手紙を書いたりできるようになりました。

そして、すべてのことをもっとポジティブにとらえられるようになったと言います。公民館で開かれた講座に出席もしました。友達もでき、誘われて温泉旅行にも行きました。孫は遊びに来るし、下の娘も出産でもうすぐ帰ってきます。そして疲れたら気ままに休めばいいという気持ちにもなりました。

家族の形も家庭の状況も年を経るごとに変化していきます。子どもたちが巣立っていって、夫婦がお互いに年を取って、また二人だけの生活に戻る。今までは家庭のために百パーセントの力を傾けていたかもしれませんが、それを60パーセント、50パーセントにして、その分、自分自身の生活を楽しみましょう。

それに子どもたちは独立したといっても、まだ、母親の役割は終わったわけではないのです。

当院長が保健同人社「暮しと健康」に連載した「こころの聴診器」を転載したものです。
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