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メンタルコラム

第15回

こころの聴診器:介護に頑張り過ぎて

家族のために一人で頑張り過ぎると危険!

義母の介護に一生懸命だったA子さん

A子さん(45歳)は、75歳の認知症の義母の介護を約3年間続けています。亡くなった義父と仲むつまじかった義母。せめて思い出の多い自宅で、思いのまま好きな事をして余生を過ごしてもらおうと、介護に頑張っていました。

義母には物忘れという認知症の症状があり、「台所まで来たけれど、何のために来たんだろう」などと言うのはしょっちゅうでした。そのうち、「お財布がなくなった」「印鑑がなくなった」と言うようになりました。

最初のうちは、「あなたが盗ったんでしょう」と言われ、「どこかに置き忘れたんじゃないですか」と言ってしまい、さらに義母を怒らせることが再三ありました。たとえ相手が認知症でも、家族に疑われるのはいたたまれません。つい反論したくなるのが普通です。

しかしA子さんは、義母がそう言っても時間がたてば気にしなくなり、またいつものニコニコした義母に戻ることが分かったので、疑われても受け流すことにしました。

家族は夫と高校生と中学生の子どもと、義母。子どもたちは受験間近。あまり波風を立てるわけにはいきません。義母の細かい症状や、みんながいない間の言い争いなどは、黙っていました。そうしてA子さんは義母の受診、子どもの塾の送り迎え、進路相談や受験校の見学会など、家族のために大変忙しい日々を過ごしていました。

A子さんは辛抱していたのです。おそらく自分で想像する以上に我慢の度合いが限界点近くになっていたのでしょう。

家族の世話は私が頑張らなくちゃ

義母の認知症は進み、物忘れがさらにひどくなりました。いろいろな記憶が混乱しているようです。現在は隣県に嫁いでめったに来ない娘が、「今日、帰って来るから」と突然言い出していつまでも起きて待っていたり、駅まで迎えに行こうと家を飛び出したりすることが増えてきました。

それでもA子さんは一人で頑張っていました。家族の世話は自分一人でできるはず。主婦なんだから、母親なんだから、嫁なんだから、自分一人でやるべき。つらくなってきたのは、頑張りが足りないから・・・・・・。

こんな状態で、頑張りきれる人は、まずいません。

A子さんは、夜、眠れなくなってきました。

夜寝ないと頑張りがきかないからと、近所のかかりつけの内科で睡眠薬を処方してもらいました。そのときは薬を飲めば簡単に眠れたので、数回、飲んだだけでした。しかしその後1か月もたつと、急に動悸がしたり、汗をかいたり、さらに落ち着かなくなって部屋をうろうろするようになりました。テレビを見るのもイヤになり、言葉数も減りました。

うつ病の多くは、体の症状が先に表れます。代表的な症状は、眠れない、寝つきが悪い、眠りが浅いような気がする、朝早く目覚めてしまうなどの睡眠障害。そのほか、食欲不振、頭痛、便秘、疲労感などが見られます。

今ではうつ病に関して多くの情報が簡単に得られるので、この特徴は皆さんもご存じでしょう。しかし、実際には、「でも自分は大丈夫」と思っている方が多いのではないでしょうか。家族の世話や介護くらいで、うつ病にかかるはずはないと。

いつもの自分じゃない・・・・・・

それでも、A子さんは義母と夫と子どもの世話はしていました。しかし、内心、動きがのろくなった、ぎこちなくなった、元気がない、人と会うのがイヤだ、しゃべりたくない、笑わなくなった・・・・・・でも、介護しなくっちゃ、食事もしなくっちゃ・・・・・・これはもしかしたら、うつ病なのかもしれない、お医者さんに行かなくちゃ・・・・・・でも家族に心配かけたくないな、でも本当につらい、苦しい、イライラするし、不安だし・・・・・・薬が欲しい、診察を受けたい・・・・・・など、いろいろな考えが行ったり来たりしていました。

さぞつらかっただろうと思います。

そして半年もたったころ、突然、考えが急にすーとぬけていくような感じがして、「考えがなくなったら、その先、私はどうなるんだろう」と思って、すごく怖くなったそうです。電話をして、すぐに診てもらえる精神科クリニックを手当たり次第に探しました。

もうこの時期には、風邪で高熱を出したときのように手足の力が抜けて、一人で受診する自信もありませんでした。夫もA子さんの元気のないのに気付いていましたから、受診に付き添ってもらいました。

診断は、うつ病。十分な休養を取ること、無理をしないこと、と言われました。

一人で頑張らない、周囲に助けてもらうことが大切

うつ病は患者さん本人が病気に気付いたら、治るのは早いのです。A子さん処方された薬を飲むと、とても楽になりました。肩こりも背中の痛みもなくなり、筋肉がほぐれていく感じを実感しました。こんなことなら、もっと早く受診すればよかったと思いました。

地域包括支援センターのケアマネージャーに相談して、義母がデイサービスを受けられるように手配し、A子さんは何カ月かぶりで昼間、一人の時間をゆったり安心して過ごせるようになりました。

自分だけの時間を過ごしてみて、A子さんは今までの自分を振り返ってみたそうです。そこでようやく、自分はいかに頑張り過ぎていたか、几帳面で完璧を目指してしまっていたかに気付きました。

そんなに何から何まで頑張らなくていいんだ、困ったときには誰かに相談すればいいんだ、義母は私が元気になるまでデイサービスやショートステイを利用してもらえばいい。近所の人もヘルパーさんも助けてくれるし、そして、うつ病になったら、家族に話して、精神科に行けばいいんだ、ということが分かってきたのです。

家族のためだから頑張れるはず、というのは間違いです。愛情があるのだから辛抱できるはず、というのも間違いです。

介護には、介護者のゆとりや余裕が必要なのです。長く安定した介護を続けるためにも、つらい、悲しい、疲れる、悔しいなど、感情を素直に周囲に話すことが大切です。そして、一人で頑張るのではなく、「交替して」と言えるような、みんなで支え合って続ける介護を目指してください。

当院長が保健同人社「暮しと健康」に連載した「こころの聴診器」を転載したものです。
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