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2026/06/29
ザズベイ(ズラノロン)とは|14日間で完結する新しいうつ病治療薬を横浜・関内の精神科医が解説
「ザズベイという新しいうつの薬が出たと聞いた」「14日間だけ飲む薬とはどういうこと?」「これまでの抗うつ薬と何が違うの?」——ズラノロンについて、このような疑問を感じていませんか。まずは、この記事の要点です。
- セロトニンではなく、脳のブレーキ役GABAにはたらくまったく新しいタイプ
- 14日間の服用で完結する、期間を区切った治療
- 効果が数日で現れることがある——これまでの抗うつ薬にない速さ
- 主な副作用は眠気・ふらつき。服用中と終了後しばらくは運転できません
- 妊娠中は使えず、妊娠の可能性がある方は避妊が必要です
- 14日で終わるからこそ、「そのあとどうするか」を先に決めておきます
ザズベイ(一般名:ズラノロン)は、2025年に日本で承認された、これまでの抗うつ薬とは大きく異なるしくみをもつうつ病・うつ状態の治療薬です。SSRIやSNRIがセロトニンやノルアドレナリンのはたらきを調整するのに対し、ザズベイは脳のブレーキ役であるGABAのしくみに作用します。そして何より、決められた日数だけ飲んで終わるという、服用のしかたそのものが従来と違います。このページでは、ザズベイがどのようなお薬なのか、効果、副作用、使ううえでの注意点までを、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が解説します。
なお、ここでご紹介するのはお薬を理解していただくための一般的な情報です。実際に使うかどうかは、お一人おひとりの症状や体質、これまでの経過をふまえて医師が判断します。自己判断での服用・中止は避けてください。抗うつ薬全体のなかでの位置づけは「抗うつ薬(抗うつ剤)とは」もあわせてご覧ください。
新しい治療について相談したい方へ
みなとメンタルクリニックは関内駅から徒歩2分(桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分)。祝日以外は土日も診療し、平日は夜間まで診療しています。当日予約にも対応しています。これまでの経過がわかるよう、お薬手帳をお持ちください。
▶ WEB予約はこちら(当日予約可)/初めての方は初診の流れのご案内をご覧ください。
ザズベイ(ズラノロン)とは
ザズベイは、2025年に日本で承認された、うつ病・うつ状態の治療薬です。一般名はズラノロンといいます。
このお薬が注目されているのは、2つの理由からです。ひとつは、作用するしくみがこれまでの抗うつ薬とまったく違うこと。もうひとつは、飲み方の設計が根本的に違うことです。SSRIやSNRIが何か月も続けることを前提としているのに対し、ザズベイは決められた期間だけ飲んで終える、いわば「期間限定」の治療です。
どのように効くのか(作用の仕組み)
脳には、神経の興奮をしずめるGABA(ギャバ)というしくみがあります。GABAは「脳のブレーキ役」にあたる神経伝達物質で、この働きが弱まると、脳は休まらず、不安や緊張が続きやすくなります。
ズラノロンは、体の中でつくられる「神経ステロイド」と呼ばれる物質に似た構造をもち、このGABAのはたらきを強める方向に作用します。とくに、通常のGABAのやりとりだけでなく、神経のまわりに広く存在する受け皿にもはたらくとされ、脳全体の興奮しやすさを落ち着かせると考えられています。
セロトニンやノルアドレナリンを増やすのではなく、脳の興奮のバランスそのものを整え直す——これが、従来の抗うつ薬との根本的な違いです。
「14日間で終わる」という設計
ザズベイのいちばん大きな特徴は、飲み方です。1日1回、決められた日数だけ服用し、そこで終了します。何か月も続けるお薬ではありません。
この設計には、次のような意味があります。
- 始まりと終わりが最初から決まっている:「いつまで飲むのだろう」という不安が生じにくい治療です。
- 効果が早く現れることがある:数日のうちに変化を感じることがあり、従来の抗うつ薬(2〜4週間)に比べて立ち上がりが速いとされます。
- 服用が終わったあとも、効果が続くことが期待される:飲んでいる間だけ効く薬、という設計ではありません。
だからこそ「そのあと」を先に決めます
ここが実際の診療でいちばん大切な点です。14日で薬は終わりますが、うつの治療が14日で終わるわけではありません。
服用を終えたあと、どうするか——経過を見ながら通院を続けるのか、別の治療に移るのか、生活面をどう立て直すのか。それを、飲み始める前に一緒に決めておくことをおすすめします。「終わったら、そこで治療も終わり」と考えてしまうと、その後の変化に対応しにくくなるためです。
短期間で区切れることは大きな利点ですが、それは「区切ったあとの計画があってこそ」の利点です。
飲み方の注意
食後に飲みます
ズラノロンは、食事と一緒にとることで吸収が安定します。空腹時に飲むと、体に入る量が十分でなくなることがあるため、決められたタイミングで飲むことが大切です。
飲む時刻は夕方から就寝前
眠気が出やすいお薬のため、就寝前に飲むことが基本になります。日中に飲むと、そのまま活動できなくなってしまいます。
飲み忘れたとき
2回分をまとめて飲むことは避けてください。決められた日数のなかで飲むお薬なので、飲み忘れたときの対応は、あらかじめ確認しておくと安心です。
注意したい副作用
眠気・ふらつき(もっとも多い)
ザズベイで最も多い副作用が、眠気とめまい・ふらつきです。GABAのはたらきを強めるお薬なので、これは作用の延長線上にあるものです。
転倒に注意が必要で、とくに夜間に起き上がるときは、ゆっくり動くようにしてください。同居されている方がいる場合は、服用期間中であることを伝えておくと安心です。
★服用中と終了後しばらくは、運転できません
これは必ず知っておいていただきたい点です。ザズベイは、判断力や運転操作に影響することがあるため、服用している期間だけでなく、飲み終えてからしばらくの間も、自動車の運転や危険をともなう機械の操作ができません。
仕事で運転が必要な方、通勤に車を使う方は、この点をふまえて治療の時期を計画する必要があります。「いつから運転できるか」を必ず確認してから、服用を始めてください。始めてから知って困る、ということがないように、事前にご相談ください。
そのほか
頭痛、下痢、疲労感などが報告されています。また、抗うつ薬に共通する注意として、飲み始めの時期に不安や気分の波が現れていないか、注意して見ていきます。とくに24歳以下の方では、この点への配慮が必要です。ご家族にも見守っていただけると安心です。
妊娠・授乳を考えている方へ
この点は、ザズベイでとくに重要です。
妊娠中は使用できません。また、妊娠する可能性のある方は、服用中および服用終了後の一定期間、避妊が必要とされています。授乳中の方についても、慎重な判断が必要です。
妊娠を計画している方、妊娠の可能性がある方は、必ず事前にお伝えください。ほかの治療を選ぶという判断になることもあります。この点は、飲み始める前に必ず確認します。
飲み合わせ・生活上の注意
- アルコール:眠気やふらつきが強く重なるため、服用中の飲酒は避けてください。
- 睡眠薬・抗不安薬:どちらもGABAに作用するため、眠気が強まることがあります。併用している場合は、必ずお伝えください。
- 肝臓の酵素(CYP3A)に関わる薬:この酵素のはたらきを強く妨げる薬や、逆に強める薬と併用すると、効き方が変わることがあります。ほかに飲んでいるお薬は、市販薬やサプリメントも含めてお伝えください。
- 運転・危険をともなう作業:前述のとおり、服用中および終了後しばらくは行えません。
依存性についての考え方
ザズベイはGABAにはたらくお薬です。同じくGABAに作用する抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)では、長期使用による依存が問題になることが知られています。
ザズベイについては、そもそも短期間で終える設計であることが、この点への一つの答えになっています。長く飲み続けないため、依存が問題になる状況が生じにくいのです。とはいえ、自己判断で量を増やしたり、決められた期間を超えて使ったりすることは避けてください。
どんな方に検討されるのか
ザズベイは、うつ病・うつ状態に対して使われます。とくに、次のような場面で選択肢になることがあります。
- できるだけ早く症状をやわらげたい場合
- 長期に薬を続けることに強い抵抗がある場合
- これまでの抗うつ薬で十分な効果が得られなかった場合
一方で、運転が必要な生活をしている方、妊娠を計画している方、眠気が生活に大きく影響する方では、慎重な検討が必要になります。「新しいから良い」ではなく、その方の生活に合うかどうかで判断します。
効果の判断も、早く行います
従来の抗うつ薬では、効果の判定に2〜4週間かけます。ザズベイは効果の立ち上がりが速いぶん、判断も早く行えるという特徴があります。
服用のなかで手ごたえがない場合、期間が終わったあとに、別の治療へ切り替える判断をします。短期間で結果が見えることは、次の一手を早く打てるという意味でもあります。
治療の選択肢について相談したい方へ
関内駅から徒歩2分、土日も診療、当日予約に対応しています。「早く楽になりたい」「長く薬を飲みたくない」「これまでの薬が合わなかった」——どのご相談でも構いません。生活の事情もふまえて、一緒に考えます。
▶ WEB予約はこちら(当日予約可)
よくあるご質問(FAQ)
本当に14日で終わるのですか?
お薬の服用は、決められた期間で終了します。ただし、うつの治療そのものが終わるわけではありません。服用後の経過を見ながら、次の方針を一緒に決めていきます。
これまでの抗うつ薬と、どちらが良いのですか?
優劣ではなく、性質の違いです。長く続ける前提の抗うつ薬と、期間を区切るザズベイでは、向く場面が異なります。生活のかたちや、これまでの経過をふまえて選びます。
運転はいつからできますか?
服用中はもちろん、飲み終えてからもしばらくは運転できません。具体的な期間は診察でご説明しますので、服用を始める前に必ずご確認ください。仕事で運転が必要な方は、その事情を最初にお伝えください。
妊娠を考えているのですが、使えますか?
妊娠中は使用できず、妊娠の可能性がある方には避妊が必要です。妊娠を計画している場合は、ほかの治療を検討することになります。必ず事前にお伝えください。
眠気が強いのですが、量を減らせますか?
自己判断での調整は避けてください。眠気は多くの方に出る作用で、就寝前に飲むことで対応します。生活に支障が出るほどであれば、診察でご相談ください。
お酒を飲んでもいいですか?
服用中の飲酒は避けてください。眠気やふらつきが強く重なり、危険です。
当院の特徴|関内駅2分・平日夜間診療・当日予約対応・女性医師在籍
みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分の、通いやすい立地にあります。祝日以外は毎日診療しており、平日は夜19時まで診療しているため、お仕事帰りにも立ち寄っていただきやすい時間帯があります(土曜・日曜も診療)。当日のご予約にも対応していますが、枠の状況によっては、ご希望に添えない場合もございます。できるだけ同じ医師が継続して診療し、お薬についても、ご納得いただきながら進めることを大切にしています。女性医師も在籍し、保険適用の心理検査にも対応しています。うつ病、不安症、不眠症、自律神経失調症、適応障害、発達障害など、こころの不調全般を診療しています。
横浜・関内でうつの治療についてご相談ください
「新しい薬について知りたい」「長く薬を飲むことに抵抗がある」「これまでの治療で十分よくならなかった」——そうしたお気持ちは、一人で抱え込まず、まずはご相談ください。一人ひとりの状態や生活の事情をうかがいながら、無理のない治療を一緒に考えていきます。
横浜・関内のみなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。祝日以外は毎日診療し、平日は夜間まで、土日も診療しています。当日のご予約にも対応しており(枠の状況によります)、みなとみらいエリアからも通院しやすいクリニックです。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町エリアからもお越しいただけます。
「こんなことで受診していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。つらさも、お薬への不安も、我慢するものではありません。初めての方も、緊張されて当然です。私たちは、その一歩を、ていねいにお迎えします。
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関連ページ
系統・全体像
- 抗うつ薬(抗うつ剤)とは(全体像)
- SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とは
- SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)とは
- NaSSA(ミルタザピン)とは
- S-RIM(ボルチオキセチン)とは
- 抗うつ薬の減らし方・やめ方
関連するカテゴリ
参考文献・情報源
本記事の内容は、ズラノロン(ザズベイ)および抗うつ薬に関する以下の資料を参考にしています。用法・用量・副作用については、最新の添付文書・インタビューフォーム(IF)を出典としています。
- ザズベイカプセル(ズラノロン)添付文書・インタビューフォーム
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)|医薬品の適正使用に関する情報
- 厚生労働省|こころの健康・こころの病気に関する情報
- 日本うつ病学会|日本うつ病学会治療ガイドライン(大うつ病性障害)
- DSM-5-TR|アメリカ精神医学会による精神疾患の診断基準
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。