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2026/06/30

ストレスで体調が悪い。頭痛、胃痛、めまい――検査では「異常なし」、でも確かにつらいあなたへ

仕事のことを考えると、胃がきりきり痛む。大事な会議の前になると、決まって頭が締めつけられる。理由もないのに、ふっとめまいがして、足元が頼りなくなる。お腹を下しやすくなった。肩が、石のように張っている。――内科や、いくつもの科を受診して、検査も受けた。でも、返ってくるのは「異常ありませんね」「ストレスじゃないですか」という言葉ばかり。それなのに、症状は、確かにそこにある。「気のせい」と言われるたびに、自分の感じているつらさが、宙に浮いていくような心細さを、味わってこられたのではないでしょうか。

横浜・関内のみなとメンタルクリニックの外来にも、こうして「検査では異常がないのに、体の不調が続く」という方が、本当にたくさん来られます。まず、はっきりお伝えします。その症状は、気のせいでも、仮病でも、ありません。検査の数値に出ないことと、症状が存在しないことは、まったくの別ものです。ストレスが、はっきりと体に症状を出すことには、ちゃんとした体のしくみがあります。このページでは、なぜストレスで体調が悪くなるのか、どんな症状が出るのか、そして、どうすれば楽になっていけるのかを、診察室の語り口でお話しします。前回の疲れがとれない・ストレスで不調が続くあなたへで「疲れ」全体を扱いましたが、今回はその疲れが、体の具体的な症状として出ているとき、の話です。

「読むより先に、まず相談したい」という方へ。当院は関内駅から徒歩2分、土日も診療しており、当日のご予約も承っています。WEB予約はこちら、お電話は045-663-5925(診療時間内)へどうぞ。

「検査で異常なし」なのに、つらい――それには理由があります

いちばんつらいのは、症状そのものよりも、「異常なし」と言われて、行き場をなくしてしまうことかもしれません。「では、この痛みは何なのか」「気のせいだと言うのか」と。

でも、考えてみてください。緊張すると、心臓がドキドキする。恥ずかしいと、顔が赤くなる。怖いと、手が震える。これらは、誰にでも起こる、ごく当たり前の反応です。そして、これこそが、「心の状態が、確かに体に影響を与える」という、何よりの証拠です。心臓のドキドキを、心電図で異常として捕まえることはできません。でも、確かに起きていますよね。それと同じことが、もっと慢性的に、もっと深いところで起きているのが、ストレスによる体調不良です。検査は、臓器そのものの故障を調べるもの。けれど、ストレスの症状は、臓器が壊れているのではなく、臓器を動かす”調整”が乱れて起こるのです。だから、検査の網には、引っかからない。「異常なし」は、「つらさが存在しない」という意味ではないのです。むしろ、「臓器そのものは無事ですよ」という、安心材料でもあります。

なぜ、ストレスが体に症状を出すのか――自律神経のしくみ

ストレスが体に症状を出す、その中心にあるのが、自律神経です。少しだけ、体のなかをのぞいてみましょう。仕組みが分かると、「自分の心が弱いせいだ」という誤解から、自由になれます。

自律神経は、自分の意思とは関係なく、心臓、呼吸、胃腸、血管、体温などを、自動で調整している神経です。これには、活動・緊張をつかさどる交感神経と、休息・回復をつかさどる副交感神経があり、ふだんは、この二つがバランスをとりながら、体を絶妙に調整しています。

ところが、強いストレスが続くと、体は「危険に備えなければ」と判断して、交感神経を、過剰に働かせ続けます。すると、体のあちこちで、こんなことが起こります。血管が収縮し、筋肉が緊張して、頭痛や肩こりが起こる。胃腸の働きが乱れて、胃が痛んだり、お腹を下したりする。心臓が興奮して、動悸がする。血流やバランスの調整が乱れて、めまいやふらつきが起こる。――つまり、ストレスによる体の症状は、「危険に備えて、体を臨戦態勢にする」反応が、必要のない場面で、過剰に、慢性的に続いてしまった結果なのです。あなたの体は、壊れているのではありません。むしろ、ストレスに対して、けなげに反応しすぎているのです。この、検査に異常が出ないのに自律神経の乱れで多彩な症状が出る状態は、自律神経失調症とも呼ばれます。

ストレスは、体のどこにでも出ます

ストレスによる体の症状は、人によって、出る場所がさまざまです。同じストレスでも、ある人は頭に、ある人は胃に、ある人はめまいとして出る。これは、その人の体の「弱いところ」に、症状が出やすいためと考えられています。代表的なものを、見ていきましょう。心当たりはないでしょうか。

頭に出る――締めつけられるような頭痛、頭が重い感じ、頭がぼーっとする。緊張型頭痛は、ストレスによる代表的な症状のひとつです(詳しくは頭痛・肩こりがとれないのはストレスのせい?を)。胃腸に出る――胃の痛み、もたれ、食欲のむら、吐き気。お腹の張り、下痢や便秘をくり返す(過敏性腸症候群として知られる状態も、ストレスが深く関わります)。胃腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど、心の状態に敏感な臓器です(詳しくはストレスで胃が痛い・お腹の調子が悪いのは自律神経のせい?を)。胸や心臓に出る――動悸、胸の圧迫感、息苦しさ(詳しくは動悸がするのはストレスのせい?を)。頭や全身のバランスに出る――めまい、ふらつき、立ちくらみ、ふわふわする感じ(詳しくはめまい・ふらつきはストレスのせい?を)。筋肉に出る――肩こり、首のこわばり、背中の張り、あごの緊張。その他――のどのつまり感(ヒステリー球と呼ばれます)、手足のしびれや冷え、頻尿、発汗、倦怠感。

これらが、ひとつだけのこともあれば、いくつも重なって、日替わりのように現れることもあります。「あちこちに、ばらばらと症状が出て、内科をいくつ回っても原因がはっきりしない」――それ自体が、ストレスが体に出ているときの、典型的な特徴なのです。だからこそ、各科を回っても、原因にたどり着けないことが多いのです。こうした自律神経由来の症状を全体像から知りたい方は、自律神経失調症とは?もあわせてご覧ください。

「症状を気にする」ことが、症状を強くする悪循環

ストレスの身体症状には、もうひとつ、知っておいてほしい、やっかいなしくみがあります。それは、症状を気にすればするほど、症状が強くなる、という悪循環です。

たとえば、一度、動悸が気になりだすと、「また動悸がするのでは」と意識が心臓に集中します。すると、その不安そのものが交感神経を高ぶらせ、本当に動悸が強くなる。「やっぱりだ」とさらに不安になり、もっと気になる――この輪が、症状を育ててしまうのです。頭痛でも、胃痛でも、めまいでも、同じことが起こります。さらに、「重い病気が隠れているのでは」という不安が加わると、症状への注目はいっそう強まり、悪循環は深まります。これは、あなたが心配性だからではありません。体の感覚に意識が向くと、その感覚が増幅されるのは、人の脳に共通する、自然なしくみなのです。治療では、この悪循環の輪を、どこかでゆるめていくことが、大切な目標になります。動悸への恐怖が発作に育っていく場合は、パニック障害とは?もご参照ください。

まず大切なのは、「体の病気でない」と確かめること

ここは、とても大切なので、はっきりお伝えします。ストレスによる症状と決めつける前に、まず、体の病気が隠れていないかを確認することが、何より大切です。

頭痛の奥に、別の病気が隠れていることもあります。胃の痛みが、胃潰瘍やそのほかの病気のこともあります。めまいに、耳や脳の病気が関わることもあります。だから、これらの症状があるときは、まず内科や、必要な専門科(脳神経内科、消化器内科、耳鼻科など)を受診して、体の病気がないかを調べることが、出発点になります。そして、そうした検査で「異常なし」と確認できたなら、それは大きな安心材料です。そのうえで、なお症状が続くのであれば、背景にあるストレスや自律神経の乱れに、目を向けていく――この順番が、遠回りのようでいて、いちばん確実なのです。すでに「異常なし」と言われている方は、その検査結果が、これからの相談に、とても役立ちます。

今日から、自分でできること

できることから、ゆるく始めてみましょう。すべてを完璧にやろうとすると、それ自体がストレスになるので、ひとつふたつで十分です。

まず、「ゆっくり吐く呼吸」。交感神経が高ぶっているとき、息を長く吐くことを意識すると、休息モードの副交感神経が働きやすくなり、体の緊張がほどけます。吸うことより、吐くことを長く。これは、いつでもどこでもできる、いちばん手軽なセルフケアです。次に、体の緊張をゆるめること。肩や首に力が入っているのに気づいたら、いったんぎゅっと力を入れてから、ストンと抜く。お風呂でゆっくり温まるのも、筋肉の緊張をやわらげます。そして、睡眠のリズムを整える。起きる時間を一定にし、朝の光を浴びることが、乱れた自律神経を整える助けになります(眠りの問題が続く方は不眠・睡眠障害とはを)。カフェインを控えめにするのも、動悸や不安が強い方には効果的です。自律神経を整える生活習慣を、なぜ効くのかという理屈から詳しく知りたい方は、自律神経を整える生活習慣とは?にまとめています。最後に――症状から、少し注意をそらすこと。症状を監視するのをやめ、ほかのこと(散歩、好きな音楽、簡単な作業)に意識を向ける時間をつくると、さきほどの悪循環が、ゆるみやすくなります。

でも、我慢で抱えこまないでください

セルフケアは大切です。けれど、ここまで読んで、「もう、いろいろ試した」「それでも、つらい」と感じた方もいるかもしれません。もしそうなら、それは、あなたの体が、もう我慢の限界を超えて、悲鳴をあげているサインです。そして、それは、あなたが弱いからでは、決してありません。

ストレスによる身体症状を、我慢して放っておくと、症状がさらに悪化したり、気分の落ち込みが加わってうつ病につながったりすることもあります。抜けない疲れが前面に出ている場合は、休んでも休んでも、疲れがとれない理由休んでも疲れが取れない・常に疲れているあなたへもご覧ください。「体の症状」と「心の状態」は、一本の根っこでつながっているからです。とくに、心理的なストレスが、はっきりと体の症状になって現れる状態は、心身症とも呼ばれ、心と体の両面から見ていくことで、回復しやすくなります。「たかが頭痛」「たかが胃痛」と侮らず、長く続くなら、一度ご相談ください。

受診を考えてよい目安

  • 頭痛、胃痛、めまい、動悸などの体の不調が、2週間以上続いている
  • 内科などで検査を受けたが「異常なし」と言われ、それでも症状が続く
  • ストレスがかかる場面で、決まって症状が強くなる
  • 症状が気になって、仕事や家事、外出に支障が出ている
  • 「重い病気では」という不安が、頭から離れない
  • 体の不調に加えて、気分の落ち込みや、眠れなさも出てきている
  • 市販薬でしのいでいるが、よくならない

こうした状態が続いているなら、背景にあるストレスや自律神経の乱れに、目を向けてよい段階です。WEB予約はこちらからご予約いただけます(当日のご予約も承っています)。

よくある質問

検査で異常がないのに、本当にストレスのせいなのですか?

緊張で心臓がドキドキしたり、お腹が痛くなったりするように、心の状態は確かに体に影響します。検査は臓器の故障を調べるもので、臓器を動かす自律神経の”調整の乱れ”は、数値に出にくいのです。「異常なし」は症状が存在しない意味ではなく、「臓器そのものは無事」という安心材料でもあります。

何科を受診すればいいですか?

まずは症状に応じた科(頭痛なら脳神経内科、胃腸なら消化器内科など)で、体の病気がないかを確認することが大切です。そのうえで「異常なし」と言われ、それでも症状が続く場合は、背景にストレスや自律神経の乱れがあることが多く、精神科・心療内科での相談が役立ちます。

ストレスの自覚があまりないのですが、それでも体に出ますか?

はい。自分では「それほどストレスを感じていない」と思っていても、体が先に反応していることは、よくあります。まじめで我慢強い方ほど、ストレスを自覚しにくく、体の症状として現れやすい傾向があります。

薬を飲まないと治りませんか?

必ずしも薬が必要なわけではありません。生活リズムの調整や、ストレスとの向き合い方の整理で改善することもあります。症状が強い場合に、自律神経を整えるお薬や、つらい症状をやわらげるお薬を使うこともありますが、どこまで使うかは相談して決めます。

今日・明日など、すぐに受診できますか?

当院は当日のご予約にも対応しています(空き状況によります)。土日も診療、平日は夜19時まで対応しているので、お仕事帰りや週末にもご来院いただけます。WEB予約またはお電話(045-663-5925・診療時間内)でご確認ください。

当院でできること

当院では、まず、体の病気が隠れていないか(すでに検査済みなら、その結果も参考にしながら)を確認し、そのうえで、ストレスや自律神経の乱れ、気分の落ち込みなどが、どの程度関わっているかを、ていねいに整理します。お話をうかがいながら、症状を強めている悪循環をどうゆるめるか、生活のリズムをどう整えるか、必要なら自律神経の乱れや不安をやわらげるお薬も使いながら、回復を一緒に支えていきます。「気のせい」と片づけることは、決してありません。体に出ているつらさを、まるごと受け止めて、一緒に楽になる道を探します。

働く方の場合は、職場の負荷の調整についても、産業医の視点をふまえてご相談に応じます。仕事のストレスがつらい方は、仕事のストレスで限界を感じている方へ|産業医・休職・復職のご相談もご覧ください。

横浜・関内で、ストレスによる体の不調にお悩みの方へ

「気のせい」「ストレスでしょう」と言われ続けて、自分のつらさを、どこにも持っていけずにいた――そんなふうに、長いあいだ我慢してこられた方も、多いと思います。けれど、検査で異常の出ない体の不調にも、ちゃんと理由があり、そして、楽になっていく道があります。あなたの感じているつらさは、本物です。一人で抱え続ける必要は、もうありません。

みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅からも徒歩5分。横浜市中区・みなとみらいエリアからもお越しいただけます。土日も診療しておりますので、平日は時間が取りにくい方や、その日のうちに相談したい方にも、ご利用いただけます。「これは体の病気なのか、ストレスなのか分からない」――その段階で、まったく構いません。むしろ、その段階だからこそ、お話しする意味があります。どうぞ、お気軽にご相談ください。WEB予約はこちらから、ご不明な点はよくある質問もご覧ください。


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「ストレス・疲れ・なんとなく不調」シリーズ(全7回)


関連ページ


参考文献・情報源

  • 厚生労働省|こころの健康|ストレスとこころ
  • 厚生労働省|心身症・ストレス関連疾患に関する資料
  • 日本心身医学会|心身症の診断・治療に関する資料
  • 日本心療内科学会|ストレス関連疾患に関する資料
  • 日本精神神経学会|精神疾患の診断と治療に関する資料

この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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