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2026/07/01
睡眠薬の副作用と安全な使い方|種類別の注意点と7つの基本を横浜・関内の精神科医が解説
「睡眠薬に、どんな副作用があるのか知っておきたい」「安全に使うには、何に気をつければいいの?」「副作用がこわくて、飲むのをためらってしまう」——睡眠薬の副作用と使い方について、こうした不安をお持ちの方は、少なくありません。副作用を正しく知ることは、こわがるためではなく、安全に、安心して使うために役立ちます。まずは、この記事の要点です。
- 代表的な副作用は翌朝への持ち越し・ふらつき・前向性健忘など——多くは知って備えれば防げる
- 副作用の出やすさはお薬のタイプ・作用時間によって異なる(半減期が関係します)
- 安全に使う基本は①指示どおりに飲む②お酒と併用しない③自己判断で増減しない
- 近年は依存の少ないタイプが増え、より安全に使える選択肢が広がっている
- 気になる症状が出たら自己判断でやめる前に、まず主治医へ
睡眠薬は、正しく使えば、つらい不眠から抜け出すための、心強い味方です。一方で、どんなお薬にも副作用の可能性はあり、それを知らずに使うのは不安なものです。このページでは、睡眠薬の副作用の全体像と、安全に使うための考え方を、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックが、できるだけていねいに解説します。お薬のタイプごとの詳細は「睡眠薬とは(種類・作用・依存と安全なやめ方)」、やめ方は「睡眠薬のやめ方・減らし方」のページもあわせてご覧ください。
まず大前提|副作用を知ることは、こわがるためではありません
「副作用」と聞くと、不安になるのは自然なことです。けれど、副作用を知る目的は、お薬を避けるためではなく、上手に・安全に使うためです。どんな症状が、どんなときに起こりやすいかを知っておけば、多くは未然に防いだり、早めに気づいて対処したりできます。車の運転で、危険を知っているからこそ安全に運転できるのと、同じことです。
また、副作用は「必ず起こるもの」ではありません。同じお薬でも、まったく問題なく使える方もいれば、少し調整が必要な方もいます。多くの副作用は、量やタイミング、お薬の種類を調整することで、対応できます。大切なのは、「何かおかしいな」と感じたときに、我慢せず・自己判断せず、主治医に相談できることです。その前提として、この記事で全体像をつかんでいただければと思います。
睡眠薬の代表的な副作用
睡眠薬でみられる副作用を、代表的なものから順に整理します。タイプによって出やすさは違いますが、まずは「どんなものがあるか」を知っておきましょう。
翌朝への持ち越し(眠気・だるさ)
もっとも多いのが、翌朝や日中に、眠気・だるさ・頭が働かない感じが残ることです。これは、お薬の成分が翌朝までに十分に抜けきらず、作用が続いてしまうために起こります。そのため、体からゆっくり抜ける、作用時間の長いお薬(中間型・長時間型)で、起こりやすい傾向があります。仕事や運転に支障が出る場合は、作用時間の短いお薬への変更や、量の調整で改善できることが多いので、遠慮なくご相談ください。「朝がつらい」を我慢する必要はありません。
ふらつき・転倒
とくにベンゾジアゼピン系のお薬には、脳だけでなく、脊髄を通じて筋肉の緊張をゆるめる作用(筋弛緩作用)があり、ふらつきの原因になることがあります。夜中にトイレへ起きたときなどは、転倒に注意が必要です。転倒は、とくに高齢の方では骨折につながり、その後の生活に大きく影響することがあるため、軽視できません。ふらつきが気になる場合は、筋弛緩作用の少ないタイプ(オレキシン系・メラトニン系など)への変更も検討できます。
前向性健忘(服用後の記憶があいまいになる)
お薬を飲んだあと、眠りにつくまでの出来事の記憶が、あいまいになったり、抜け落ちたりすることがあります。これは、記憶を新しく刻む働きが、一時的に抑えられるために起こります。とくに、効きはじめの速いお薬や、お酒と一緒に飲んだ場合に、起こりやすくなります。「飲んだら、余計なことをせずすぐ布団に入る」「お酒と併用しない」ことで、大きく減らせます。
睡眠時随伴症(眠っている間の行動)
まれに、眠っている間に、無意識のうちに歩き回る・食べる・電話やメールをする・車を運転するといった行動をとり、翌朝それを覚えていない、ということが起こることがあります。頻度は高くありませんが、お酒との併用や、決められた量を超えた服用で、リスクが高まります。こうした症状に気づいたら(あるいはご家族が気づかれたら)、必ず主治医にお伝えください。
その他
お薬の種類によって、口の渇き、頭痛、めまい、悪夢・鮮明な夢、味覚の変化(一部の非ベンゾジアゼピン系で、苦味を感じることがあります)などがみられることがあります。多くは、体が慣れるとともに落ち着いたり、お薬の調整で対応できたりします。「これくらい我慢すべき」と思わず、気になることは何でもお伝えください。
タイプによって、副作用の出方は変わります
睡眠薬は、大きく分けていくつかのタイプがあり、それぞれ副作用の傾向が異なります。「睡眠薬」とひとくくりにされがちですが、中身はかなり違うのです。ご自身のお薬がどのタイプかは、各解説ページでもご確認いただけます。
ベンゾジアゼピン系
古くから使われてきたタイプで、効果は確かですが、ふらつき(筋弛緩)・前向性健忘・依存・耐性といった副作用に、比較的注意が必要です。とくに高齢の方では、転倒やもの忘れ、せん妄のリスクから、慎重に使われます。作用時間によって、超短時間型から長時間型まで幅があり、持ち越しの出やすさも異なります。
非ベンゾジアゼピン系(マイスリー・ルネスタ・アモバン)
ベンゾジアゼピン系より、筋弛緩によるふらつきなどが軽減されるように工夫されたタイプです。ただし、依存や前向性健忘、睡眠時随伴症のリスクがゼロではないため、油断は禁物です。ルネスタ・アモバンでは、成分が唾液に移行することで、口の中に苦味・味覚異常を感じることがあります。
オレキシン受容体拮抗薬(デエビゴ・ベルソムラ・クービビック・ボルズィ)
脳を広く抑え込むのではなく、覚醒を維持するしくみ(オレキシン)にそっと働きかける、新しいタイプです。依存や耐性が生じにくく、筋弛緩によるふらつきも比較的少ないとされます。副作用としては、翌朝の眠気、悪夢・鮮明な夢、頭痛などがみられることがあります。
メラトニン受容体作動薬(ロゼレム)
体内時計を整えるタイプで、依存が生じにくく、副作用も比較的少ないとされます。効果はおだやかで、「効いている実感」を感じにくいこともありますが、睡眠と覚醒のリズムを整える働きは着実です。すぐの効果を焦らず、続けることで整っていくお薬です。
とくに知っておきたい|依存・耐性とのつき合い方
睡眠薬の副作用のなかでも、多くの方が心配されるのが「依存」です。これについては、正しく理解しておくことが、安心につながります。
まず、依存や耐性(だんだん効きにくくなること)が生じやすいのは、主にベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系のお薬です。一方、近年増えているオレキシン系・メラトニン系は、依存が生じにくいとされています。つまり、「睡眠薬=必ず依存する」わけではありません。ここは、誤解されやすいところです。
そして、依存を防ぐうえで大切なのは、医師の指示のもとで、必要な期間・必要な量を守って使うこと、そして「出口(減薬・卒業)」を見据えて使っていくことです。国内の診療ガイドラインでも、睡眠薬を漫然と長く使い続けるのではなく、症状が落ち着いたら減薬・休薬へ向かう「出口を見据えた治療」が大切とされています。自己判断で量を増やしたり、漫然と長く飲み続けたりすることが、依存につながりやすくします。逆にいえば、医師と相談しながら計画的に使えば、過度に恐れる必要はありません。
もし依存が気になる状態になっても、時間をかけて安全に減らしていけます(くわしくは「睡眠薬のやめ方・減らし方」をご覧ください)。「依存がこわいから飲まない」と不眠を我慢し続けることが、かえって心身の負担を大きくすることもあります。安全なタイプを選んで適切に使うほうが、結果的に回復への近道になることも多いのです。
安全に使うための、7つの基本
睡眠薬を安全に使うために、守っていただきたい基本的なポイントをまとめます。どれも、副作用や事故を防ぐうえで、大切なことです。
- ①医師の指示どおりに飲む:量・タイミングは、効果と安全に直結します。指示された飲み方を守ってください。とくに、飲むタイミングに注意が必要なお薬(食後を避けるものなど)もあります。
- ②飲んだら、すぐに休む:服用後は、あれこれ用事をせず、布団に入りましょう。前向性健忘や、思わぬ行動(睡眠時随伴症)を防げます。
- ③お酒と一緒に飲まない:アルコールとの併用は、作用が強まりすぎ、記憶障害・呼吸抑制・転倒などの危険を高めます。もっとも避けたい組み合わせです(くわしくは「睡眠薬とアルコール」のページを)。
- ④自己判断で増やさない・やめない:効かないからと勝手に増やすのも、よくなったからと急にやめるのも、危険です。急な中止は、かえって強い不眠(反跳性不眠)を招きます。調整は必ず主治医と。
- ⑤服用後の運転・危険な作業を避ける:翌朝に眠気が残ることもあります。運転が必要な方は、事前にご相談ください。
- ⑥ほかの薬・持病を必ず伝える:飲み合わせや持病によって、使えるお薬・注意点が変わります。とくに、一部の睡眠薬は、特定のお薬と併用できないものもあります。お薬手帳の活用を。
- ⑦「出口」を意識して使う:睡眠薬は、ずっと飲み続けるものではありません。回復したら減らしていく、という前提で、医師と一緒に使っていきましょう。
こんな症状が出たら、主治医に相談を
次のような症状に気づいたら、自己判断でやめてしまう前に、まず主治医にご相談ください。多くは、量の調整やお薬の変更で対応できます。
- 日中の眠気・だるさが強く、生活に支障が出ている
- ふらつき・転倒が増えた
- 飲んだあとの記憶が、たびたび抜け落ちる
- 眠っている間の行動を、家族から指摘された
- もの忘れや、頭の混乱がある(とくに高齢の方)
- 効きが悪くなり、量を増やしたくなっている
- 悪夢や、つらい夢が続く
「こんなことで相談していいのだろうか」と、ためらう必要はありません。副作用に気づいて相談していただくことは、安全な治療に欠かせません。むしろ、早めに教えていただけると、より良い形に調整できます。相談は、迷惑でも大げさでもありません。
よくある質問
睡眠薬は、こわい薬なのでしょうか?
正しく使えば、過度にこわがる必要はありません。副作用の可能性はありますが、多くは知って備えれば防げるもので、近年は依存の少ない安全なタイプも増えています。大切なのは、医師と相談しながら、適切に使うことです。こわさより、眠れないつらさを放置するデメリットのほうが大きいこともあります。
副作用が出たら、すぐにやめてもいいですか?
自己判断で急にやめるのは、避けてください。とくに長く使っているお薬では、急な中止で反動(強い不眠や離脱症状)が出ることがあります。つらい副作用があるときも、まず主治医にご相談ください。安全な形で、調整や変更ができます。
長く飲んでいても、体に害はありませんか?
適切に使っていれば、過度に心配する必要はありませんが、漫然と長期に使い続けるのは望ましくありません。定期的にお薬を見直し、減らせるタイミングを一緒に探っていくことが大切です。当院では、そうした見直しも含めて診療しています。
副作用の少ない睡眠薬に変えられますか?
はい、可能です。依存やふらつきが気になる場合、より安全性の高いタイプ(オレキシン系・メラトニン系など)への切り替えを検討できます。今の症状やご希望をふまえて、一緒に考えますので、ご相談ください。急な切り替えではなく、無理のない形で進めます。
市販の睡眠改善薬なら、副作用は少ないですか?
市販の睡眠改善薬(抗ヒスタミン薬)にも、翌日への持ち越しや口の渇き、高齢の方ではせん妄などの副作用があります。「市販だから安全」とは限りません。くわしくは「市販の睡眠改善薬との違い」のページもご覧ください。
家族が睡眠薬を飲んでいます。何に気をつけて見ればいいですか?
日中の強い眠気、ふらつき、もの忘れの増加、夜間のつじつまの合わない言動などに気づかれたら、主治医にお伝えください。とくに高齢のご家族の場合、こうした変化がお薬の影響のこともあります。ご家族からの情報は、安全な調整にとても役立ちます。
当院の特徴|関内駅2分・平日夜間診療・当日予約対応・女性医師在籍
みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分の、通いやすい立地にあります。祝日以外は毎日診療しており、平日は夜19時まで診療しているため、お仕事帰りにも立ち寄っていただきやすい時間帯があります(土曜・日曜も診療)。当日のご予約にも対応していますが、枠の状況によっては、ご希望に添えない場合もございます。できるだけ同じ医師が継続して診療し、お薬についても、ご納得いただきながら、副作用の心配にも寄り添いながら進めることを大切にしています。女性医師も在籍し、保険適用の心理検査にも対応しています。うつ病、不安症、不眠症、自律神経失調症、適応障害、発達障害など、こころの不調全般を診療しています。
横浜・関内で、睡眠薬についてご相談したい方へ
「睡眠薬の副作用が心配」「今の薬が合っているか診てほしい」「副作用の少ないタイプに変えたい」——どんなことでも、不安や希望をそのままお聞かせください。副作用を正しく知り、安全に使えば、睡眠薬はつらい不眠から抜け出す助けになります。あなたに合ったお薬を、安心して使えるよう、一緒に整えていきましょう。
横浜・関内のみなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。祝日以外は毎日診療し、平日は夜間まで、土日も診療しています。当日のご予約にも対応しており(枠の状況によります)、みなとみらいエリアからも通院しやすいクリニックです。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町エリアからもお越しいただけます。
「こんなことで受診していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。眠れないつらさも、お薬への不安も、我慢するものではありません。初めての方も、緊張されて当然です。私たちは、その一歩を、ていねいにお迎えします。
関連ページ
睡眠薬の使い方・安全性
- 睡眠薬とは(種類・作用・依存と安全なやめ方)
- 睡眠薬のやめ方・減らし方
- 睡眠薬とアルコール(お酒)の併用について
- 高齢者の睡眠薬
- 市販の睡眠改善薬との違い
タイプ別の解説
- オレキシン受容体拮抗薬とは(デエビゴ・ベルソムラ・クービビック・ボルズィ)
- メラトニン受容体作動薬とは(ロゼレム)
- 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは(マイスリー・ルネスタ・アモバン)
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬とは
不眠そのものについて
- 不眠・睡眠障害について
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。