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2026/08/12
眠れないまま働き続けていませんか|どこからが休職を考える不眠かを横浜・関内の精神科医(産業医)が解説
眠れない日が続いているけれど、休むほどではない気がする。でも、この状態がいつまで続くのかも分からない。どこかに線があるなら知りたい——。
そう考えて調べておられる方に向けて、判断の材料をお示しします。横浜市中区・関内で精神科・心療内科を診療し、産業医としても働く立場から、不眠のどのあたりが「相談してほしい段階」なのかを、具体的なサインとして整理しました。
ご自分の位置を確かめる目安としてお使いください。当てはまったからといって、すぐに休職ということではありません。まず知っていただき、必要なら相談する。その順序で十分です。
不眠の重さは、眠れた時間では測りません
「何時間眠れていないと危険ですか」というご質問をよくいただきます。実は、時間だけでは判断できません。
必要な睡眠時間には個人差があり、5時間で足りる方も、8時間必要な方もいます。同じ5時間でも、問題ない方と限界に近い方がいます。
診察で見ているのは、次の三つです。
1. どのくらい続いているか
数日の寝不足と、数か月続く不眠はまったく別のものです。期間の長さは、それ自体が重要な情報になります。
2. 日中にどう影響しているか
ここが中心です。眠れなくても日中が普通なら、それほど心配はいりません。逆に、時間としては眠れていても日中の機能が落ちているなら、対応が必要です。
3. 休むと回復するか
週末に休んで戻るなら、まだ余力があります。休んでも戻らない、あるいは休むとかえって崩れる場合は、段階が進んでいると考えます。
迷っている段階でご相談ください
みなとメンタルクリニックは、JR関内駅・横浜市営地下鉄関内駅から徒歩圏、みなとみらい線馬車道駅、JR桜木町駅からもお越しいただける横浜市中区の精神科・心療内科です。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています。お仕事帰りにもお立ち寄りいただけます。
「休むほどではないと思うのですが」という前置きは不要です。線を引くのは、こちらの仕事です。
段階別に見てみましょう
目安として、四つの段階に分けてご説明します。きれいに分かれるものではありませんので、近いところを探す感覚でご覧ください。
第1段階——しばらく様子を見てよい範囲
- 眠れない夜があるが、週に1〜2回程度
- 翌日は眠いが、仕事は普段どおりできている
- 週末に休むと回復する
- 忙しい時期など、きっかけがはっきりしている
この段階なら、生活のなかで整えられることが多くあります。就寝と起床の時刻を一定にする、朝に光を浴びる、寝る前のカフェインやお酒を控える、布団のなかでスマートフォンを見ない。まずはそのあたりから試してみてください。
第2段階——早めに相談したい範囲
- 眠れない夜が週の半分以上ある
- それが1か月近く続いている
- 日中に眠気が強く、集中が続かない
- 週末に休んでも、疲れが取れた感じがしない
- 仕事のミスが以前より増えた
- いらいらしやすくなった、あるいは涙が出やすくなった
- 夕方になると「今夜も眠れないのでは」と不安になる
この段階でご相談いただけると、比較的短い期間で整えられることが多くあります。ここがいちばん来ていただきたいタイミングです。休職せずに、働きながら治療を進められる可能性も高い段階です。
第3段階——休むことを具体的に考えたい範囲
- ほとんど毎晩眠れない状態が、1か月以上続いている
- 朝、起き上がるまでに以前の何倍も時間がかかる
- 出勤の準備がつらく、遅刻や欠勤が出はじめた
- 仕事の内容が頭に入らず、同じ作業を何度もやり直している
- 人と話すのが負担で、会議や電話を避けている
- 食欲が落ちた、体重が変わった
- 気分の落ち込みや、何をしても楽しめない感じが出てきた
- 休日は寝て過ごすだけで終わってしまう
- お酒を飲まないと眠れない日が増えた
この段階では、働きながらの回復は難しいことが多くなります。負荷を下げないかぎり、眠りだけを整えるのは難しいためです。休職を含めた選択肢を、具体的に検討する時期といえます。
できるだけ早くご相談いただきたいとき
- 運転中や作業中に、危ないと感じた場面があった
- 記憶が抜けている時間がある
- ほとんど一睡もできない夜が何日も続いている
- 「消えてしまいたい」という考えが浮かぶ
- 自分でも「もう持たない」と感じている
最後の項目は、いちばん確かな目安です。ご自分でそう感じているなら、たいていそのとおりです。
すぐに話したいときは、次の窓口もご利用いただけます。
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」(SNS相談などの窓口一覧)
- 命に関わる危険があるときは119番
見落とされやすいサイン
ご自分では気づきにくく、あとから振り返って「あれがそうだった」と分かるものを挙げておきます。
頭のはたらきの変化
簡単な計算を間違える。人の名前がすぐに出てこない。メールを何度も読み返さないと意味が取れない。同じことを二度尋ねてしまう。今日やることの順番が決められない。
こうした変化は、疲れているだけと片づけられがちです。頭の回りにくさについては頭がぼんやりする・考えがまとまらない(brain-fog-slow-thinking)もご参照ください。
仕事のやり方の変化
確認の回数が増えた。作業に以前の倍の時間がかかる。チェックリストがないと不安。人に頼めなくなった、あるいは逆に何も手につかない。
ミスや集中の低下については仕事のミスが増える・集中できない(work-mistakes-poor-concentration)にまとめています。
生活の縮小
誘いを断るようになった。趣味に手が伸びない。休日は横になっているだけ。身のまわりのことが後回しになる。髪を切る、洗濯をするといったことが億劫になる。
生活の範囲がじわじわ狭くなっていくのは、分かりやすいサインの一つです。
周囲が先に気づくこと
顔色、口数の減少、表情の乏しさ、反応の遅さ。ご自分では自覚しにくく、周囲のほうが先に気づくことがよくあります。誰かから指摘されたら、それを一つの情報として受け取ってみてください。
安全に関わるサインは、別に扱ってください
ここだけは、段階に関係なくお伝えしておきます。
睡眠が不足した状態での運転や作業は、事故の危険が明らかに高まります。とくに次のようなことがあったときは、早めにご相談ください。
- 運転中に一瞬意識が飛んだ、気づいたら車線がずれていた
- どうやって職場に着いたか覚えていない
- 機械の操作や高所作業で、ひやりとした場面があった
- 医療・介護・保育など、人の安全に関わる場面で判断を誤りかけた
これは責任感の問題ではなく、ご自身と周囲の安全の問題です。我慢して続けることが誠実さにはなりません。
記録をつけてみると、はっきりします
ご自分の状態は、記憶だけでは正確に把握できません。2週間ほど、簡単な記録をつけてみてください。書くのは次の四つだけで十分です。
- 布団に入った時刻
- だいたい眠れた時間
- 日中の調子(○△×の三段階で構いません)
- その日あったこと(一行)
並べてみると、思っていたより悪いことに気づく方が多くいらっしゃいます。受診の際にも、これがあると診察が早く進みます。スマートフォンのメモでも、手帳でも構いません。
迷ったときの、シンプルな目安
細かい基準を覚えていただく必要はありません。次のどちらかに当てはまれば、相談の時期だとお考えください。
ひとつ、眠れない状態が2週間以上続いていて、日中の生活に影響が出ている。
ふたつ、休んでも回復しない。
この二つは、多くの不眠の判断に共通する目安です。逆にいえば、これに当てはまらなければ、しばらく様子を見ても大きな問題にはなりにくいということでもあります。
相談したら、どうなるのでしょうか
受診したら必ず休職になる、というものではありません。実際には次のような幅があります。
- 生活の調整と経過観察で様子を見る
- 治療を始めながら、働き方を調整する(残業の制限、夜勤の免除など)
- 有給休暇でまとまった休みを取り、回復を確かめる
- 休職して集中的に回復を図る
どれを選ぶかは、状態とご本人の事情を踏まえて一緒に決めます。休職の考え方は不眠だけで休職はできる?(insomnia-leave)、診断書については不眠で診断書は出る?(insomnia-medical-certificate)をご覧ください。
ご家族・上司の方へ
周囲から見て気になるのは、次のような変化です。
- 表情が乏しくなった、口数が減った
- 遅刻や欠勤が出はじめた
- ミスが増え、以前ならしなかった間違いをしている
- 身だしなみに変化が出た
- 反応が遅く、聞き返すことが増えた
声をかけるときは、「大丈夫?」よりも事実を尋ねるほうが届きやすいものです。「最近、眠れてる?」「何日くらい続いてる?」。そのうえで、「一度診てもらったら」と判断を医療に預ける形で勧めていただけると、ご本人も動きやすくなります。
ご本人の「大丈夫」は、そのまま信じすぎないでください。眠れていない状態では、自分の状態を実際より軽く見積もる傾向があります。ご家族だけでのご相談も承っています。
よくあるご質問
何時間眠れていないと受診の対象ですか
時間では決まりません。日中に影響が出ているかどうかが目安になります。時間としては眠れていても、休まった感じがしないなら相談の対象です。
市販の睡眠改善薬で何とかしています
短期間であれば選択肢の一つですが、常用が続いている場合は一度ご相談ください。眠りの質そのものは上がりにくく、背景にある要因も見つかりません。睡眠薬について(sleeping-pills)もご参照ください。
お酒で眠っています
寝つきはよくなりますが、夜半以降の眠りが浅くなり、続けるほど眠りは悪化します。量が増えている場合は、早めにご相談ください。
忙しくて受診の時間が取れません
当院は土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています。お仕事帰りにもお越しいただけます。詳しくは会社帰りに通える心療内科(clinic-after-work)をご覧ください。
まだ第2段階だと思うのですが、行ってもいいですか
むしろ、その段階でお越しいただくのがいちばんよい形です。整えやすく、休職せずに済む可能性も高くなります。
関連ページ
- 不眠だけで休職はできる?(insomnia-leave)
- 不眠で診断書は出る?(insomnia-medical-certificate)
- 「たかが不眠で休むなんて」と思ってしまう方へ(insomnia-not-laziness)
- 限界が近いと感じたら(reaching-your-limit)
- 働きすぎと疲れ・眠れなさ(overwork-fatigue-sleep)
- だるさ・疲れが取れない(constant-fatigue-lethargy)
- 頭がぼんやりする・考えがまとまらない(brain-fog-slow-thinking)
- 仕事のミスが増える・集中できない(work-mistakes-poor-concentration)
- 睡眠薬について(sleeping-pills)
- 会社帰りに通える心療内科(clinic-after-work)
- 初診の流れ・当日予約について(first-visit-guide)
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。