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2026/06/23
心療内科と精神科の違いは?どちらを受診すればいいかを横浜・関内の精神科医が解説
「気分の落ち込みがつらいけれど、これは精神科? それとも心療内科?」「動悸や頭痛が続くのは、何科に行けばいいんだろう」「看板に両方書いてあるけれど、どう違うんだろう」――いざ受診しようと思ったとき、診療科の違いが分からず、入口で立ち止まってしまう方は、少なくありません。せっかく相談しようと思ったのに、ここでつまずくのは、もったいないことです。
そこで、まず、いちばんお伝えしたいことから書きます。多くの場合、どちらを選ぶか、厳密に悩んでいただく必要は、ありません。それでも、違いの背景を少し知っておくと、安心して一歩を踏み出しやすくなると思います。このページでは、心療内科と精神科の違いを、その成り立ちや考え方の根拠もふまえながら、できるだけやさしく、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックがご説明します。
まず結論――どちらか迷っても、大丈夫です
心療内科と精神科は、名前は違っても、扱う領域が、大きく重なり合っています。とくに、両方を掲げているクリニックでは、どちらの入り口から相談しても、症状に応じて、適切に診療を受けられます。ですから、「自分は、どちらなんだろう」と迷って、受診そのものをためらってしまう――それが、いちばん避けたいことなのです。気になる症状があれば、まずはご相談いただいて、大丈夫です。そのうえで、両者の違いを、ゆっくり見ていきましょう。知っておくと、少し安心できますから。
精神科とは|こころの症状を専門にみる科
精神科は、気分の落ち込み、強い不安、眠れない、意欲がわかない、気持ちが不安定になる、といった、こころ(精神面)の症状を主に扱う診療科です。具体的には、うつ病、不安症、双極性障害、統合失調症、発達障害なども対象になります。
こうしたこころの病気の診断には、じつは、世界共通の「ものさし」が用いられます。WHO(世界保健機関)が定める「ICD」や、アメリカ精神医学会が定める「DSM」といった、国際的な診断基準がそれにあたり、医師は、こうした基準と、診察での聞き取りをあわせて、総合的に状態を判断します。「なんとなく」で診断するのではなく、確立された基準にもとづいて、ていねいに見立てていく。これが、精神科の診療です。だからこそ、専門の研鑽を積んだ医師が診ることに、意味があります。
心療内科とは|「心身医学」から生まれた科
心療内科は、ストレスや心理的な要因が関係して現れる、体(身体面)の症状を主に扱う診療科です。そのもとになっているのが、「心身医学」という分野です。心身医学は、心と体のつながりを科学的に研究する学問で、心と体を切り離さず、その人を「全体」としてみていこうとする考え方に立っています。
日本では、心身医学の研究をすすめる学会が1959年に設立され、その後、複数の大学に、専門の講座や診療科が開設されてきました。そして1996年に、「心療内科」が正式な診療科として認められ、各地の医療機関に広まっていきました(日本心身医学会)。比較的新しい診療科でありながら、その背後には、確かな学問的な蓄積がある――それが、心療内科です。
「心身症」とは、どういう状態のことか
心療内科が主に扱う「心身症」について、もう少しくわしく見てみましょう。日本心身医学会は、心身症を、おおよそ次のような状態として位置づけています。――体の病気のうち、その発症や経過に、ストレスなどの心理・社会的な要因が、深く関わっているもの。ただし、うつ病や不安症など、ほかのこころの病気にともなって出る体の症状は、ここには含めない、とされています。
心身症は「ストレス関連疾患」とも呼ばれ、たとえば、緊張するとおなかの調子が悪くなる過敏性腸症候群、肩や首のこりをともなう緊張型の頭痛、ストレスで悪化する胃の不調などが、その例として知られています。同じ病気でも、その背景に、ストレスが密接に関わっている場合に、心身症としてとらえられます。
興味深いことに、先ほど精神科のところで触れた、ICDやDSMといった国際的な診断基準には、「心身症」という病名そのものは、存在しません。これは、心身症が「体の病気を、心との関わりという切り口で、とらえ直した概念」だからです。同じ不調を、どの角度から見るか――この視点の違いが、精神科と心療内科の、成り立ちの違いにもつながっています。少し専門的な話になりましたが、要するに、両者は「同じ不調を、違う窓から見ている」のだと考えていただければと思います。
なぜ「こころ」と「体」は、切り分けられないのか
名前で分けると、別々の科のように見えますが、実際には、この二つの境界は、はっきり分かれているわけではありません。その理由は、心と体が、もともと、分かちがたく密接につながっているからです。
強いストレスがかかると、自律神経やホルモンのはたらきが、その影響を受け、動悸、頭痛、めまい、胃腸の不調、息苦しさといった、体の症状としてあらわれることがあります。これは、決して「気のせい」ではなく、心と体がつながっているために起こる、現実の、体の反応です。逆に、うつ病では、気分の落ち込みだけでなく、不眠や食欲不振、強い倦怠感といった、体の症状をともなうことが、よく知られています。つまり、多くの不調は、「こころだけ」「体だけ」に、きれいに分かれるものではなく、その両面にまたがっている。だからこそ、心療内科と精神科は、重なり合い、協力し合う関係にあるのです。
だから、「どちらを受診すべきか」は、迷わなくて大丈夫
こうした重なりがあるため、両方を標榜しているクリニックでは、どちらの入り口から相談しても、症状に応じて、適切に診療を受けられます。当院も、精神科・心療内科の両方に対応していますので、「自分は、どちらだろう」と悩む前に、いま困っていることを、そのままお話しいただければ大丈夫です。
大切なのは、科の名前で迷って、受診そのものを先延ばしにしてしまわないこと。「何科か分からないから」と、ためらっているうちに、つらさだけが大きくなってしまうことも、あります。どの科が合うかの判断は、どうか、私たちにおまかせください。専門の医師が、お話をうかがって、ちゃんと見極めます。あなたは、何科かを気にせず、ただ、つらい気持ちを抱えて、いらしてくだされば、それで十分です。
症状からみる、受診の目安
あくまで目安ですが、次のような状態が続いているときは、心療内科・精神科への相談を考えてみてください。
- 気分の落ち込みや不安が、2週間以上続いている
- 眠れない、または眠りすぎてしまう日が続く
- 何をしても楽しめない、やる気がわかない
- 動悸・息苦しさ・頭痛・胃腸の不調などが続くのに、内科の検査では異常がない
- 会社や学校に行こうとすると、体が動かない・涙が出る
- 気持ちの波が大きく、自分でもつらいと感じる
気になる症状について、それぞれの解説ページも、ご覧いただけます。ご自身の状態に近いものから、読んでみてください。うつ病について/不安症・不安障害について/不眠・睡眠障害について/自律神経失調症について
内科を受診したのに、「異常なし」と言われたとき
動悸や倦怠感、胃腸の不調などで内科を受診し、検査をしても「異常はありません」と言われた――けれど、つらさは、確かに続いている。そんなご経験は、ありませんか。検査では何も出ないのに、自分だけがつらい。この、行き場のなさは、とても心細いものだと思います。こうした場合、その背景に、ストレスやこころの疲れが関係していることがあります。
体の検査で異常が見つからないことは、決して、「症状が存在しない」「気のせいだ」という意味ではありません。先にお伝えしたとおり、心と体のつながりから生じる不調は、現実に、起こります。むしろ、原因がはっきりしないまま症状が続くと、「自分はどこかおかしいのでは」という不安が重なって、さらにつらくなることもあります。内科で原因が見当たらなかった症状が続くときは、一度、心療内科・精神科で相談してみることも、選択肢のひとつです。なお、当院は内科を標榜してはいませんが、必要に応じて、連携している内科などの医療機関とも相談しながら、適切な科へおつなぎすることもできますので、ご安心ください。
神経内科や、心理カウンセリングとの違い
名前が似ていて、混同されやすい診療科や相談との違いも、整理しておきましょう。
神経内科は、脳や神経そのものの病気(手足のしびれ、まひ、ふるえなど)を扱う、精神科とは別の診療科です。こころの症状が中心であれば、神経内科ではなく、精神科・心療内科が相談先になります。一方、心理カウンセリングは、医師以外の心理の専門職による相談です。お話をうかがいながら、気持ちの整理や、考え方の見直しを支えるもので、当院でも、心理士による相談に対応しています。ただし、診断や、お薬の処方を行うのは、医師です。カウンセリングと、医師の診療は、役割が違い、状態によっては、組み合わせることで、より力を発揮します。
受診したら、まず何をするのか
心療内科・精神科の初診では、いきなり検査や薬から始まるわけでは、ありません。まず、医師が、お話をうかがいながら、いまの状態を、一緒に整理していきます。そのうえで、必要に応じて、検査や治療の方針を、ご相談していきます。気負って、準備をしていただく必要は、ありません。
また、これらの診療は、しばらく通院を続けることが多いため、できるだけ同じ医師が、継続して経過をみていくことが望ましいとされています。これまでの経過や、お薬の効き方、生活の変化を、一貫して把握している医師がいること。それは、安心して治療を続けるうえでの、大きな支えになります。毎回、つらい話を一から繰り返さずにすむ、ということでもあります。当院でも、信頼関係を大切にしながら、できるだけ同じ医師による継続した診療を心がけています。初診の流れや持ち物、費用については、心療内科・精神科の初診では何を話す?費用・持ち物・診断書・予約の流れでくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。
受診を、ためらわなくていい理由
「精神科は、よほど症状が重い人が行くところではないか」と感じる方が、いらっしゃいます。でも、そんなことは、まったくありません。「受診していいのか迷うくらい、つらい」――その段階にこそ、相談する意味があります。つらさは、我慢して大きく育ててから対処するよりも、早い段階で相談するほど、回復もスムーズになりやすい、といわれています。こうした「早めの相談」の大切さは、厚生労働省のメンタルヘルス情報でも、くり返し伝えられていることです。
科の名前は、受診をためらう理由には、なりません。大切なのは、ただ一点、「いま、つらい状態が続いているかどうか」です。それだけを、見てあげてください。
よくある質問
心療内科と精神科、どちらを受診すればいいですか?
こころの症状が中心なら精神科、ストレスによる体の症状が中心なら心療内科が目安ですが、境界は重なり合っています。当院は両方に対応しているため、迷わずご相談いただけます。
看板に「精神科・心療内科」と両方ありますが、違いはありますか?
両方を標榜している場合、どちらの入り口から相談しても、症状に応じて適切に診療します。受診のときに、科をご自身で選び分ける必要はありません。
体の症状だけでも、受診していいですか?
はい。動悸や頭痛、胃腸の不調などが続くのに、内科の検査で異常が見つからない場合などは、ご相談いただけます。心と体のつながりから生じる不調を、ていねいに見ていきます。
「心身症」と言われました。これは、こころの病気ですか?
心身症は、ストレスなどが深く関わって生じる「体の不調」を指す考え方で、こころの病気そのものとは区別されています。とはいえ、背景にある心の負担に目を向けることが回復につながるため、心と体の両面から診ていきます。
精神科は、症状が重い人が行くところではないのですか?
そんなことはありません。「受診していいか迷うくらい、つらい」という段階で、相談する十分な理由があります。早めの相談が、回復の助けになります。
神経内科とは、違うのですか?
神経内科は、脳や神経そのものの病気(しびれ、まひなど)を扱う、別の診療科です。こころの症状が中心であれば、精神科・心療内科が相談先になります。
横浜・関内で、受診を考えている方へ
心療内科と精神科の違いは、受診をためらう理由には、なりません。大切なのは、科の名前ではなく、「いま、つらい状態が続いているかどうか」です。どちらか迷ったときこそ、どうか、まずは一度ご相談ください。症状に応じて、適切に診療いたします。一人で抱え込まず、安心して、一歩を踏み出していただければと思います。
みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅からも徒歩5分。横浜市中区・みなとみらいエリアからもお越しいただけます。精神科・心療内科の両方に対応し、精神保健指定医・精神科専門医といった専門資格を持つ医師が、できるだけ同じ担当として継続して診療します。うつ病、不安症、不眠症、自律神経失調症、適応障害、発達障害など、こころの不調全般を診療。祝日以外は毎日診療し、平日は夜19時まで、土日も対応していますので、お仕事帰りや休日にも通いやすいクリニックです。当日予約にも対応し(枠の状況によります)、女性医師も在籍、保険適用の心理検査にも対応しています。初めての受診で不安な方は、心療内科・精神科の初診では何を話す?費用・持ち物・診断書・予約の流れも、あわせてご覧ください。WEB予約はこちらから、ご不明な点はよくある質問もご覧ください。
関連ページ
- 心療内科・精神科の初診では何を話す?費用・持ち物・診断書・予約の流れ
- うつ病について/不安症・不安障害について/不眠・睡眠障害について
- 自律神経失調症について/適応障害について/女性医師に相談できる精神科・心療内科
参考文献・情報源
本記事の内容は、心療内科・精神科・メンタルヘルスに関する以下の公的機関・学会の資料を参考にしています。
- 一般社団法人 日本心身医学会(心身医学・心身症の定義、心療内科の成り立ち)
- 公益社団法人 日本精神神経学会(精神医学・精神科診療)
- 厚生労働省|こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- 厚生労働省|こころの健康・メンタルヘルス情報
- 世界保健機関(WHO)ICD、米国精神医学会(APA)DSM(精神疾患の国際的な診断基準)
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。