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2026/07/04

精神障害者保健福祉手帳とは?メリット・デメリットと申請の流れを横浜・関内の精神科医が解説

精神障害者保健福祉手帳、というものがあります。名前を聞いたことはあっても、「自分に関係があるとは思っていなかった」という方が大半ではないでしょうか。実際、診察室でこちらから話題にすると、「手帳って、もっと重い人のためのものだと思っていました」と驚かれることがよくあります。

けれど実際には、うつ病や双極性障害などで通院を続けている方が、日常生活やお仕事の面で一定の制約を抱えているなら、十分に対象になり得ます。そして手帳を持つことで、税金の負担が軽くなったり、働き方の選択肢が広がったりと、暮らしを支える具体的なメリットがいくつもあります。

この記事では、横浜・関内のみなとメンタルクリニックが、この手帳がどういうものか、持つと何が変わるのか、どうやって申請するのかをお話しします。


どういう手帳なのか

精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法にもとづく制度で、精神疾患のために生活や仕事に支障がある方が、さまざまな支援を受けやすくするための手帳です。障害の程度に応じて1級から3級まであり、通院しながら働いている方では3級や2級と判定されることが多い、というのがおおまかなイメージです(実際の等級は、提出された書類にもとづいて判定されます)。

対象になる病気は幅広く、うつ病や双極性障害、統合失調症、発達障害、てんかん、高次脳機能障害などが含まれます。診断名そのものよりも、「その病気のせいで生活や仕事がどれくらい制約されているか」で判断される、と考えてください。

ひとつ大事な条件があって、申請できるのはその病気での初診日から6か月以上たってからです。通い始めてすぐには申請できません。これは、症状が一定の期間続いていることを確認するためのルールです。


持っていると何が変わるか

いちばん確実で金額も大きいのは、税金です。手帳をお持ちの方は、所得税と住民税で障害者控除の対象になります。年末調整や確定申告で申告するだけで、税負担が年間数万円単位で軽くなる方が多く、1級の方はより控除額の大きい特別障害者控除の対象になります。

働き方の面では、障害者雇用促進法にもとづく障害者雇用枠での就職・転職に応募できるようになります。これは「今の働き方はつらいけれど、働くこと自体はあきらめたくない」という方にとって、現実的な選択肢がひとつ増えるということです。必要な配慮を、制度に裏づけられた形で求められるようになります。

そのほか、携帯電話料金の障害者割引、NHK受信料の減免、美術館や博物館などの入場料割引といった支援があります。横浜市では、手帳をお持ちの方が市営バス・市営地下鉄などを利用できる福祉特別乗車券の制度もあります(対象や条件がありますので、詳しくは区役所でご確認ください)。細かいものを合わせると、生活のあちこちで少しずつ効いてくる手帳です。


デメリットや不利益はないのか

ここがいちばん気になるところだと思います。結論から言うと、手帳を持つこと自体によって法律上の不利益が生じることはありません。

まず、勤務先に知られることは基本的にありません。手帳はご自身から提示しない限り、誰かに見せることを求められるものではなく、取得したことが役所から職場へ通知される仕組みもないからです。税金の控除を年末調整で受ける場合は担当部署に伝わりますが、それを避けたい方は、確定申告でご自身で手続きする方法もあります。

生命保険に入りにくくなるのでは、と心配される方もいますが、保険の審査で問われるのは病気や通院歴そのものであって、手帳の有無ではありません。手帳を取ったことで新たに不利になる、という関係ではないのです。また、必要がなくなれば更新せずに手放すこともできます。一度取ったら一生もの、という性質のものではありません。

しいて挙げるなら、2年ごとの更新手続きがあることと、申請用の診断書に文書料がかかること。デメリットらしいデメリットは、実際のところこれくらいです。


申請のしかた

窓口は、お住まいの市区町村です。横浜市の方なら各区役所の障害福祉の窓口、中区にお住まいなら中区役所になります。

手順としては、まず診察のときに主治医へ「手帳を申請したい」とお伝えください。初診から6か月たっているかを確認したうえで、手帳用の診断書をお作りします。あとはその診断書と申請書、顔写真、マイナンバーのわかるものを持って窓口へ。すでに精神疾患を理由とする障害年金を受けている方は、診断書のかわりに年金証書の写しなどで申請できる場合もあります。

審査には2か月ほどかかることが多く、等級が決まると手帳が交付されます。有効期限は2年で、続けて持つ場合は更新の手続きが必要です。期限が近づいたら、診察の際に一言お声がけください。

なお、通院の医療費を軽くする自立支援医療(精神通院医療)とは別の制度ですが、申請のタイミングが合えば、手帳用の診断書1枚で両方をまとめて申請できる場合があります。両方を検討している方は、あわせてご相談いただくと、手間も文書料も節約できることがあります。


迷ったら、診察室で聞いてください

手帳を取るかどうかは、最終的にはご本人の選択です。「まだそこまでではない気がする」という感覚も、「使える支援は全部使って立て直したい」という考えも、どちらも尊重されるべきものだと思います。私たちの役目は、正確な情報をお渡しして、その選択を一緒に考えることです。

当院は関内駅から徒歩2分、馬車道・桜木町・みなとみらい方面からも通いやすい場所にあります。横浜市中区の周辺にお勤め・お住まいの方で、「自分は対象になりそうか」「取ったら何が変わるのか」を聞いてみたい方は、診察のときに遠慮なくお尋ねください。WEB予約はこちらから、ご不明な点はよくある質問もご覧ください。


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参考・情報源

本記事は、以下の情報をもとに作成しています。個々のご事情への当てはめは、診察や区役所窓口での確認にもとづいて一緒に考えていきます。

  • 厚生労働省|精神障害者保健福祉手帳制度の案内・みんなのメンタルヘルス総合サイト
  • 国税庁|障害者控除に関する案内
  • 横浜市|精神障害者保健福祉手帳・福祉特別乗車券に関する案内

この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・発達障害などを中心に診療。産業医として、働き方や職場のメンタルヘルスにも対応。

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