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2026/09/28

気圧の変化でめまい・耳が詰まる感じがするのはなぜ?|台風・低気圧のふわふわ感と耳の不調、耳鼻科の病気との見分け方を横浜・関内の精神科医が解説

「台風が近づくと、足もとがふわふわして落ち着かない」「雨の前になると、耳が詰まったような感じがする」「天気が悪い日は、エレベーターに乗ったときのように耳がぼんやりする」。気圧の変化による不調のなかには、めまいや耳の違和感として現れるものがあります。

めまいは、周りから見えにくいうえに、「倒れたらどうしよう」という不安も呼びやすい症状です。一方で、めまいや耳の症状のなかには、耳の病気や脳の病気が隠れていることもあり、見分けがとても大切な症状でもあります。

この記事は、気圧の変化で体調を崩すのはなぜ?|台風・低気圧の頭痛・だるさ・めまいと「気象病」の正体を横浜・関内の精神科医が解説から始まるシリーズの第3章です。気圧の変化でめまいや耳の症状が出る理由、耳鼻科の病気との見分け方、そして精神科の目から見ためまいと不安の関係を、横浜・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医がお伝えします。

この記事の要点

  • 耳の奥にある内耳は、体のバランスを保つ器官です。気圧の変化を感じ取る役割もあると考えられていますが、人での証明はまだ途中です
  • 耳が詰まる感じは、鼓膜の内側と外側の気圧の差によって起きるもので、しくみがよく分かっています
  • めまいに、耳鳴りや聞こえにくさが伴う場合、くり返す場合は、メニエール病など耳の病気の可能性があるため、耳鼻科の受診をおすすめします
  • 急に片方の耳が聞こえにくくなったときは、早めの治療が大切な病気の可能性があるため、できるだけ早く耳鼻科を受診してください
  • ふわふわしためまいが長く続くとき、不安や緊張がめまいを強めていることがあります。めまいと不安は、一緒に見ていくことが大切です

耳の奥は、体のバランスと気圧の両方に関わっています

内耳は、体の傾きや回転を感じ取る器官

耳の奥には、音を聞き取る部分と、体の傾きや回転を感じ取る部分があります。この奥の部分を「内耳(ないじ)」と呼びます。私たちが目を閉じてもまっすぐ立っていられるのは、内耳が体の傾きを感じ取り、脳に知らせているためです。

シリーズのピラー記事でお話ししたように、この内耳が、気圧の変化を感じ取る「センサー」のような役割も持っているのではないかと考えられています。気圧の研究で知られる佐藤純先生のグループは、動物の実験で、気圧を下げると内耳からの信号を受け取る神経が反応することを報告しています。

気圧の変化で内耳が刺激されると、体のバランスの情報に少し乱れが生じ、ふわふわした感じや、ゆれているような感じとして現れるのではないか、と考えられています。ただし、これは主に動物の研究にもとづく考え方で、人の体でどこまであてはまるかは、まだ研究が続いている段階です。

耳が詰まる感じは、しくみがよく分かっています

一方で、「耳が詰まる感じ」については、しくみがはっきりしています。鼓膜の内側には「中耳(ちゅうじ)」という小さな空間があり、「耳管(じかん)」という細い管で鼻の奥とつながっています。

ふだん耳管は閉じていて、つばを飲み込んだり、あくびをしたりするときに一瞬開いて、中耳の気圧を外の気圧と同じにそろえています。飛行機が着陸するときや、エレベーターで高い階に上がったときに耳がぼんやりするのは、外の気圧が急に変わり、中耳との気圧の差で鼓膜が押されるためです。

台風のように気圧が大きく変化するときも、同じことが小さな規模で起きていると考えられます。特に、鼻づまりやかぜで耳管の通りが悪くなっていると、気圧の差を調整しにくくなり、耳の詰まりを感じやすくなります。

めまいには、いくつかの種類があります

ひとくちに「めまい」といっても、感じ方はさまざまです。どんなめまいかによって、考えられる原因が変わります。自分のめまいがどれに近いか、振り返ってみてください。

  • ぐるぐる回るめまい:自分や周りがぐるぐる回っているように感じる。耳の病気で起きることが多いめまいです
  • ふわふわするめまい:足もとがふわふわする、雲の上を歩いているような感じ、体がゆれている感じ。気圧の変化による不調や、自律神経の乱れ、不安や疲れで起きやすいめまいです
  • 立ちくらみ:急に立ち上がったときに、目の前が暗くなる、気が遠くなる。血圧の調整がうまくいかないときに起きやすいめまいです

気圧の変化で多いのは、二つ目の「ふわふわするめまい」です。ただし、気圧の変化が引き金になって、もともとある耳の病気のめまいが起きることもあります。

耳鼻科の病気との見分け方

めまいや耳の症状のなかには、耳鼻科での診察と治療が必要な病気が隠れていることがあります。次のような特徴がある場合は、耳鼻科の受診をおすすめします。

メニエール病:めまいに、耳鳴り・聞こえにくさが伴う

ぐるぐる回るめまいが数十分から数時間続き、同じ側の耳の耳鳴り、聞こえにくさ、耳の詰まり感を伴い、それをくり返すのが特徴です。内耳にリンパ液が過剰にたまることで起きると考えられています。

海外の研究では、気圧が低い日や湿度が高い日に、メニエール病の発作が起こりやすい傾向があることも報告されています。「天気が崩れると、めまいと耳鳴りがそろって出る」という方は、気象病と思い込まずに、一度耳鼻科で確かめておくと安心です。

良性発作性頭位めまい症:頭を動かしたときに、ぐるっと回る

寝返りを打つ、上を向く、起き上がるなど、頭の位置を変えたときに、ぐるっと回るめまいが数十秒ほど起きます。めまいのなかではもっとも多い病気の一つで、耳鳴りや聞こえにくさは伴わないのが一般的です。

突発性難聴:急に片方の耳が聞こえにくくなる

ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなります。耳の詰まり感や耳鳴り、めまいを伴うこともあります。「気圧のせいで耳が詰まっているだけ」と思って様子を見てしまいやすいのですが、治療の開始が早いほど回復しやすいとされる病気です。片方の耳の聞こえにくさが急に出たときは、できるだけ早く耳鼻科を受診してください。

耳管の病気:耳の詰まり感や、自分の声が響く感じ

耳管の通りが悪くなる「耳管狭窄症」では、耳の詰まり感が続きます。反対に、耳管が開きっぱなしになる「耳管開放症」では、自分の声や呼吸の音が耳に響く感じがあります。耳管開放症は、急な体重の減少や疲れ、ストレスで起きやすいことが知られています。

すぐに救急を受診していただきたいめまい

めまいのなかには、脳の病気で起きるものがあります。次のような場合は、天気とは関係なく、ためらわずに救急を受診してください。

  • めまいとともに、手足のしびれや力が入らない、ろれつが回らない、顔がゆがむ
  • ものが二重に見える、視野が欠ける
  • 突然の激しい頭痛を伴う
  • 支えがないと立てない、まっすぐ歩けない
  • 意識が遠のく

めまいと不安の関係——精神科の目から見て

めまいについて、精神科・心療内科でお話をうかがうことには理由があります。めまいと不安は、おたがいに強め合いやすい関係にあるためです。

めまいが不安を呼び、不安がめまいを強める

めまいが起きると、「倒れたらどうしよう」「何か悪い病気ではないか」という不安が生まれます。不安になると体は緊張し、呼吸が浅くなり、足もとの感覚にいつも以上に注意が向きます。すると、わずかなふらつきも大きく感じられ、めまいがさらに強まったように感じる、という悪循環が生まれやすくなります。

台風のたびにめまいを経験してきた方は、天気予報を見るだけで「またふわふわするかもしれない」と身構えてしまうことがあります。この身構えが緊張を高め、かえってめまいを感じやすくすることもあります。

長く続くふわふわしためまい

耳の病気や別の体の病気をきっかけにめまいが起きたあと、その病気が落ち着いてからも、ふわふわしためまいが何か月も続くことがあります。立っているときや歩いているとき、人混みや動く景色を見たときに強まるのが特徴です。

こうした状態は「持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)」と呼ばれ、2017年に国際的な診断基準がまとめられました。脳がバランスの情報を処理するしかたが、めまいのあとも「警戒モード」のまま残ってしまうことで起きると考えられています。不安が強い方や、もともと不安を感じやすい方に起きやすいことが知られており、治療には、一部の抗うつ薬や、バランスの感覚を少しずつ慣らしていくリハビリが用いられます。

パニック発作のめまい

突然の強い不安とともに、めまい、動悸、息苦しさ、手足のしびれなどが一気に押し寄せるパニック発作でも、めまいが出ることがあります。「天気の不調だと思っていためまいが、実はパニック発作だった」ということもあります。パニック障害については、当院のパニック障害の解説記事でくわしくお話ししています。

ストレスや自律神経とめまいの関係については、当院のストレスによるめまいを解説した記事(自律神経失調症シリーズ)でも扱っています。

今日からできる工夫

耳の詰まりは、やさしく耳抜きをする

耳が詰まる感じがするときは、つばをゆっくり飲み込む、あくびをする、ガムをかむ、水を少しずつ飲むといった方法で、耳管が開きやすくなります。鼻をつまんで強く息を吹き込む方法は、勢いが強すぎると耳を傷めることがあるため、無理に行わないようにしてください。

耳のまわりを温める・ゆっくりほぐす

温めたタオルを耳のまわりに当てる、耳を軽く引っぱったり回したりしてほぐす、といった方法で、天気の不調が和らぐと考える専門家もいます。ただ、この方法の効果を確かめた研究はまだ少ないのが正直なところです。体への負担が少ない方法なので、試してみて楽になるなら続ける、くらいの気持ちで取り入れてみてください。

急な動きを避け、安全を優先する

ふわふわする日は、急に立ち上がったり、急に振り向いたりしないようにしてください。起き上がるときは、いったん座ってから、ゆっくり立ち上がると安心です。めまいがある日は、車や自転車の運転、高い所での作業は控えましょう。

眠りと水分を整える

睡眠不足や脱水は、めまいを起こしやすくします。気圧が大きく下がりそうな日の前は、いつもの時間に寝て起きることを意識し、水分をこまめにとるようにしてください。

気圧の予報を見て、備えておく

気圧の変化を予報してくれるアプリや天気サイトで、気圧が下がりそうな日を前もって知っておくと、心の準備ができます。「今日はふわふわするかもしれない日」と分かっているだけでも、不意打ちの不安はずいぶん和らぎます。めまいの出た日と天気を記録しておくと、受診のときにも役立ちます。

医療機関に相談していただきたいとき

耳鼻科に相談していただきたいとき

  • めまいに、耳鳴りや聞こえにくさ、耳の詰まり感が伴い、くり返す
  • 急に片方の耳が聞こえにくくなった(できるだけ早く受診してください)
  • 頭を動かしたときに、ぐるっと回るめまいが起きる
  • 耳の詰まり感や、自分の声が響く感じが続いている

心療内科・精神科に相談していただきたいとき

  • 耳鼻科や内科で「異常なし」と言われたが、ふわふわしためまいが続いている
  • めまいが3か月以上、ほとんど毎日続いている
  • めまいが怖くて、外出や電車、人混みを避けるようになった
  • めまいとともに、動悸や息苦しさ、強い不安が突然押し寄せることがある
  • 天気予報を見るだけで不安になり、眠れない日がある
  • 気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態を伴っている

不安のしくみについては、当院の不安についての記事でもくわしく解説しています。

みなとメンタルクリニックでできること

当院では、めまいがいつ、どんなときに、どのように起きるのか、耳の症状やほかの体の症状、気分や不安の様子をていねいにうかがいます。そのうえで、耳の病気や脳の病気が隠れている可能性があるときは、耳鼻科や脳神経内科など、適した医療機関をご案内します。

すでに耳鼻科で調べて異常がなかった方、めまいへの不安で生活が狭くなっている方、自律神経の乱れや不安、うつが関わっている方には、生活の整え方をご一緒に考えながら、必要に応じて漢方薬を含めたお薬による治療や、カウンセリング的アプローチを組み合わせていきます。自律神経の不調について全体を知りたい方は、自律神経失調症とは?症状・原因・受診の目安を横浜・関内の精神科医が解説もあわせてご覧ください。

みなとメンタルクリニックは関内駅からすぐの場所にあり、横浜市中区を中心に、馬車道・桜木町・みなとみらいエリアからも通っていただきやすい立地です。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています。「耳鼻科では異常がないと言われたけれど、つらさが続いている」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。

このシリーズの記事(気圧の変化による不調)

よくあるご質問

めまいは、何科を受診すればいいですか?

ぐるぐる回るめまいや、耳鳴り・聞こえにくさを伴うめまいは、まず耳鼻科の受診をおすすめします。手足のしびれやろれつが回らないなどを伴う場合は、すぐに救急を受診してください。耳鼻科や内科で異常がなかったものの、ふわふわしためまいが続いている場合や、めまいへの不安が強い場合は、心療内科・精神科にご相談ください。

耳鼻科で「異常なし」と言われましたが、めまいが続きます。気のせいでしょうか?

気のせいではありません。検査で異常が見つからなくても、脳がバランスの情報を処理するしかたが敏感になっていたり、自律神経の乱れや不安がめまいを強めていたりすることがあります。こうした状態には、合った治療があります。一人で抱え込まず、ご相談ください。

気圧で耳が詰まったとき、耳抜きをしても大丈夫ですか?

つばを飲み込む、あくびをする、ガムをかむといったやさしい方法であれば、問題ありません。鼻をつまんで強く息を吹き込む方法は、耳を傷めることがあるため、無理に行わないようにしてください。耳の詰まりが何日も続く場合や、聞こえにくさを伴う場合は、耳鼻科を受診してください。

当日の予約はできますか?

はい、当日のご予約にも対応しています。土日も診療していますので、平日にお休みが取りにくい方も、どうぞご相談ください。

すぐに受診できないときの相談先

めまいとともに気持ちのつらさが強く、すぐに受診するのが難しいときは、次のような公的な相談窓口もあります。一人で抱え込まず、話せる場所を頼ってみてください。

  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(お住まいの地域の相談窓口につながります)
  • まもろうよ こころ(厚生労働省):電話やSNSで相談できる窓口がまとめられています

関連ページ

参考にした主な資料

  • 佐藤純 ほか:気圧変化と痛み・前庭系に関する研究(日本生気象学会、日本頭痛学会での報告など)
  • Staab JP, et al. Diagnostic criteria for persistent postural-perceptual dizziness (PPPD): Consensus document of the Bárány Society. Journal of Vestibular Research, 2017.
  • 日本めまい平衡医学会:メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン、良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン
  • 日本聴覚医学会:急性感音難聴診療の手引き
  • メニエール病の発作と気象条件(気圧・湿度)との関連を調べた海外の研究報告

この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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