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2026/06/22

PMS・PMDDとは?生理前のイライラ・落ち込み・涙の原因と治療を横浜・関内の精神科医が解説

「生理前になると、別人のようにイライラして家族にあたってしまう」「理由もなく涙が出て、何もかもがつらくなる」——「毎月のことだから」と我慢してきたけれど、心も体もしんどい。このような状態で、お困りではありませんか。まずは、この記事の要点です。

  • 生理前の心の揺れは、ホルモンの変動が脳の気分調整に影響して起こる——気のせいではない
  • 症状が重く生活に支障が出る場合はPMS・PMDDとして治療の対象になる
  • 見分けのカギは「月経前に悪化し、月経後は落ち着く」という周期性
  • まず2〜3か月の記録が、診断と治療の出発点になる
  • SSRI・生活の工夫・ホルモン治療・漢方など、楽にしていく方法がある

生理前に心が大きく揺れるのは、気のせいでも、わがままでも、性格の問題でもありません。月経周期に伴う女性ホルモンの変動が、脳の中で気分の調整に、実際に影響するために起こります。症状が強く、毎月生活に支障が出る場合は、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)として、治療の対象になります。「毎月のことだから」と一人で抱えてこられた方も、どうか、ご自身を責めないでください。このページでは、PMSとPMDDの違い、症状、原因、似た状態との見分け、自分でできる対処、治療について、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が、エビデンスをふまえて解説します。女性の心の不調全般については、女性のメンタルヘルスとは?もあわせてご覧ください。

PMS・PMDDとは

PMS(月経前症候群)とは、月経が始まる前の数日〜10日ほどの間に、イライラ、落ち込み、不安、体のだるさ、むくみなどの心身の不調が現れ、月経が始まると軽くなっていく状態です。月経のある女性の多くが、程度の差はあれ、何らかの月経前の不調を経験するとされています。つまり、月経前に多少の不調が出ること自体は、めずらしくありません。

このうち、心の症状(強いイライラ、抑うつ、不安、気分の波など)がとくに重く、仕事・家事・人間関係などの生活に支障が出る場合を、PMDD(月経前不快気分障害)といいます。PMDDは、月経のある女性の数%(およそ3〜8%とされます)にみられ、けっしてめずらしいものではありません。アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5-TR)でも、治療の対象となる状態として、はっきり位置づけられています。「気の持ちよう」ではなく、診断名のある、対応できる状態なのです。

PMSとPMDDの違い

PMSとPMDDは、まったく別のものというより、つらさの程度の連続線上にあります。同じ地続きの状態で、心の症状が重いほうがPMDD、と考えると分かりやすいでしょう。見分けの目安は、次のとおりです。

  • PMS:体の症状(むくみ、乳房の張り、頭痛など)や、軽〜中等度の気分の変化が中心。生活はなんとか送れる
  • PMDD:強いイライラ、抑うつ、不安、気分の波などの心の症状が中心で重く、仕事・家事・人間関係に明らかな支障が出る

「毎月、生理前だけ別人のようになる」「人にあたってしまい、あとで自己嫌悪になる」「消えてしまいたい気持ちになる」——こうしたつらさが強い場合は、PMDDの可能性があり、相談できる状態です。ここまで我慢してこられたこと自体を、まず受け止めます。

PMS・PMDDの症状

心の症状

  • 強いイライラ、怒りっぽさ
  • 気分の落ち込み、涙もろさ
  • 不安、緊張感
  • 気分の波(急に泣きたくなる、感情が抑えられない)
  • やる気が出ない、興味がわかない
  • 集中できない
  • 「自分はダメだ」と感じる、自己嫌悪
  • 人付き合いがわずらわしくなる

体の症状

  • むくみ、体重増加の感覚
  • 乳房の張り・痛み
  • 頭痛、腹痛、腰痛
  • だるさ、疲れやすさ
  • 眠気、または眠れない
  • 食欲の変化(甘いものが欲しくなる、過食)

いつ症状が出るのかが、見分けのカギ

PMS・PMDDの大きな特徴は、症状が出るタイミングの周期性です。典型的には、排卵後(黄体期)から月経前にかけて症状が現れ、月経が始まると数日のうちに軽くなり、月経後(卵胞期)は症状がない——このパターンをくり返します。「生理が来ると、うそのように楽になる」という経験に、心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

この「月経前に悪化し、月経後は落ち着く」というリズムがはっきりしているかどうかが、ほかの心の不調との見分けの、大切なポイントになります。そのため、2〜3か月ほど、症状と月経の時期を記録しておくと、診断や治療の役に立ちます。記録といっても、手帳やスマートフォンに「今日はイライラが強い」と一言メモする程度で十分です。完璧なものでなくて構いません。この記録が、つらさの正体を映し出す鏡になります。

PMS・PMDDでよくある訴え

診察では、次のようなお悩みをよくうかがいます。ひとつでも心当たりがあれば、それは相談してよいサインです。

  • 生理前になると、夫や子どもにきつくあたってしまう
  • 些細なことで、涙が止まらなくなる
  • 生理前だけ、消えてしまいたい気持ちになる
  • イライラと落ち込みが交互にきて、つらい
  • 毎月のことなので、誰にも言えず我慢している
  • 仕事のミスが増え、人間関係がぎくしゃくする
  • 生理が来るとうそのように楽になるが、また次の月が憂うつ

毎月くり返すつらさを、一人で抱え込み、自分を責めてきた方は、少なくありません。とくに、生理前に家族へあたってしまい、あとで深く落ち込む——この繰り返しは、本当につらいものです。でも、それはあなたの人間性の問題ではなく、対応する方法のある状態です。つらさには理由があり、楽にしていく道があります。

「ただの生理前」と思って見過ごされやすい状態

PMS・PMDDは、「生理前だから仕方ない」と本人も周囲も思い込み、見過ごされやすい状態です。しかし、強いイライラや抑うつが毎月くり返され、生活や人間関係に支障が出ているなら、我慢し続ける必要はありません。「これくらいで受診していいのだろうか」とためらわれる方が多いのですが、毎月あなたを苦しめているなら、それは十分に相談してよいことです。記録をつけて受診することで、つらさの正体がはっきりし、対応しやすくなります。

PMS・PMDDと間違われやすい・重なる状態

月経前の不調には、似た状態や、別の不調が重なっていることもあります。だからこそ、丁寧な見分けが大切になります。

  • うつ病・不安症の月経前増悪:もともとあるうつ病や不安症が、月経前に強くなることがあります(この場合は月経後も症状が残る点が、PMDDとの違いです)
  • 双極性障害:気分の波が月経周期と関係なく続く場合は、別の見立てが必要なことがあります
  • 甲状腺機能の異常・貧血:だるさや気分の落ち込みは、体の病気でも起こります

気分の落ち込みが月経後も続く場合はうつ病とは?症状・原因・治療の全体像を、不安が強い場合は「不安とは?不安症の種類と治療」もご覧ください。記録をもとに、診察でていねいに見分けていきますので、「自分はどれなのか」と一人で悩まなくて大丈夫です。

なぜ起こるのか

PMS・PMDDの原因は完全には解明されていませんが、月経周期に伴う女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の変動に対する、脳の感受性の違いが関わると考えられています。ホルモンそのものの異常というより、ホルモンの変化が、気分の安定に関わるセロトニンなどの働きに影響することが、背景のひとつとされています。同じホルモンの変動でも、その受け止め方に個人差があり、敏感に反応する方がいる、ということです。

つまり、PMS・PMDDは「心が弱いから」起こるのではなく、ホルモンの変化に、体と脳が敏感に反応している状態です。睡眠不足、ストレス、過労などが、症状を強めることもあります。この「自分のせいではない」という理解は、毎月自分を責めてきた方にとって、回復の第一歩になります。

自分でできる対処

軽〜中等度のPMSでは、生活の工夫が役立つことがあります。ただし、つらさが強い場合は、無理に自分だけで抱えず、医療機関にご相談ください。以下は「できそうなものから」で構いません。

  • 症状を記録する:症状と月経の時期を2〜3か月メモすると、自分のパターンが見え、対処や受診に役立ちます
  • 軽い運動:ウォーキングなどの有酸素運動は、気分をやわらげる助けになります
  • 睡眠を整える:睡眠不足は症状を強めます。起床時間をそろえると整いやすくなります
  • カフェイン・アルコールを控えめに:イライラや不安、むくみを強めることがあります
  • つらい時期は予定を詰め込みすぎない:自分のリズムに合わせ、無理をしすぎないことも大切です
  • 周囲に共有する:パートナーや家族に「この時期はつらくなりやすい」と伝えておくと、関係の摩擦が減ることがあります

とはいえ、つらいときに「運動しなきゃ」「記録しなきゃ」と自分を追い込む必要はありません。できない日があっても、それで構いません。

受診を検討する目安

次のような場合は、精神科・心療内科への相談を検討するとよいでしょう。

  • 生理前のイライラ・落ち込みで、毎月生活に支障が出ている
  • 家族やまわりにあたってしまい、自己嫌悪になる
  • 生理前だけ「消えてしまいたい」気持ちになる
  • 仕事や家事のミスが増える、人間関係がつらくなる
  • 市販薬や我慢でしのいできたが、改善しない
  • 気分の落ち込みが月経後も続いている

とくに「消えてしまいたい」という気持ちがある場合は、我慢せず、早めにご相談ください。その気持ちは、あなたが弱いからではなく、つらさが限界に近づいているサインです。PMS・PMDDは、適切に対応することで、毎月のつらさを軽くしていける状態です。予約や受診の流れ、費用のことなど、受診そのものへの不安があれば、その点からお尋ねいただいて構いません。

PMS・PMDDの治療

治療では、まず症状の記録をもとに、月経との関係や、ほかの不調が隠れていないかを確認します。そのうえで、症状の強さや生活への影響、妊娠の希望などをふまえ、その方に合った方法を選んでいきます。治療方針は、医師が一方的に決めるのではなく、ご本人のお気持ちやご希望をうかがいながら、一緒に決めていきます。

生活の工夫・精神療法

生活リズムやストレスへの対応を整えるとともに、つらい時期の自分への向き合い方や、考え方の整理を一緒に行っていきます。「この時期はつらくなりやすい」と理解しておくだけでも、自分を責めずに過ごしやすくなります。自分の波を知ることが、波に飲まれずにすむための、大きな支えになります。

薬物療法(SSRIなど)

PMDDに対しては、SSRIが有効とされ、治療の選択肢のひとつになります。毎日服用する方法のほか、症状の出る黄体期(月経前の時期)だけ服用する方法が検討されることもあります。「毎日は飲みたくない」という方にとって、時期を限って使う方法があるのは、ひとつの安心材料かもしれません。効果や副作用をみながら、医師と相談して調整します。自己判断で中止しないことが大切です。

ホルモンを用いた治療(婦人科との連携)

低用量ピル(LEP)など、ホルモンを用いた治療が選択肢になることもあります。これらは婦人科で扱われることが多いため、必要に応じて婦人科と連携しながら進めます。体の症状が強い場合や、避妊も希望する場合などに検討されます。「何科に行けばいいのか分からない」というときも、まずご相談いただければ、適した窓口へおつなぎします。

漢方薬

むくみ、冷え、気分の不調などに対して、漢方薬が用いられることもあります。体質や症状に合わせて検討します。漢方については、女性の心の不調と漢方のページでくわしく解説しています。

治療はどのように進むのか

まずは2〜3か月、症状と月経の時期を記録していただくことが、診断と治療の出発点になります。記録から月経前の悪化がはっきりすれば、生活の工夫やSSRI、必要に応じてホルモン治療や漢方を組み合わせ、毎月のつらさを軽くしていくことを目指します。すぐにゼロにすることが目的ではなく、生活に支障が出ない範囲まで楽にしていくことを、目標にします。焦らず、あなたのペースで進めていきましょう。

よくある質問

毎月生理前につらいのは、みんな同じでは?

月経前の不調は多くの方にありますが、心の症状が強く、毎月生活に支障が出る場合は、PMS・PMDDとして治療の対象になります。「みんな我慢している」と抱え込む必要はありません。

PMS・PMDDは、何科に行けばいいですか?

イライラ・落ち込み・不安など心の症状が中心なら精神科・心療内科、体の症状やピルを希望する場合は婦人科が相談先になります。両方ある場合は、連携しながら進めることもできます。迷われるときは、まずご相談ください。

抗うつ薬とピル、どちらがいいですか?

どちらが合うかは、症状のタイプ、妊娠の希望、体の状態などによって異なります。診察で相談しながら、その方に合った方法を選んでいきます。

妊娠を希望していても、治療できますか?

はい。妊娠の希望をふまえて、お薬の選び方や進め方を一緒に考えます。気になることは、遠慮なくお伝えください。

市販薬でしのいでもいいですか?

痛みなどには市販薬も使えますが、強いイライラや抑うつが毎月続く場合は、背景への対応も含めて、一度ご相談ください。

女性の医師に相談できますか?

当院では女性医師による診療にも対応しています。「生理前のつらさは、できれば女性の先生に」というご希望も、安心してお伝えください。

横浜・関内でPMS・PMDDにお悩みの方へ

生理前のつらさは、外からは見えにくく、「気のせい」「大げさ」と誤解されやすいものです。しかし、毎月くり返す強いイライラや落ち込みは、ご本人にとって大きな負担であり、人間関係や仕事にも影響します。一人で我慢し続ける必要は、ありません。

横浜・関内のみなとメンタルクリニックでは、PMS・PMDDをはじめ、うつ病、不安症、産後うつ、更年期の不調など、女性の心の不調全般の診療を行っています。女性医師による診療にも対応し、必要に応じて婦人科とも連携します。関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅からも徒歩5分。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています(枠の状況によります)。お仕事や育児の合間にも、通院しやすい環境です。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町・みなとみらいエリアからもお越しいただけます。

「こんなことで相談していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。毎月あなたを苦しめてきたつらさを、どうか一人で抱えないでください。初めての方も、緊張されて当然です。私たちは、その一歩を、ていねいにお迎えします。

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この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)

医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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