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2026/07/02
夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)の原因と対処法|精神科専門医が解説
午前3時14分。目が覚める。トイレに立ち、戻ってきて、また横になる。眠れる。午前4時51分。また目が覚める。
朝、目覚まし時計が鳴る頃には、なんだか一晩じゅう働いていたような疲れが残っている。眠ったはずなのに、眠った気がしない——。
夜中に何度も目が覚める中途覚醒は、年齢が上がるほど増える、ありふれた不眠のかたちです。ただ、「年のせい」で片付けてしまうと、見逃してはいけないものを取りこぼすことがあります。この記事では、中途覚醒の背景と対処を、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が解説します。不眠全体の地図は不眠症とは|4つのタイプ・原因・治し方・受診の目安にまとめてあります。
夜中に目が覚めてしまう方へ
みなとメンタルクリニックは関内駅から徒歩2分(桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分)。祝日以外は土日も診療しており、当日予約にも対応しています。当院では自宅でできる睡眠時無呼吸の検査・治療にも対応しています。
▶ WEB予約はこちら(当日予約可)/初めての方は初診の流れのご案内をご覧ください。
そもそも、夜中に目が覚めるのは異常なのか
実は、健康な人でも夜中に目は覚めています。眠りは一晩を通して均一ではなく、深い眠りと浅い眠りを約90分周期で繰り返しており、浅い眠りの底で、私たちは何度か覚醒に近づいています。ただ、多くの場合そのまま眠りに戻るので、朝には覚えていないだけなのです。
加齢とともに深い眠りが減り、この浅い局面が増えていく。だから、年齢とともに中途覚醒が増えるのは、ある程度は自然な変化です。
問題になるのは、目が覚めたあと、なかなか寝つけないときと、日中に支障が出ているときです。この2つが揃ったら、「年のせい」で済ませずに、背景を確かめる価値があります。
中途覚醒の背景——見逃したくないもの
① 睡眠時無呼吸症候群
この記事でいちばん伝えたい項目です。
睡眠中に呼吸が止まると、体は酸素不足に陥ります。すると脳が覚醒して、呼吸を再開させる。これが一晩に何十回、何百回と繰り返されると、眠りは細切れになります。
ここで重要なのは、本人には「呼吸が止まった」自覚がないことです。感じられるのは、「何度も目が覚める」「眠っているのに疲れが取れない」「日中どうしようもなく眠い」という結果だけ。だから、多くの方が原因にたどり着けません。
次の項目に心当たりがあれば、検査を考えてください。
- 大きないびきをかく(家族に指摘される)
- いびきが途中で止まる、と言われたことがある
- 起床時に頭痛がする、口が渇いている
- 日中、会議中や運転中に強い眠気に襲われる
放置すると、高血圧や心臓の病気のリスクにも関わります。当院では自宅でできる睡眠時無呼吸の検査・治療に対応しています。「いびきくらいで病院に」とためらう必要はありません。
② お酒——寝つきのために飲んだ酒が、夜中に起こしている
寝酒の習慣がある方の中途覚醒は、まずここを疑います。
アルコールは寝つきを早めます。だから習慣になる。しかし、体内で分解される過程で、眠りを浅くし、覚醒を増やす方向に働きます。しかも利尿作用でトイレも近くなる。前半の眠りを買って、後半の眠りを売っている——それが寝酒の正体です。
そして、慣れれば量が増えます。「昔はビール1本で眠れたのに」という方は、すでにこの階段を上り始めています。
③ うつ病・不安症
うつ病では、眠りが全体に浅くなり、夜中の覚醒が増えます。ただし、うつ病でとくに特徴的なのは早朝覚醒——朝早く目が覚めてそのまま眠れないパターンで、これは次の記事で詳しく扱います。
不安症では、目が覚めた瞬間に心配事が立ち上がり、そこから眠れなくなることがあります。夜中にスマートフォンで仕事のチャットを確認してしまう方は、覚醒の入り口をわざわざ広げているようなものです。
④ むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害
脚に不快な感覚が出て、動かさずにいられなくなる。あるいは、睡眠中に脚がぴくつく。どちらも本人が気づきにくく、「なぜか眠りが浅い」としか感じられないことがあります。
⑤ 体の要因
夜間頻尿、痛み、かゆみ、こむら返り、更年期のほてり。自律神経の乱れや、他の病気で飲んでいる薬の影響も考えられます。受診の際はお薬手帳をお持ちください。
目が覚めてしまったとき、どうするか
時計を見ない
これが第一です。「まだ3時か」「もう5時か」——この計算が始まった瞬間、脳は覚醒モードに入ります。時計は目に入らない場所へ。スマートフォンも寝室の外へ。
焦らない
「あと何時間しか眠れない」と焦るほど、交感神経が高ぶって眠れなくなります。「目が覚めるのは正常な現象で、放っておけばまた眠くなる」——この構えでいるだけで、戻りやすくなります。
戻れないなら、いったん布団を出る
しばらく経っても眠れないなら、思い切って布団を出て、暗めの照明で静かに過ごし、眠気が来たら戻る。眠れないまま布団で悶々とする時間が長いほど、布団が「眠れない場所」として学習されていきます。ここは寝つきの悪さと同じ理屈です。
スマートフォンは見ない
光がメラトニンを抑え、情報が脳を覚醒させます。夜中のSNSやメールチェックは、眠りに戻る道を自分で塞ぐ行為です。
予防としてできること
- 寝酒をやめる。中途覚醒の対策として、これ以上に効く一手はありません。
- 就寝前の水分を、摂りすぎない。夜間頻尿の対策です。ただし、脱水にならない範囲で。
- カフェインは昼まで。深い眠りを減らす作用があり、覚醒しやすくなります。
- 寝室を涼しく、暗く保つ。暑さは深部体温の低下を妨げます。
- 起床時刻を一定にする。リズムが安定すると、眠りの質も安定します。
詳しくは不眠症の治療|生活習慣の見直しと睡眠リズムの整え方をご覧ください。
治療の選択肢
まず、背景の見極めです。無呼吸なら、その治療。うつ病や不安症が背景なら、そちらの治療なしに眠りは戻りません。不眠の原因の記事で書いたとおり、原因を放置して睡眠薬だけ足しても、根は残ります。
薬を使う場合、中途覚醒には眠りを保つ力が必要です。寝つきだけを助ける短時間型の薬では、夜中の覚醒に届きません。オレキシン受容体拮抗薬——「起きていろ」という覚醒の号令を弱める薬は、眠りを保つ方向に働き、依存性も低いため、この症状に使いやすい選択肢です。従来型の睡眠薬を長く飲んで、かえって眠りが浅くなっている方もいます。その場合は減薬や切り替えを検討します。
みなとメンタルクリニックは関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。横浜市中区を中心に、みなとみらいエリアからも通いやすい場所にあります。祝日以外は土日も診療しており、WEB予約は当日予約にも対応しています。「年のせい」と言われ続けてきた中途覚醒の背景に、手当てできるものが見つかることは、決して珍しくありません。
よくある質問
夜中に1回トイレに起きるくらいなら、問題ないですか?
すぐ眠りに戻れて、日中に支障がないなら、心配はいりません。問題になるのは、回数が多い、戻るのに時間がかかる、日中に眠気やだるさが残る場合です。
いびきを指摘されますが、太っていません。無呼吸はありますか?
あります。肥満は代表的なリスク要因ですが、痩せている方でも、顎が小さい、気道が狭いといった骨格の要因で無呼吸は起こります。「太っていないから大丈夫」とは言えません。日中の強い眠気があるなら、検査を検討してください。
睡眠薬を飲んでいるのに、夜中に目が覚めます。
いくつか理由が考えられます。薬が短時間型で、夜中まで効果が届いていない。背景の原因(無呼吸、うつ病など)が手つかずのまま残っている。あるいは、長期使用で薬に慣れてきている。いずれにせよ、量を自己判断で増やすのは避けてください。診察で、薬の種類も含めて見直しましょう。
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監修:田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。