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2026/06/22
更年期の心の不調|不安・うつ・不眠・イライラの原因と治療を横浜・関内の精神科医が解説
「これまで普通にできていたことが、急につらくなった」「理由もなく不安になったり、涙が出たりする」「ほてりや動悸に加えて、気分の落ち込みや眠れなさがつらい」「イライラして家族にあたり、あとで落ち込む」——更年期に入って、このような心の変化に、戸惑っていませんか。まずは、この記事の要点です。
- 更年期の心の不調は、エストロゲンの低下が気分・自律神経・睡眠の脳のしくみに影響して起こる
- ほてりだけでなく、不安・抑うつ・イライラ・不眠も更年期に起こりやすい
- 2週間以上続く強い落ち込みは、うつ病として治療が必要なこともある
- 「更年期だから」と決めつけず、甲状腺・貧血など体の病気も確認する
- 抗うつ薬・ホルモン治療・漢方など、楽にしていく方法がある(婦人科とも連携)
更年期の心の不調は、気のせいでも、怠けでも、年齢のせいであきらめるものでも、ありません。閉経前後に起こる女性ホルモン(エストロゲン)の大きな低下が、気分や自律神経、睡眠を調整する脳のしくみに影響するために起こります。つらさには理由があり、対応する方法があります。「これくらいで」とためらってこられた方も、どうか一人で抱えないでください。このページでは、更年期に心の不調が起こる理由、症状、似た状態との見分け、自分でできる対処、治療について、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が、エビデンスをふまえて解説します。女性の心の不調全般については、女性のメンタルヘルスとは?もあわせてご覧ください。
更年期とは
更年期とは、閉経をはさんだ前後の約10年間(一般に45〜55歳ごろ)を指します。日本人女性の閉経は、平均して50歳前後とされ、この時期にエストロゲンが大きく低下・変動します。多くの女性が、程度の差はあれ、この時期に心身のさまざまな不調を経験します。つまり、更年期に不調が出ること自体は、けっして特別なことではありません。
更年期の症状のうち、日常生活に支障が出るほどつらいものを「更年期障害」と呼びます。ほてりや発汗といった体の症状がよく知られていますが、不安・抑うつ・イライラ・不眠といった心の不調も、更年期にはとても起こりやすいものです。ところが、この「心の不調」のほうは見過ごされがちで、「年のせい」と片づけられてしまうことが少なくありません。
更年期に心の不調が起こるのは、なぜか
エストロゲンの低下と、脳への影響
エストロゲンは、気分の安定に関わるセロトニンや、自律神経の働きにも影響するとされています。ですから、更年期にエストロゲンが大きく低下・変動すると、気分が不安定になりやすく、不安、抑うつ、イライラ、意欲の低下、集中力の低下、不眠などが現れやすくなります。ほてり・発汗・動悸といった自律神経症状も、同じ背景から起こります。心の症状も体の症状も、根っこは同じホルモンの変化にある、というわけです。「気持ちの弱さ」ではなく、体の中で実際に起きている変化なのです。
ライフイベントの重なり
更年期の年代は、子どもの独立、親の介護、夫婦関係の変化、仕事の責任、自身や家族の健康問題など、人生の大きな出来事が重なりやすい時期でもあります。ホルモンの変化と、こうした心理社会的な負担が重なることで、心の不調が強まりやすくなります。ホルモンの波と、生活の負担の波。この2つが同時に押し寄せる時期だからこそ、つらさが大きくなりやすいのです。頑張りが足りないのではなく、重なりすぎている——そう考えると、少し見方が変わるかもしれません。
更年期にみられる症状
心の症状
- 不安、理由のない焦り
- 気分の落ち込み、涙もろさ
- イライラ、怒りっぽさ
- 意欲・興味の低下
- 集中力・記憶力の低下を感じる
- これまでできていたことが、つらく感じる
- 眠れない、夜中に目が覚める
体の症状
- ほてり、のぼせ、発汗(ホットフラッシュ)
- 動悸、息苦しさ
- めまい、ふらつき
- 頭痛、肩こり
- 疲れやすさ、だるさ
- 冷え、関節の痛み
動悸・息苦しさ・めまいなどの自律神経症状が気になる方は、「動悸や息苦しさは不安のせい?」の解説もご覧ください。
更年期の心の不調でよくある訴え
診察では、次のようなお悩みをよくうかがいます。ひとつでも心当たりがあれば、それは相談してよいサインです。
- 理由もなく不安になり、落ち着かない
- 急に涙が出る、気分が沈む
- イライラして家族にあたってしまい、自己嫌悪になる
- ほてりや動悸で夜眠れず、日中もつらい
- 何をするのもおっくうで、やる気が出ない
- 「年のせい」「気のせい」と言われ、わかってもらえない
- 婦人科では「更年期」と言われたが、気分のつらさが続く
こうしたつらさは、我慢して乗り切るものではありません。とくに、「年のせい」「気のせい」と言われ、つらさを分かってもらえなかった経験のある方は、受診にも慎重になりがちです。でも、あなたが感じているつらさは、確かにそこにあるものです。一人で抱え込まず、相談してよい状態です。
更年期の「気分の落ち込み」と、うつ病の見分け
更年期には、ホルモンの変化による一時的な気分の落ち込みだけでなく、うつ病が起こることもあります。気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上続き、眠れない・食欲がない・何も楽しめない・自分を責める、といった状態が強い場合は、更年期症状としてだけでなく、うつ病として治療が必要なことがあります。「更年期だから、そのうち治る」と様子を見ているうちに、うつ病が見過ごされてしまう——これは避けたいところです。
とくに、これまでにうつ病やPMS・PMDD、産後うつを経験したことがある方は、更年期にも気分の不調が起こりやすいとされています。ホルモンの変動に敏感に反応しやすい方が、人生の各ステージでつらさを経験する、という流れです。気分の落ち込みが続く場合は、うつ病とは?症状・原因・治療の全体像もご覧ください。
更年期症状と間違われやすい、体の病気
気分の落ち込み、だるさ、動悸、不眠などは、更年期だけでなく、体の病気でも起こります。とくに、甲状腺機能の異常(甲状腺の働きの低下・亢進)は、症状が更年期障害やうつ病と、とてもよく似ています。貧血なども、だるさや気分の不調の原因になります。
「更年期だから」と決めつけず、必要に応じて体の病気がないかを確認することも大切です。診察では、症状の経過をていねいに確認し、必要な検査や、ほかの科との連携を考えていきます。心の不調として現れていても、その根っこに体の病気が隠れていないか——そこを見落とさないことが、確実な回復への近道です。
つらくなりやすいのは、どんな人か
更年期の心の不調は誰にでも起こりえますが、次のような方では、強く出やすいとされています。
- これまでにうつ病・不安症の経験がある
- PMS・PMDDや産後うつを経験したことがある
- もともと不安や緊張を感じやすい
- 介護・仕事・家庭など、負担が重なっている時期にある
- 眠れない状態が続いている
当てはまる方は、無理をしすぎず、早めに相談することが、つらさを長引かせないコツです。「もっとひどくなってから」ではなく、「つらいと感じた今」が、相談のよいタイミングです。
自分でできる対処
更年期のつらさをやわらげるために、日々のなかでできる工夫があります。以下は「できそうなものから」で構いません。
- 軽い運動:ウォーキングなどの有酸素運動は、気分やほてりをやわらげる助けになります
- 睡眠を整える:起床時間をそろえ、朝に光を浴びると、リズムが整いやすくなります
- カフェイン・アルコールを控えめに:ほてりや動悸、不眠を強めることがあります
- 休息と気分転換:趣味や人との交流、リラックスの時間を意識的にとりましょう
- 一人で抱え込まない:家族や周囲に状況を共有し、頼ることも大切です
- 完璧を求めすぎない:「今までどおりにできない自分」を責めないことも、回復の支えになります
とはいえ、つらいときに無理をして工夫を増やす必要はありません。できない日があっても、それで構いません。眠れない状態が続く場合は、「不眠・睡眠障害とは|眠れない原因と受診の目安」も参考になります。
受診を検討する目安
次のような場合は、精神科・心療内科への相談を検討するとよいでしょう。
- 不安・落ち込み・イライラで、生活や人間関係に支障が出ている
- 気分の落ち込みや意欲の低下が、2週間以上続いている
- ほてりや動悸で眠れず、日中もつらい
- 婦人科で更年期と言われたが、気分のつらさが続く
- 「消えてしまいたい」と感じることがある
- 何も楽しめず、自分を責めてしまう
とくに「消えてしまいたい」という気持ちがある場合は、我慢せず、早めにご相談ください。その気持ちは、あなたが弱いからではなく、つらさが限界に近づいているサインです。更年期の心の不調は、適切に対応することで、楽になっていける状態です。予約や受診の流れ、費用のことなど、受診そのものへの不安があれば、その点からお尋ねいただいて構いません。
更年期の心の不調の治療
何科に行けばよいか
ほてり・発汗など体の症状が中心なら婦人科、不安・うつ・不眠・イライラなど心の症状がつらい場合は、精神科・心療内科が相談先になります。両方ある場合は、連携しながら進めることもできます。「気分のつらさが中心」「眠れない」という方は、精神科・心療内科で相談するとよいでしょう。「何科に行けばいいのか分からない」というときも、まずご相談いただければ、適した窓口をご案内します。迷って受診が遅れるより、まず一歩、と考えてください。
精神科・心療内科でできること
不安や抑うつが強い場合は、SSRIやSNRIなどの抗うつ薬が検討されます。これらは気分の不調をやわらげるだけでなく、ホットフラッシュ(ほてり)の軽減に役立つことがあるとされ、ホルモン治療が使いにくい場合の選択肢にもなります。あわせて、不眠への対応や、考え方・生活の整え方を一緒に進めていきます。お薬は自己判断で中止せず、医師と相談しながら調整することが大切です。当院では、必要に応じて血液検査などで体の状態も確認しながら、安全に進めていきます。
婦人科でできること(連携)
婦人科では、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬など、ホルモンの低下そのものに対する治療が行われます。体の症状が強い場合や、ホルモン治療が適している場合には、これらが選択肢になります。当院では、必要に応じて婦人科と連携しながら、心と体の両面から対応します。「心と体、どちらから手をつければ」と迷わなくて大丈夫です。漢方については、女性の心の不調と漢方のページもご覧ください。
治療はどのように進むのか
治療では、まず症状の内容(心の症状か、体の症状か、両方か)、いつ頃から続いているか、生活への影響、これまでの心の不調の経験などを確認します。そのうえで、つらさの中心が心の症状であれば精神科的な治療を、体の症状が強ければ婦人科的な治療を、必要に応じて組み合わせていきます。更年期はいずれ過ぎていく時期ですが、その間のつらさを、我慢で乗り切る必要はありません。「いつか終わるから」と耐えるのではなく、その渦中を少しでも楽に過ごせるよう、一緒に整えていきます。
よくある質問
更年期の不調は、何科に行けばいいですか?
ほてりなど体の症状が中心なら婦人科、不安・うつ・不眠など心の症状がつらい場合は、精神科・心療内科が相談先です。両方あるときは、連携しながら進められます。迷われるときは、まずご相談ください。
ホルモン補充療法と抗うつ薬、どちらがいいですか?
どちらが合うかは、症状のタイプ、体の状態、ご本人の希望によって異なります。気分のつらさが中心なら抗うつ薬、体の症状が中心ならホルモン治療が検討されます。組み合わせることもあり、診察で相談しながら決めていきます。
更年期のつらさは、いつまで続きますか?
個人差がありますが、更年期は閉経前後の一定の期間で、いずれ和らいでいくことが多いものです。その間のつらさは、治療でやわらげることができます。
更年期のうつは、治りますか?
適切な治療によって、改善が期待できます。「年のせいだから」とあきらめる必要はありません。
男性にも更年期はありますか?
男性にも、加齢に伴う男性ホルモンの低下による不調(男性更年期)があり、気分の落ち込みや意欲低下などがみられることがあります。気になる場合はご相談ください。
女性の医師に相談できますか?
当院では女性医師による診療にも対応しています。更年期のデリケートな悩みを「同性の先生に話したい」という方も、安心してご相談ください。
横浜・関内で更年期の心の不調にお悩みの方へ
更年期の心の不調は、「年のせい」「気のせい」と見過ごされやすく、ご本人もまわりも、つらさに気づきにくいことがあります。しかし、不安・落ち込み・イライラ・不眠は、生活の質を大きく下げる、対応すべき不調です。我慢して一人で抱え込む必要は、ありません。
横浜・関内のみなとメンタルクリニックでは、更年期の心の不調をはじめ、うつ病、不安症、不眠症、PMS・PMDDなど、女性の心の不調全般の診療を行っています。女性医師による診療にも対応し、必要に応じて婦人科とも連携します。関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅からも徒歩5分。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています(枠の状況によります)。お仕事や家庭の合間にも、通院しやすい環境です。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町・みなとみらいエリアからもお越しいただけます。
「こんなことで相談していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。長く抱えてこられたつらさを、どうか一人で背負い込まないでください。初めての方も、緊張されて当然です。私たちは、その一歩を、ていねいにお迎えします。
関連ページ
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この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。