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2026/09/28
低気圧でだるい・眠い・起きられないのはなぜ?|天気が崩れる日の体の重さと、休めば戻る不調・続く不調の見分け方を横浜・関内の精神科医が解説
「雨の日は、朝どうしても布団から出られない」「台風が近づくと、昼間から眠くて眠くて仕事にならない」「天気が悪いだけで、体が鉛のように重い」。気圧の変化による不調のなかで、頭痛と並んで多く聞かれるのが、このだるさと眠気です。
頭痛とちがって、だるさや眠気は周りから見えにくく、「怠けているだけでは」と自分を責めてしまう方も少なくありません。けれど、天気が崩れる日に体が重くなるのは、決して珍しいことではありません。
この記事は、気圧の変化で体調を崩すのはなぜ?|台風・低気圧の頭痛・だるさ・めまいと「気象病」の正体を横浜・関内の精神科医が解説から始まるシリーズの第2章です。低気圧でだるさや眠気が出る理由、今日からできる工夫、そして「休めば戻る不調」と「天気のせいだけではない不調」の見分け方を、横浜・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医がお伝えします。
この記事の要点
- 天気が崩れる日のだるさや眠気は、自律神経のバランスが休む方向に傾くことで起きると説明されることが多いですが、しくみはまだ十分には確かめられていません
- 湿気や雨音で眠りが浅くなる、日の光が少なく体内時計がずれる、といった天気まわりの変化も重なります
- 気圧の変化によるだるさは、天気が回復すると抜けていくのが特徴です。晴れても続く場合は、ほかの原因を考える必要があります
- 短い昼寝、朝の光、起きる時間をそろえることなど、無理なくできる工夫で、つらさを和らげることができます
- いびきや呼吸の止まり、気分の落ち込み、体重の変化を伴うだるさは、天気とは別の病気が隠れていることがあります
天気が崩れる日に、体が重くなるのはなぜ?
自律神経が「休む方向」に傾くと説明されています
シリーズのピラー記事でお話ししたように、気圧の変化は耳の奥にある内耳で感じ取られ、自律神経にはたらきかけると考えられています。
自律神経には、体を活動に向かわせる交感神経と、休ませる方向に向かわせる副交感神経があります。気圧が下がると、この副交感神経の側に傾きやすくなり、体がゆったりと休む状態に入るため、だるさや眠気が出やすくなる、と説明されることが多いです。
ただ、正直にお伝えすると、この説明は理屈としては分かりやすいものの、人の体で十分に確かめられているわけではありません。頭痛にくらべると、気圧とだるさ・眠気の関係を調べた研究はまだ少ないのが現状です。「そういう考え方が有力とされている」くらいの受け止め方が、いまの研究に照らして正確だと思います。
自律神経のはたらきと天気の関係については、当院の天気と自律神経の関係を解説した記事(自律神経失調症シリーズ)でも、自律神経の側からくわしくお話ししています。
天気まわりの変化が、眠りと体内時計を乱す
気圧そのものに加えて、天気が崩れる日には、体を重くする変化がいくつも重なります。こちらのほうが、実感としては大きい方もいらっしゃるかもしれません。
- 日の光が少ない:朝の光は、体内時計を合わせ、目を覚ますためのいちばんの合図です。雨や曇りで光が弱いと、体が「朝」を感じにくくなり、眠気が残りやすくなります
- 湿気と暑さ・寒さ:蒸し暑い夜や、急に冷え込む夜は、眠りが浅くなりやすく、朝の疲れにつながります
- 雨や風の音:台風の夜は、雨音や風の音で何度も目が覚めることがあります
- 体を動かす機会が減る:外に出る気になれず家で過ごすと、日中の活動量が落ち、夜の眠りも浅くなりがちです
「気圧のせい」と感じているだるさの中には、こうした眠りの乱れの影響が含まれていることも多いと考えられます。裏を返せば、眠りを整えることで、つらさを和らげられる余地があるということです。
頭痛や不安が重なると、さらに消耗する
天気が崩れる日に頭痛も出る方は、痛みそのものでも体力を消耗します。また、「今日も調子が悪くなるかもしれない」と身構えることが続くと、それだけで疲れがたまります。頭痛については第1章で、天気と気分・不安の関係については第4章でくわしくお話しします。
こんなだるさ・眠気が出やすくなります
- 朝、目は覚めているのに体が起き上がらない
- いつもより長く寝ても、眠気が取れない
- 昼過ぎに強い眠気が来て、仕事や家事が手につかない
- 体が重く、階段や通勤がいつもよりつらい
- 頭がぼんやりして、考えがまとまりにくい
- 何をするにもおっくうで、横になっていたい
こうした状態が、気圧が下がる前後に強まり、天気が回復すると少しずつ抜けていく、というのが気圧の変化によるだるさの特徴です。
「休めば戻る不調」と「天気のせいだけではない不調」の見分け方
だるさや眠気は、さまざまな原因で起きる症状です。天気の影響だけと思っていたら、別の原因が重なっていた、ということも少なくありません。次の三つの物差しで振り返ってみてください。
物差し1:天気が戻ると、体も戻るか
気圧の変化によるだるさであれば、天気が回復して一日か二日すると、体が軽くなっていくことが多いです。晴れの日が続いても、雨の日と同じように体が重い場合は、天気以外の原因を考える必要があります。
物差し2:どのくらいの期間、続いているか
梅雨や秋雨の時期など、天気の悪い日が続けば、だるさも長引くことはあります。ただ、2週間以上、ほとんど毎日だるさや眠気が続いている場合は、一度原因を確かめておくと安心です。
物差し3:だるさ以外の変化があるか
次のような変化を伴う場合は、天気とは別の病気が隠れていることがあります。
- 家族から、いびきが大きい、寝ているあいだに呼吸が止まっていると言われる
- 体重が急に増えた、または減った
- むくみや寒がり、肌の乾燥が気になる
- 少し動いただけで息切れや動悸がする
- 気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態が続いている
- 眠れない、または寝ても寝ても眠い状態が続いている
いびきや呼吸の止まりは睡眠時無呼吸症候群、むくみや寒がりは甲状腺の病気、息切れや動悸は貧血などの可能性があります。これらは内科で調べることができます。
気分の落ち込みを伴う場合は、うつ病が背景にあることもあります。うつ病というと眠れない印象が強いかもしれませんが、なかには寝ても寝ても眠い、体が鉛のように重い、という形で現れるタイプもあります。朝起きられないことと、気分の不調との関係については、当院の朝起きられないことを解説した記事や、いつもだるい・疲れが取れないことを解説した記事でもくわしくお話ししています。
今日からできる工夫
気圧の変化そのものを止めることはできませんが、眠りと体内時計を整えることで、だるさの強さや長さを和らげることはできます。どれも、無理なく続けられるものから試してみてください。
起きる時間を、天気に合わせて変えない
だるい日ほど、つい長く寝ていたくなります。けれど、起きる時間が日によって大きくずれると、体内時計が乱れて、翌日以降のだるさにつながります。寝る時間は多少ずれても、起きる時間はなるべくいつもと同じにそろえることを意識してみてください。
朝は、曇りや雨でも窓辺で光を浴びる
曇りや雨の日でも、屋外や窓辺の光は、室内の照明よりずっと明るいものです。朝起きたらカーテンを開け、窓の近くで朝食をとったり、少しのあいだ過ごしたりするだけでも、体が「朝」を感じやすくなります。
昼寝は、午後の早い時間に短めに
どうしても眠いときは、短い昼寝を取るのも一つの方法です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、午後の早い時間に短い昼寝をとることは、日中の眠気や作業の効率の改善に役立つとされています。目安は30分以内です。長く寝すぎたり、夕方以降に寝たりすると、夜の眠りが浅くなり、かえって翌日のだるさにつながります。
少しだけ体を動かす
だるい日に運動をする気にはなれないかもしれませんが、家の中でゆっくり体を伸ばす、階段を少し使うなど、軽く体を動かすだけでも、気分と体が切り替わりやすくなります。無理に頑張る必要はありません。「少しだけ」で十分です。
気圧の予報を見て、予定を軽くしておく
気圧の変化を予報してくれるアプリや天気サイトで、気圧が大きく下がりそうな日を前もって知っておくと、その日に負担の大きい予定を入れないように調整できます。前の晩に早めに休んでおく、当日の夜は予定を入れない、といった小さな準備も助けになります。
水分と食事をきちんととる
天気の悪い日は、喉の渇きを感じにくく、食欲も落ちやすくなります。水分や食事が足りないと、だるさが強まります。少しずつでも、こまめに口にするようにしてください。
「今日は休む日」と決めてしまうことも大切です
工夫をしても、どうしても動けない日はあります。そんな日は、自分を責めずに「今日は体を休める日」と決めてしまうことも、大切な対処の一つです。無理をして頑張りすぎると、天気が回復したあとも疲れが残り、長引く原因になります。
仕事への影響が大きいときは
天気の悪い日のたびに遅刻や欠勤が増えてしまうと、職場での立場が気になり、それ自体がストレスになることもあります。
気圧の変化による不調は、体のしくみから起きていると考えられているもので、怠けではありません。ただ、休む回数が増えて仕事に影響が出ている場合は、天気以外の原因が重なっていないか、一度医療機関で確認しておくことをおすすめします。そのうえで必要があれば、在宅勤務や時差出勤など、働き方について職場や産業医と相談する方法もあります。
医療機関に相談していただきたいとき
内科に相談していただきたいとき
- いびきや呼吸の止まりを指摘されている
- 体重の急な変化、むくみ、寒がり、息切れ、動悸など、ほかの体の症状がある
- 健康診断で、貧血や甲状腺などの異常を指摘されたことがある
心療内科・精神科に相談していただきたいとき
- 晴れの日も、雨の日と同じようにだるい
- 2週間以上、ほとんど毎日だるさや眠気が続いている
- 気分の落ち込みや、何をしても楽しめない状態を伴っている
- 眠れない、または寝ても寝ても眠い状態が続いている
- 仕事や家事、学校に行くことに支障が出ている
- どこに相談すればよいか分からない
気分の落ち込みが続くときの見分け方は、当院の気分の落ち込みが続く——「ただの落ち込み」と「受診すべきうつ」の境界線でもくわしく解説しています。
みなとメンタルクリニックでできること
当院では、だるさや眠気がいつ、どんなときに出るのか、眠りの様子や気分の変化、ほかの体の症状をていねいにうかがいます。そのうえで、体の病気が隠れている可能性があるときは、必要に応じて血液検査などで体の状態を確かめたり、内科など適した医療機関をご案内したりします。
自律神経の乱れや、睡眠の問題、うつ、不安が関わっている場合は、生活リズムの整え方をご一緒に考えながら、必要に応じて漢方薬を含めたお薬による治療や、カウンセリング的アプローチを組み合わせていきます。自律神経の不調による疲れについては、当院の自律神経の乱れによる疲れを解説した記事や、自律神経失調症とは?症状・原因・受診の目安を横浜・関内の精神科医が解説もあわせてご覧ください。
みなとメンタルクリニックは関内駅からすぐの場所にあり、横浜市中区を中心に、馬車道・桜木町・みなとみらいエリアからも通っていただきやすい立地です。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています。「天気のせいだと思うけれど、念のため確かめておきたい」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
このシリーズの記事(気圧の変化による不調)
- ピラー:気圧の変化で体調を崩すのはなぜ?|台風・低気圧の頭痛・だるさ・めまいと「気象病」の正体を横浜・関内の精神科医が解説
- 第1章:低気圧で頭が痛いのはなぜ?片頭痛と気圧の関係
- 第2章:低気圧でだるい・眠い・起きられないのはなぜ?(この記事)
- 第3章:気圧の変化でめまい・耳が詰まる感じがするのはなぜ?
- 第4章:天気が崩れると気分が沈む・不安になるのはなぜ?
- 第5章:「気圧のせい」と思っていた不調が続くとき——受診の目安
よくあるご質問
雨の日にだるくて動けないのは、甘えでしょうか?
甘えではありません。天気が崩れる日にだるさや眠気が出ることは、多くの方が経験していることで、自律神経や眠りの変化が関わっていると考えられています。ただ、晴れの日も同じようにつらい場合や、長く続いている場合は、天気以外の原因が重なっていないか確認しておくと安心です。
眠いときは、寝てしまったほうがいいですか?
短い昼寝であれば、眠気を和らげる助けになります。目安は、午後の早い時間に30分以内です。長く寝すぎたり、夕方以降に寝たりすると、夜の眠りが浅くなり、翌日のだるさにつながることがあります。
コーヒーなどのカフェインで乗り切っても大丈夫ですか?
日中に適量をとる程度であれば、眠気覚ましとして役立つことがあります。ただし、夕方以降にとると夜の眠りを妨げ、翌日のだるさにつながりやすくなります。午後の遅い時間からは控えめにするのがおすすめです。
当日の予約はできますか?
はい、当日のご予約にも対応しています。土日も診療していますので、平日にお休みが取りにくい方も、どうぞご相談ください。
すぐに受診できないときの相談先
だるさとともに気持ちのつらさが強く、すぐに受診するのが難しいときは、次のような公的な相談窓口もあります。一人で抱え込まず、話せる場所を頼ってみてください。
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(お住まいの地域の相談窓口につながります)
- まもろうよ こころ(厚生労働省):電話やSNSで相談できる窓口がまとめられています
関連ページ
- 気圧の変化で体調を崩すのはなぜ?|台風・低気圧の頭痛・だるさ・めまいと「気象病」の正体を横浜・関内の精神科医が解説
- 天気と自律神経の関係(自律神経失調症シリーズ)
- 自律神経の乱れによる疲れ(自律神経失調症シリーズ)
- 朝起きられない(気分の落ち込み・無気力について)
- いつもだるい・疲れが取れない(気分の落ち込み・無気力について)
- 気分の落ち込みが続く——「ただの落ち込み」と「受診すべきうつ」の境界線
- 横浜関内で心療内科を当日予約したい方へ|今日つらいときの受診目安と初診の流れ
参考にした主な資料
- 厚生労働省:健康づくりのための睡眠ガイド2023
- 佐藤純 ほか:気圧変化と痛み・前庭系に関する研究(日本生気象学会、日本頭痛学会での報告など)
- 日本睡眠学会:睡眠障害の診療に関する資料
- DSM-5-TR(アメリカ精神医学会):うつ病の診断基準(過眠・鉛様の麻痺感を含む特徴)
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。