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2026/10/03

「この程度で休んでいいの?」と迷っている方へ|休職をためらう気持ちと、医師と一緒に決めるという考え方を横浜・関内の精神科医(産業医)が解説

朝起きるのがつらい。休日は寝て終わる。日曜の夜になると気が重い。それでも仕事はなんとか回っているし、熱があるわけでもない。「この程度で休むなんて」と思って、今日も出勤している。

診察室では、こうしたお話をよくうかがいます。そして多くの方が、最後に小さな声で「この程度で来てよかったのでしょうか」とおっしゃいます。

この記事では、横浜市中区・関内で精神科・心療内科を診療し、産業医としても働く立場から、「この程度」と感じている不調をどう考えればよいか、そして休むかどうかをどう決めていけばよいかをお伝えします。結論を先にお伝えすると、休むかどうかは、ご自分ひとりで決めなくてよいものです。

ご予約・ご相談:WEB予約はこちら(当日予約に対応しています)/お電話 045-663-5925。関内駅すぐ、土日も診療しています。


「この程度」と迷っているのは、あなただけではありません

心の不調で受診される方の多くは、ある日突然動けなくなったわけではありません。少しずつ調子が崩れ、そのたびに「まだ大丈夫」「みんなこのくらいは我慢している」と、ご自分に言い聞かせてこられた方がほとんどです。

まじめで責任感が強い方ほど、この傾向ははっきりしています。周りに迷惑をかけたくない、弱いと思われたくない、休むほどの理由が自分にあるとは思えない。そうした気持ちが重なって、相談するきっかけを先送りにしてしまいます。

迷っていること自体は、少しもおかしなことではありません。ただ、その迷いのせいで、つらい状態が長引いてしまうのはもったいないことです。

「この程度」とは、たとえばどんな不調でしょうか

職場のストレスチェックで使われている厚生労働省の「職業性ストレス簡易調査票」では、ストレスによる心と体の反応を、活気・イライラ感・疲労感・不安感・抑うつ感・体の症状の六つの面から見ています。これを、患者さんが実際に「この程度」と表現されることの多い形に置き換えると、次のようになります。

活気が落ちている

  • 休日は寝て終わってしまう
  • 好きだった趣味に手が伸びない
  • 人と会う約束が面倒に感じる

イライラしやすい

  • 家族や同僚の小さな言動に、ついカッとなる
  • 以前なら流せたことが流せない

疲れが取れない

  • 朝起きるのがつらく、体が重い
  • 寝ても疲れが残っている
  • 夕方にはぐったりして何もできない

不安が続いている

  • 日曜の夜になると気が重くなる
  • 家にいても仕事のことが頭から離れない
  • メールや電話の通知にどきっとする

気持ちが沈んでいる

  • 理由ははっきりしないのに涙が出る
  • 何をしても楽しいと感じにくい
  • 自分を責める考えが浮かびやすい

体に症状が出ている

  • 出勤前に吐き気や腹痛がある
  • 頭痛や肩こり、動悸が続く
  • 寝つきが悪い、夜中に目が覚める
  • 食欲が落ちた、または食べすぎてしまう

一つひとつは、たしかに「よくあること」に見えます。けれども、いくつかが重なって続いているなら、それは体と心がはっきりと疲れを知らせているサインです。

大切なのは「重さ」よりも「仕事と生活がどう回っているか」

症状の種類だけでは、どのくらい無理をしているのかは分かりにくいものです。診察では、仕事や生活がどのように回っているかを大切な手がかりにしています。目安として、三つの段階に分けてみます。

段階1:なんとか回っている

不調はあるものの、仕事はこなせていて、周りも気づいていない状態です。休日に休めば、ある程度は持ち直します。

段階2:無理をして回している

仕事は続けているけれど、ミスが増えて残業で穴埋めしている。朝の体調不良で遅刻ぎりぎりになる。休日に休んでも、月曜には疲れが戻っている。そんな状態です。周りからは「少し元気がない」くらいにしか見えないことが多いでしょう。

段階3:回らなくなりはじめている

遅刻や欠勤が出はじめる、通勤の途中で引き返してしまう、机に向かっても仕事が手につかない、といった状態です。

「この程度」とおっしゃる方の多くは、実は段階2にいらっしゃいます。そして段階2は、まさに相談していただきたいタイミングです。この段階で体を整えはじめると、取れる選択肢も多く、回復までの道のりも穏やかになりやすいからです。

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」でも、管理職が部下の「いつもと違う」様子に早めに気づくことが大切だとされています。この「いつもと違う」は、ご自身にも当てはめられるものさしです。

なお、ここでお示しした段階は、休職が必要かどうかを決める基準ではありません。当てはまったからといって、すぐに休職になるわけではないことも、あわせてお伝えしておきます。

なぜ自分の不調を「軽い」と感じてしまうのか

「この程度」という見積もりは、実際よりも軽くなりやすいものです。理由はいくつかあります。

  • 疲れていると、自分を測るものさしそのものがずれる:疲労や気分の落ち込みは、判断力や物事のとらえ方にも影響します。不調のさなかにいるときほど、ご自分の状態を正確に見積もるのは難しくなります。
  • 少しずつ悪くなると、慣れてしまう:数か月かけてゆっくり崩れた調子は、「これが普通」になってしまいがちです。
  • がんばってきた人ほど基準が高い:「これまでもっと大変な時期を乗り越えてきた」という経験が、いまのつらさを小さく見せてしまいます。

この点については「この程度で休むなんて」と思ってしまう方へ(not-serious-enough-to-rest)で、もう少しくわしくご説明しています。

無理をして出勤し続けると、何が起きているのか

「休むと周りに迷惑がかかる」と考えて出勤し続ける方は少なくありません。その気持ちはとても自然なものです。

一方で、調子が悪いまま働き続けることには、目に見えにくい影響があります。出勤はしているものの、体調のせいで本来の力が出せない状態を「プレゼンティーイズム」と呼びます。ニッセイ基礎研究所のレポートで紹介されている東京大学の試算では、企業の健康に関わる損失のうち、欠勤によるものは4.4%にとどまり、出勤しながらの不調によるものが約8割を占めていました。

つまり、無理をして出勤し続けることが、必ずしも周りのためになっているとは限らないということです。データの読み方や、同僚への気持ちとの向き合い方は休むと同僚に迷惑がかかる、と悩んでいる方へ(leave-guilt-coworkers)でお伝えしています。

また、精神科の病気では、症状が出てから治療を始めるまでの期間が長いと、その後の経過に影響しうると考えられており、うつ病などの気分の病気でも同じような傾向を示す報告が積み重なってきています(Dell’Ossoらによる2013年の総説など)。早めに相談することは、大げさなことではなく、回復を穏やかにするための現実的な選択です。

休職は「もらうもの」ではなく「医師と一緒に決めるもの」

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。

「この程度で診断書をもらっていいのか」と悩む方は多いのですが、診断書は、診察を通して医学的に判断した結果として出すものです。ご自分で「もらってよいか」を判断する必要はありません。

  • 受診したからといって、休職が決まるわけではありません:お話をうかがったうえで、休むほうがよいのか、働きながら治療できるのかを一緒に考えます。
  • 選択肢は「休職か出勤か」の二つだけではありません:残業を控える、業務量を調整する、通院しながら働く、といった間の選択肢もあります。くわしくは休むか、働き続けるかの二択で悩んでいる方へ(short-rest-option)をご覧ください。
  • 「休みたい」と口にしてよい:休みたいと感じていること自体が、大切な情報です。その気持ちをそのままお話しください。

「この程度」かどうかを決めるのは、あなたひとりの役目ではありません。迷っているなら、その迷いごと持ってきていただければ十分です。

迷いの中身ごとのガイド

休むことへのためらいには、いくつかの形があります。ご自分に近いものから読んでみてください。

眠れなさが中心の方は不眠だけで休職はできる?(insomnia-leave)、休職の手続きや流れを知りたい方は休職の進め方(leave-of-absence-guide)もあわせてご覧ください。

横浜・関内で相談するには

みなとメンタルクリニックは、関内駅からすぐの場所にあります。馬車道・桜木町・みなとみらい方面からもお越しいただけます。土日も診療しており、当日予約にも対応していますので、平日に時間が取りにくい方もご相談ください。

「休職したいかどうかも、まだ分からない」という段階でかまいません。いまの状態を一緒に整理するところから始めましょう。

ご予約・ご相談:WEB予約はこちら/お電話 045-663-5925

すぐに受診できないときの相談先

受診までに時間がかかるときや、夜間・休日に気持ちがつらくなったときは、次のような公的な相談先もあります。

  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(お住まいの地域の相談窓口につながります)
  • よりそいホットライン:0120-279-338
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」:電話やSNSで相談できる窓口がまとめられています

よくあるご質問

この程度の不調で受診してもよいのでしょうか

はい、ご相談ください。「この程度」と感じている段階で相談していただくほうが、取れる選択肢も多く、回復も穏やかになりやすいと考えています。

受診したら、休職を勧められますか

必ずしもそうではありません。お話をうかがったうえで、働きながら治療する、業務を調整する、休養をとるなど、いまの状態に合った方法を一緒に考えます。

休職の診断書は、希望すれば書いてもらえますか

診断書は診察を通じて医学的に判断したうえでお出しするものです。休みたいというお気持ちは大切な情報ですので、遠慮なくお話しください。そのうえで、休養が必要かどうかを一緒に判断します。

会社に知られずに受診できますか

受診したことが会社に伝わることはありません。会社に何をどう伝えるかは、ご本人と相談しながら決めていきます。

当日に受診できますか

可能です。当院は当日予約に対応しています。土日の診療もありますので、平日にお時間が取りにくい方もご相談ください。


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この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)

医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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