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2026/07/04

自立支援医療(精神通院医療)とは?医療費が1割になるしくみと申請の流れを横浜・関内の精神科医が解説

診察室でお会計の話になったとき、ふと表情が曇る方がいらっしゃいます。聞けば、通院が半年を過ぎて、毎月の診察代とお薬代がじわじわ家計に響いてきた、と。こころの治療は風邪のように数回で終わるものではないことが多いので、これはとても自然な悩みです。

そういうときに私たちが必ずお伝えしているのが、自立支援医療(精神通院医療)という制度です。ひとことで言うと、通院の医療費が3割負担から原則1割負担になる公的な制度。障害者総合支援法にもとづく国の制度で、名前がすこし堅苦しいせいか知らない方が多いのですが、精神科・心療内科に通う方にとっては、いちばん身近で使いやすい制度のひとつだと思います。

この記事では、横浜・関内のみなとメンタルクリニックが、このしくみと申請のしかたを順にご説明します。


3割が1割になる、というのはどういうことか

ふだん病院や薬局の窓口で払っているのは、医療費全体の3割です。自立支援医療が適用されると、これが原則1割まで下がります。たとえば毎月の診察とお薬で6,000円ほど払っている方なら、2,000円ほどになる計算です。差額の4,000円が1年続けば、5万円近く。通院が長くなるほど、この差は効いてきます。

しかもこの制度には、もうひとつ手厚いところがあります。世帯の所得に応じて、1か月に支払う自己負担の上限額が決められるのです。上限は0円から2万円までの幅があり、その月の支払いが上限に達したら、それ以上の負担は生じません。症状が重く治療が長期にわたる見込みの方には、「重度かつ継続」という区分で、さらに低い上限が設定されることもあります。

国の制度なので、協会けんぽでも組合健保でも国民健康保険でも、加入している医療保険の種類を問わず利用できます。


自分は対象になるのか

対象は、精神疾患のために継続的な通院治療を必要とする方です。うつ病や双極性障害、不安障害やパニック障害、強迫性障害、統合失調症、ADHDや自閉スペクトラム症といった発達障害、てんかんなど、精神科・心療内科で診ている病気の大半が含まれます。

「私の診断名で使えるのでしょうか」とよく聞かれますが、ここで悩む必要はありません。対象になるかどうかは主治医が判断して診断書を作成しますから、診察のときに「自立支援を使いたいのですが」と一言おっしゃっていただければ、それで話が始まります。

ひとつだけ前提があって、これはあくまで通院を支えるための制度です。対象になるのは、外来の診察料、登録した薬局でのお薬代、精神科デイケア、精神科訪問看護などの費用。入院費や、精神疾患と関係のない病気の治療費、診断書などの文書料は対象外です。当院は外来のほかに訪問看護も行っていますが、その訪問看護の利用料にも使えることは、案外知られていません。


申請のしかた

窓口は、お住まいの市区町村です。横浜市の方なら、お住まいの区の区役所にある障害福祉の窓口。中区にお住まいなら中区役所ですね。

流れとしては、まず診察で主治医にご相談いただき、専用の診断書をお作りします。それを申請書と一緒に区役所へ持っていく、というだけです。書類は診断書のほかに、健康保険の情報がわかるもの、マイナンバーのわかるもの、所得の確認に関する書類などが必要になります。細かい持ち物は自治体によって異なることがあるので、区役所のホームページや窓口でご確認ください。

申請のときに、利用する医療機関と薬局を指定します。1割負担が適用されるのは登録した先だけなので、いつも処方箋を持っていく薬局をここで決めておいてください。転居や転院の際には、あとから変更の手続きもできます。

審査を経て「自立支援医療受給者証」が手元に届くまで、1〜2か月ほどかかることがあります。ただ、多くの自治体では申請日にさかのぼって制度が適用される運用になっています。「受給者証が来てから」と待つ必要はありませんし、逆に言えば、通院が長くなりそうだと感じた時点で早めに申請しておくのが得策です。


更新のこと

受給者証の有効期限は1年です。続けて利用する場合は期限前に更新の手続きをしますが、診断書の提出は毎年ではなく、2年に1回でよいこととされています(運用の詳細は自治体によって異なることがあります)。期限が近づいたら診察のときに教えていただければ、こちらで書類の準備を進めます。実際のところ、更新を忘れて期限を切らしてしまう方がときどきいらっしゃるので、受給者証の期限は保険証と同じ感覚で、頭の片隅に置いておいてください。


よく聞かれること

会社に知られませんか

これは本当によく聞かれます。申請の相手は市区町村で、勤務先が関わる手続きはありません。傷病手当金のように会社の記入欄がある書類も使いません。ですので、申請したこと自体が勤務先に伝わることは、基本的にありません。通院していることを職場に伏せている方でも、安心して検討できる制度です。

デメリットはないのですか

大きなものはありませんが、しいて言えば三つ。利用できる医療機関と薬局が登録先に限られること、1年ごとの更新手続きがあること、申請用の診断書に文書料がかかることです。月1回程度の通院が続いている方なら、文書料を考えても負担軽減のほうが大きくなることがほとんどです。

ほかにお金の面で使える制度はありますか

お仕事を休んで療養している方には、給与のおよそ3分の2にあたる額が健康保険から支給される傷病手当金があります。自立支援医療は、こうした制度と併用できます。療養が長引いている方の障害年金や、精神障害者保健福祉手帳についても、それぞれ別の記事でご説明しています(この記事の下の関連ページをご覧ください)。


治療を続けるための制度です

こころの治療でいちばん惜しいのは、良くなりかけたところで、お金の理由から通院が途切れてしまうことです。自立支援医療は、そうならないために国が用意している制度で、当院も指定自立支援医療機関として、日々多くの患者さんにご利用いただいています。

当院は関内駅から徒歩2分、馬車道・桜木町・みなとみらい方面からも通いやすい場所にあります。横浜市中区の周辺でお勤め・お住まいの方で、「自分も対象になるのか聞いてみたい」という段階でもかまいませんので、診察の際に気軽にお尋ねください。WEB予約はこちらから、ご不明な点はよくある質問もご覧ください。


関連ページ


参考・情報源

本記事は、以下の情報をもとに作成しています。個々のご事情への当てはめは、診察や区役所窓口での確認にもとづいて一緒に考えていきます。

  • 厚生労働省|自立支援医療(精神通院医療)の概要
  • 厚生労働省|みんなのメンタルヘルス総合サイト(自立支援医療制度の案内)
  • 横浜市|自立支援医療(精神通院医療)の申請に関する案内

この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・発達障害などを中心に診療。産業医として、働き方や職場のメンタルヘルスにも対応。

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