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2026/06/10

不眠症の受診目安|眠れないときは精神科・心療内科へ相談を

「もう少し様子を見てから」——不眠で受診された方に、いつから眠れないのか聞くと、半年、1年、なかには5年という答えが返ってくることがあります。その間ずっと、様子を見ていた。

気持ちはわかります。眠れないくらいで病院に行っていいのか。大げさではないか。もっと大変な人がいるのに——。ただ、その遠慮の分だけ、つらい夜が積み重なってしまいます。そして不眠は、長引くほどほどきにくくなる性質を持っています。

この記事では、どこからが受診のタイミングなのか、何科に行けばいいのか、行ったら何をされるのかを、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が解説します。不眠の原因については前回の不眠症の原因|ストレス・生活習慣・こころの不調との関係をご覧ください。


受診しようか迷っている方へ
みなとメンタルクリニックは関内駅から徒歩2分(桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分)。祝日以外は土日も診療しており、当日予約にも対応しています。平日に休みが取りづらい方も、思い立った日にご相談いただけます。
WEB予約はこちら(当日予約可)/初めての方は初診の流れのご案内をご覧ください。


受診の目安——「週3回・1か月・日中の支障」

まず、基本のラインから。眠れない夜が週3回以上あり、それが1か月以上続いていて、日中の生活に支障が出ている。この3つが揃ったら、治療を考える段階です。

ポイントは3つ目の「日中の支障」です。眠れないこと自体より、それが昼間に何をしているかを見ます。仕事のミスが増えた、集中が続かない、些細なことで苛立つ、運転中に眠気が来る、人に会うのが億劫になった——こうした変化が出ているなら、眠りの問題はすでに生活の問題です。

逆に、眠っている時間が短くても日中に支障がなければ、それはその人にとって足りている眠りです。疫学の記事でも書いたとおり、必要な睡眠時間には個人差があります。時間の数字にこだわりすぎると、それ自体が不眠のもとになります。

期間を待たずに相談してほしいサイン

1か月という目安を書きましたが、それより早く来ていただきたい場合があります。

  • 朝早く目が覚めて、そのまま眠れない日が続く:不眠のタイプの記事で書いたとおり、早朝覚醒はうつ病のサインであることが多い症状です。
  • 気分の落ち込みや、興味・喜びの喪失を伴う:眠れない話をしているうちに「そういえば最近、何も楽しくない」と気づく方がいます。それはもう、不眠だけの話ではありません(うつ病と気分の落ち込みの違い)。
  • 大きないびき+日中の強い眠気:睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。放置すると高血圧や心臓の病気のリスクにも関わります。当院では自宅でできる検査・治療に対応しています。
  • 眠らなくても平気な時期がある:双極性障害を疑う重要なサインです。
  • 眠るためにお酒の量が増えている:眠りの質を落とすうえ、量が増えていく性質があります。早めに軌道修正したい習慣です。
  • 「消えてしまいたい」という考えが浮かぶ:期間を数える必要はありません。今日ご相談ください。

何科に行けばいいのか

よく迷われるところです。結論から言えば、不眠が1か月以上続いているなら、精神科・心療内科が適しています。

理由は、原因の記事で書いたとおり、慢性的な不眠の背景には、うつ病や不安症といった心の不調が隠れていることが多いからです。内科で睡眠薬だけを処方してもらう対処は、背景を残したまま症状に蓋をすることになりかねません。眠れない原因ごと診るのが、精神科・心療内科の仕事です。

「精神科は敷居が高い」と感じる方もいますが、不眠は精神科の外来で最も日常的な相談の一つです。うつ病かどうか分からない段階、「ただ眠れないだけ」という段階での受診で、まったく問題ありません。むしろ、その段階で来ていただけるのが理想です。

当院は精神科・心療内科・内科を掲げており、睡眠時無呼吸の検査から、心の不調の評価まで、一つの窓口で診られる体制をとっています。女性医師も在籍していますので、「男性の医師には話しにくい」という方もご相談ください。

受診したら、何をされるのか

「いきなり睡眠薬を出されるのでは」という不安をよく聞くので、実際の流れを書いておきます。

まず伺うのは、眠りのどこがどう崩れているかです。寝つくまでの時間、夜中に目が覚めるか、朝は何時か、日中の眠気はどうか。次に、背景の確認。仕事や生活の状況、気分の変化、お酒やカフェイン、飲んでいる薬、いびきの有無。必要に応じて、体の病気を除外するための検査や、睡眠時無呼吸の検査を行います。

そのうえで、打つ手を組み立てます。生活リズムの立て直し、ストレス要因への対処、背景に不安症やうつ病があるならその治療。睡眠薬を使う場合も、症状のタイプに合った種類を選び、やめ方まで含めて設計してから始めます。「とりあえず睡眠薬」ではありません。

受診の際は、お薬手帳を持ってきてください。ほかの病院で出ている薬が眠りに影響していることがあります。

「まだ大丈夫」と思っている方へ

不眠には、長引くほどほどきにくくなる性質があります。原因の記事で書いた「眠れないことへの不安」の回路が、時間をかけて太くなっていくからです。最初のきっかけ(仕事のストレスなど)が過ぎ去っても、この回路だけが残って眠りを妨げ続ける。

だから、早く相談するほど、手数は少なくて済みます。半年悩んでから来るより、1か月で来たほうが、ほどく作業は簡単です。「大げさかもしれない」と思うくらいの段階が、ちょうどいいタイミングです。

費用が気になる方へ。精神科の通院には、自己負担が原則1割になる自立支援医療という制度があります。仕事を休むほどの状態であれば、休職傷病手当金などの制度についても、診察でご相談いただけます。

みなとメンタルクリニックは関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。横浜市中区を中心に、みなとみらいエリアからも通いやすい場所にあります。祝日以外は土日も診療しており、WEB予約は当日予約にも対応しています。今夜も眠れないかもしれない、と思っているなら、その不安ごと持ってきてください。

WEB予約はこちら(当日予約可)

よくある質問

睡眠薬に頼りたくないのですが、それでも受診する意味はありますか?

大いにあります。診察は薬を出すための場ではなく、眠れない原因を突き止める場です。生活リズムの調整や、背景にあるストレスへの対処だけで改善する方もいます。「薬は使いたくない」という希望は、最初にはっきり伝えてください。それを前提に治療を設計します。

眠れないだけで診断書は出ますか? 会社を休みたいのですが。

診断書は、診察のうえで必要と判断した場合に発行します。不眠が日中の機能を大きく損なっている、背景にうつ病があるといった状態であれば、休養が治療上必要になります。当院には日本医師会認定産業医の資格を持つ医師が在籍しており、職場との調整を見据えた相談が可能です。

もう何年も眠れていません。いまさら行っても手遅れでしょうか?

手遅れということはありません。長引いた不眠は確かにほどくのに時間がかかりますが、ほどけないわけではないのです。何年も一人で耐えてきた方こそ、一度その糸を専門家と一緒に見てみてください。


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監修:田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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