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2026/08/12

不眠で休みたいと会社にどう伝える?|上司・人事・産業医への伝え方を横浜・関内の精神科医(産業医)が解説

眠れない状態が続いていて、そろそろ働き方を変えるか、休むかを考えなければならない。けれども、会社にどう切り出せばいいのか分からない。「眠れないので」と言って、通じるのだろうか——。

受診されて休養が必要と決まったあと、いちばんの難関がここだという方は少なくありません。医学的な判断は医師がしますが、それを会社に伝えるのはご本人だからです。

この記事では、横浜市中区・関内で精神科・心療内科を診療し、産業医としても働く立場から、誰に、いつ、どう伝えればよいのかを具体的にご説明します。そのまま使える言い回しも載せていますので、必要な部分をお持ちください。


まず、どこまで話す義務があるのでしょうか

ここから確認しておきましょう。

病名や症状の詳細を、会社に説明する義務はありません。健康情報はもっとも配慮が必要とされる個人情報であり、本人の同意なく取り扱われるものではありません。

会社が必要としているのは、実際には次の三つだけです。

  • いつから、どのくらい休むのか(あるいは、どんな配慮が必要なのか)
  • 業務をどう引き継ぐか
  • その根拠となる医師の判断があるか

ですから、「体調を崩していて、医師に相談しています」で十分に成立します。詳しく話さないことは、不誠実ではありません。

誰に伝えるとよいのでしょうか

直属の上司に、と考えがちですが、選択肢はいくつかあります。

直属の上司

業務の調整をする立場なので、最終的には伝わることになります。ただ、最初の相談相手として最適とは限りません。関係がよくない場合や、その方との関係が不眠の一因になっている場合は、別の窓口から入るほうが安全です。

人事・総務

休職制度の運用を担当しています。制度の内容を確認したいときは、ここが確実です。「制度について教えてほしい」という入り方であれば、休むと決める前でも相談できます。

産業保健スタッフ(保健師など)

いる会社では、いちばん相談しやすい窓口です。健康の相談を受けることが業務なので、身構えずに話せます。

産業医

医師なので、症状の話をそのまま伝えられます。面談で話した内容が、そのまま会社に報告されるわけではありません。就業上の配慮が必要かどうか、という形に整理されて伝えられる仕組みです。この点を誤解して身構えておられる方が多いので、覚えておいてください。


伝え方も、診察で一緒に整理できます

みなとメンタルクリニックは、JR関内駅・横浜市営地下鉄関内駅から徒歩圏、みなとみらい線馬車道駅、JR桜木町駅からもお越しいただける横浜市中区の精神科・心療内科です。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています。お仕事帰りにもお立ち寄りいただけます。

「何と言えばいいか分からない」というご相談も、日常的にお受けしています。産業医の視点から、会社側がどう受け取るかも含めてお伝えできます。


段階別の伝え方

まだ休まず、働き方を調整したい段階

この段階での相談は、切り出しやすいものです。「休ませてください」ではなく「続けるために調整したい」という形になるからです。

「最近、睡眠がうまく取れない状態が続いていて、日中の集中に影響が出ています。医療機関にかかって治療を始めたところです。しばらくのあいだ、残業を減らす形にしていただけると助かります。」

依頼したい内容を具体的にすると、話が早く進みます。残業の制限、夜勤や早朝勤務の免除、出張の見合わせ、在宅勤務の併用、締め切りが厳しい案件からの一時的な外れ。会社が判断しやすい形で示すのがこつです。

休職を申し出る段階

「体調を崩していまして、医師から一定期間の休養が必要と言われました。診断書をお持ちしています。手続きについてご相談させてください。」

これで十分です。理由を先に説明しようとすると話が長くなり、かえって伝わりにくくなります。結論、根拠、依頼の順に短くまとめてください。

引き継ぎについて先に触れておくと、相手も受け止めやすくなります。

「担当している案件は一覧にまとめました。引き継ぎの進め方をご相談させていただければと思います。」

診断書を提出するとき

提出先は会社によって異なります。上司経由の場合も、人事へ直接の場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。

提出のとき、診断書の内容以上の説明を求められることがあります。答えたくない部分は、次のようにお伝えいただいて構いません。

「詳しいことは医師から診断書に記載していただいたとおりです。それ以上は、産業医の先生にご相談いただければと思います。」

そのまま使える言い回し

場面ごとにいくつか挙げておきます。ご自分の言葉に直してお使いください。

最初に切り出すとき

  • 「体調のことで、少しご相談したいことがあります。10分ほどお時間をいただけますか。」
  • 「体調の面で相談したいことがあり、人事の方にお時間をいただけますでしょうか。」
  • 「産業医面談を希望したいのですが、どのように申し込めばよいでしょうか。」

症状を説明するとき(詳しく言いたくない場合)

  • 「睡眠が取れない状態が続いていて、体調に影響が出ています。」
  • 「体調上の理由で、しばらく負荷を下げる必要があると言われました。」
  • 「詳細は控えさせていただきますが、医師の判断で休養が必要な状況です。」

踏み込んだ質問をされたとき

  • 「申し訳ありませんが、そこは医師とのやりとりになりますので。」
  • 「診断書に記載いただいている範囲でご理解いただけますと幸いです。」
  • 「産業医の先生を通していただければ、必要な情報は共有されると思います。」

引き止められたとき

  • 「私も続けたい気持ちはあるのですが、医師の判断としてこうなっております。」
  • 「無理をして長引かせるより、いったん整えたほうが早く戻れると言われました。」
  • 「ご心配をおかけして申し訳ありません。手続きについて人事にも相談させてください。」

「医師の判断」を主語にすると、話が個人の意思の問題から離れ、対立になりにくくなります。

メールやチャットで伝えるとき

対面で切り出すのが難しいときは、文面から入っても構いません。短くまとめる形の例です。

件名:体調に関するご相談のお願い

お疲れさまです。◯◯です。
体調面でご相談したいことがあり、近いうちに30分ほどお時間をいただけますでしょうか。
内容は健康に関することで、業務の進め方についてもあわせてご相談できればと思っております。
ご都合のよい日時をお知らせいただけますと幸いです。

この段階で詳細を書く必要はありません。時間をもらうことだけが目的と考えてください。

産業医面談で話すこと

産業医面談は、会社に報告するための取り調べではありません。就業上の配慮が必要かどうかを判断するための場です。

話しておくとよいのは、次のような点です。

  • 眠れない状態がいつから、どのくらい続いているか
  • 日中の業務にどう影響しているか(集中、判断、ミス)
  • 勤務時間、残業の量、夜勤や交代勤務の有無
  • 直近で変わったこと(異動、担当替え、上司の交代など)
  • すでに医療機関にかかっているか
  • 会社にどこまで伝えてよいか、伝えたくないことは何か

最後の項目は、必ずお伝えください。伝えてほしくない範囲は、はっきり言っていただいて構いません。

避けたい伝え方

意図せず不利になりやすいものを挙げておきます。

特定の人物への不満として伝える

実際にそれが原因であっても、切り出しの場面では体調の話に絞るほうが進みます。人間関係の調整が必要であれば、産業医や人事を通じて別途扱うほうが確実です。

「大丈夫です」を繰り返す

気遣いから出る言葉ですが、相手は本当に大丈夫だと受け取ります。結果として必要な配慮が得られません。つらい部分は、そのまま伝えてください。

曖昧に濁す

「ちょっと調子が悪くて」だけでは、深刻さが伝わりません。期間と影響を具体的に添えてください。「2か月ほど眠れない日が続いていて、集中が持たない状態です」のように。

限界まで待つ

いちばん多いのがこれです。突然休むことになると、引き継ぎの時間も取れず、周囲への影響も大きくなります。早いほど選択肢が多いとお考えください。

伝えるタイミング

「繁忙期を過ぎてから」「この案件が終わってから」と考えているうちに、次の案件が来る——これはよくある展開です。

目安としては、医師から休養が必要と言われた時点が、伝えるタイミングです。日程の調整は、そのあとで相談すればよいことです。

休職を考えはじめた段階の整理は休職を考えはじめたとき(thinking-about-taking-leave)、手続きの全体像は休職の進め方(leave-of-absence-guide)にまとめています。

思うように受け止めてもらえなかったとき

軽く扱われた

「そのくらい誰でもある」と返されることがあります。その場で説得しようとせず、診断書という形にして再度示すのが確実です。書面は個人の主観ではなく、医学的な判断だからです。

強く引き止められた

人事や産業医に相談先を移してください。上司の一存で決まる事柄ではありません。

制度がよく分からないと言われた

就業規則を確認させてほしい、と伝えてください。休職に関する規定は、通常そこに記載されています。

どの場面でも、ひとりで抱えて交渉しないことが大切です。診察でも相談していただけますし、産業医という第三者を挟むことで進みやすくなります。

復職のときにも、伝え方があります

休職が終わる際にも、同じように伝え方が問われます。「もう完全に大丈夫です」と言い切ってしまうと、必要な配慮が得られません。

「眠れるようになり、日中の活動もできています。しばらくは残業のない形から始められると助かります。」

復職の時期の考え方は復職の時期をどう決めるか(return-to-work-timing)、復職前の不安については復職前に不安になったら(anxiety-before-return-to-work)をご覧ください。

伝える前に、状態を整えておきましょう

会社との話は、それ自体が負担になります。眠れない状態でひとりで抱え込むと、話す前に消耗してしまいます。

「消えてしまいたい」といった考えがふと浮かんだときは、会社との話を進める前に、まずご相談ください。診察を待たずに話したいときは、次の窓口もご利用いただけます。

  • こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
  • よりそいホットライン:0120-279-338(24時間)
  • 厚生労働省「まもろうよ こころ」(SNS相談などの窓口一覧)
  • 命に関わる危険があるときは119番

よくあるご質問

病名を聞かれたら答えなければいけませんか

答える義務はありません。診断書に記載された範囲でご理解いただくよう伝えて構いません。踏み込んだ質問が続く場合は、産業医や人事を通す形にしてください。

上司との関係が原因なのですが、その上司に言うしかないのでしょうか

人事や産業保健のスタッフ、産業医から入る方法があります。順序としてそちらが先でも問題ありません。

小さな会社で、産業医も人事担当もいません

その場合は経営者や直属の上司に伝えることになります。診断書を用意して、期間と必要な配慮を明確にしてお持ちください。書面があると話が進みやすくなります。

言ったら評価が下がりませんか

不調のまま働き続けてミスが重なるほうが、結果として影響が大きくなることが多いものです。早めに調整するほうが、回復も復帰も早く済みます。

何と言うか、診察で相談できますか

できます。場面を想定して言葉を整えることもできますし、産業医の視点から会社側の受け取り方をお伝えすることもできます。


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この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)

医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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