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2026/07/07

人の目が気になる・嫌われるのが怖いのは性格?社交不安症との見分け方を横浜・関内の精神科医が解説

人の目が気になる・嫌われるのが怖いのは性格?社交不安症との見分け方を横浜・関内の精神科医が解説

会議で発言したあと、「変なことを言ったかもしれない」と何度も思い返す。メールを送ったあとも、失礼な書き方ではなかったかと読み直す。相手の返事が少し短いだけで、「嫌われたのではないか」と落ち着かなくなる。

人と話している最中も、会話の内容より、自分がどう見られているかのほうが気になる。声が震えていないか。顔が赤くなっていないか。つまらない人だと思われていないか。そんなことばかり考えてしまい、家に帰るころには、すっかり疲れきっている。

「気にしすぎだよ」と言われなくても、自分で気にしすぎていることは分かっています。それでも、「もう考えないようにしよう」と思うほど、かえって相手の表情や自分の言葉が頭から離れなくなるものです。

人からどう思われているかを気にすることは、誰にでもあります。人間関係のなかで暮らしている以上、まわりの反応をまったく気にせずに過ごすことは難しいでしょう。

ただ、その不安のために発言できない、人と会えない、電話に出られない、仕事や学校を避けるようになっているとしたら、「繊細な性格だから」で終わらせないほうがよいことがあります。背景に、社交不安症(社交不安障害)という、治療によって和らげられる状態が隠れている場合があるからです。

このページでは、人の目が気になる理由、HSPと呼ばれる繊細さとの関係、社交不安症との違い、自分で取り組める工夫、医療機関へ相談する目安まで、横浜・関内のみなとメンタルクリニックが解説します。

このページは、「繊細さ・生きづらさ(HSP)」全5回シリーズの第2回です。HSPの基本的な意味から確認したい方は、第1回のHSP(繊細さん)とは?疲れやすさの原因と「治療できるつらさ」との見分け方からお読みください。

「読むより先に、今のつらさを相談したい」という方へ。当院は関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分です。土曜日・日曜日も診療し、平日は夜19時まで対応しています。空きがある場合は当日のご予約も承っています。WEB予約はこちらからご確認ください。


なぜ、人の目がこんなに気になるのか

人の目が気になる方は、決して自分のことばかり考えているわけではありません。むしろ反対です。相手の表情や声の調子、その場の空気を細かく受け取り、「不快にさせていないか」「迷惑をかけていないか」と、相手の立場を考え続けています。

相手が少し黙っただけで、何かまずいことを言ったのではないかと心配する。メッセージの返信が遅いと、自分が嫌われたからではないかと考える。職場で誰かが不機嫌そうにしていると、自分に原因があるように感じる。

もちろん、相手が黙った理由は分かりません。単に疲れていたのかもしれませんし、別の仕事について考えていたのかもしれません。それでも、不安が強くなっているときの頭は、いくつもある可能性のなかから、最も自分を責める答えを選びやすくなります。

「嫌われたかもしれない」という考えが浮かぶと、体にも緊張が走ります。心拍が速くなり、肩や喉に力が入り、声が出にくくなる。その体の変化に気づいて、「緊張していることまで相手にばれた」と、さらに不安になる。

人の目が気になる苦しさは、単なる気の持ちようではありません。考え、感情、体の反応、避けたくなる行動が絡み合い、ひとつの輪になっています。

「嫌われるのが怖い」という気持ちの奥にあるもの

嫌われることが怖い方のなかには、「人間関係が壊れたら、自分は一人になってしまう」「相手に悪く思われたら、この場所にいられなくなる」という強い不安を抱えている方がいます。

そのため、人の期待にできるだけ応えようとします。誘いを断らない。頼まれた仕事を引き受ける。相手と意見が違っても、自分の考えをのみ込む。腹が立っていても、笑ってその場をやり過ごす。

こうした対応は、その場の関係を波立たせないという意味では役に立ちます。しかし、いつも自分を後ろに下げていると、「本当の自分を出したら嫌われる」という感覚が、ますます強くなります。

人に合わせ続けているのに、安心にはならない。それどころか、「今の関係は、相手が本当の自分を知らないから成り立っているだけだ」と感じることさえあります。

頼まれごとを断れない、自分の都合をいつも後回しにしてしまうという方は、第3回の気を使いすぎて疲れる・断れないのは性格?限界のサインと対処もあわせてご覧ください。

HSPの繊細さと「人の目が気になる」ことの関係

HSPという言葉は、人よりも刺激を受け取りやすく、物事を深く処理する感受性の傾向を説明するものです。医学的な病名や診断名ではありません。

感受性が高い方は、相手の声の変化や表情の曇り、その場の空気に気づきやすい傾向があります。ほかの人が気に留めないような反応も受け取るため、人間関係で疲れやすくなることがあります。

ただし、人の目が気になるからHSP、というわけではありません。

人からどう評価されるかへの強い恐れは、HSPとは別に、社交不安症、広い意味での不安症、過去の対人経験、自信を失う出来事など、さまざまな背景から生じます。感受性の高さと社交不安症が、同じ方に重なっている場合もあります。

大まかに分けると、HSPの繊細さは、音や光、人混み、相手の感情など、さまざまな刺激を幅広く受け取りやすい傾向です。一方、社交不安症で中心になるのは、人から否定的に評価されること、恥をかくこと、失敗を見られることへの強い恐れです。

どの名前に当てはまるかを急いで決めるより、「何が怖いのか」「どの場面を避けているのか」「生活がどのくらい狭くなっているのか」を見るほうが、これからの対処につながります。

社交不安症(社交不安障害)とは

社交不安症は、人から注目されたり、評価されたりする可能性がある場面で、強い不安や恐怖を感じる状態です。

心配の中心には、「失敗したらどうしよう」だけでなく、次のような思いがあります。

  • 声や手の震えを見られたら、変な人だと思われる
  • 顔が赤くなったら、緊張していることがばれる
  • うまく話せなければ、能力がないと思われる
  • 食べ方や手元を見られたら、恥をかく
  • 会話が途切れたら、つまらない人だと思われる
  • 相手を不快にさせたら、嫌われてしまう

この不安は、本人にとって非常に現実的です。「そんなに気にする必要はない」と頭では分かっていても、実際にその場面になると、体が危険に直面したかのように反応します。

社交不安症について、症状や治療をさらに詳しく知りたい方は、社交不安障害とは?人前で緊張する症状・原因・治療もご覧ください。

社交不安症が表れやすい場面

社交不安症というと、大勢の前でスピーチをする場面だけを想像するかもしれません。実際には、日常のさまざまな場面で表れます。

仕事で起こりやすい場面

  • 会議で発言する
  • 朝礼や発表で人前に立つ
  • 上司へ報告や相談をする
  • 職場の電話に出る
  • 同僚がいる前で文字を書く
  • 休憩室や飲み会で雑談する
  • 面接や評価面談を受ける

学校や人づきあいで起こりやすい場面

  • 授業で指名される
  • 自己紹介をする
  • グループに途中から入る
  • 初対面の人と話す
  • 人前で食事をする
  • 店員へ質問する
  • 美容院やタクシーで会話する
  • メッセージを送ったあと、返事を待つ

人前での発表だけが怖い方もいれば、雑談、食事、電話、視線を感じる場面など、対人場面のほとんどに不安を感じる方もいます。

心と体に表れる主な症状

人の目が気になるとき、症状は考えや感情だけでなく、体にも表れます。

考えや感情に表れる症状

  • 失敗する場面を何度も想像する
  • 相手に嫌われたと考え続ける
  • 会話の内容をあとから繰り返し思い出す
  • 自分の声、表情、姿勢ばかり気になる
  • 相手の反応を悪い方向に受け取りやすい
  • 人と会う予定が近づくと、何日も前から憂うつになる

体に表れる症状

  • 動悸、息苦しさ
  • 声や手足の震え
  • 顔が赤くなる、熱くなる
  • 汗が多く出る
  • 口が乾く
  • 吐き気、腹痛、下痢
  • 頭が真っ白になる
  • 体がこわばる

動悸や息苦しさが突然強まり、「倒れるのではないか」と感じる場合には、パニック障害とは?も参考になります。

初めて強い動悸や胸の痛みが出た場合、意識が遠のいた場合、運動中にも症状が出る場合などは、初めから不安のせいと決めつけず、内科や循環器内科などで体の病気を確認してください。

緊張を隠そうとするほど、緊張が強くなることがある

人前で緊張する方は、何とか緊張を隠そうとします。

話す内容を頭の中で何度も練習する。手の震えを見られないように、物を持たない。赤面を隠すため、相手の顔を見ない。目立たない席を選び、発言を避ける。お酒を飲んでから人に会う。

どれも、その場を何とか乗り切るために身につけた工夫です。責められるものではありません。

ただ、「無事に終わったのは、あれだけ準備したからだ」「相手の目を見なかったから、緊張がばれずに済んだ」と感じると、「対策をしなければ失敗する」という思いが残ります。

また、自分の震えや表情を細かく監視するほど、相手の実際の反応が見えなくなります。頭の中で作った「ひどく緊張している自分」の姿を、相手も同じように見ていると思い込んでしまうのです。

避けると楽になるのに、不安が長引く理由

苦手な場面を避けると、その瞬間はほっとします。会議を欠席する。電話を取らない。誘いを断る。発表のある仕事をほかの人に頼む。緊張から解放されるので、安心するのは当然です。

ただ、避けたことで、「実際に参加したら何が起きたか」を確かめる機会も失われます。

すると頭の中には、「行っていたら失敗したはずだ」「避けたから助かった」という結論だけが残ります。次に同じ場面が来たとき、不安は前より強くなります。

避ける場面が一つずつ増え、気づけば働き方、人づきあい、外出先まで、不安を中心に決めるようになる。これが、社交不安によって生活が狭くなっていく仕組みの一つです。

もちろん、いきなり最も怖い場面へ飛び込む必要はありません。負担の小さい場面から、少しずつ経験を重ねることが大切です。

会話のあとに始まる「一人反省会」

人の目が気になる方は、人と会っている最中だけでなく、その後も疲れます。

帰宅してから、「あの言い方は失礼だった」「相手が途中で黙ったのは、私の話がつまらなかったからだ」と、会話を何度も再生します。

思い出すのは、自分が言葉に詰まった瞬間や、相手の表情が曇ったように見えた場面ばかりです。普通に話せた部分や、相手が笑っていた場面は、なぜかあまり残りません。

振り返ることには、次に生かす役割があります。しかし、答えが出ないまま同じ場面を繰り返すだけなら、反省というより、不安が頭の中で回り続けている状態です。

「もう少し考えれば正解が見つかる」と感じるため、なかなか止められません。けれど実際には、考え続けるほど「あの会話は失敗だった」という記憶が強くなり、次の対人場面が怖くなります。

内気な性格と社交不安症は、どこが違うのか

内気な方や緊張しやすい方が、すべて社交不安症というわけではありません。

初対面では緊張しても、慣れれば話せる。発表前は不安でも、終われば気持ちを切り替えられる。人づきあいに疲れるため一人の時間を好むが、必要な場面には参加できる。この範囲であれば、性格や気質として付き合えている状態かもしれません。

一方、次のような状態が続く場合は、社交不安症などの不調を考えます。

  • 人から注目される場面で、ほぼ毎回強い恐怖が起こる
  • 動悸、震え、赤面、吐き気などの症状が出る
  • 不安のために、仕事、学校、外出を避けている
  • 必要な発言や相談ができず、不利益が生じている
  • 人と会う予定の何日も前から苦しくなる
  • 会ったあとも長時間、後悔や自責が止まらない
  • お酒がなければ人と会えないと感じる
  • 不安のために、やりたいことを諦めている

見分けるうえで重要なのは、緊張があるかどうかだけではありません。そのために生活がどのくらい制限されているかです。

セルフチェック――こんな状態はありませんか

次の項目は診断を確定するものではありません。現在の状態を整理するために使ってください。

  • 人からどう思われたかを、いつも考えている
  • 相手の表情が少し変わると、自分のせいだと思う
  • メールやメッセージを送る前に、何度も書き直す
  • 送ったあとも、失礼ではなかったか読み返す
  • 会議や授業で、意見があっても発言できない
  • 電話、人前での食事、人前で文字を書くことが怖い
  • 声の震え、赤面、汗、動悸を見られるのが怖い
  • 人と会ったあと、一人で反省を続けてしまう
  • 嫌われないために、自分の意見を変えてしまう
  • 人づきあいを避ける範囲が、少しずつ広がっている
  • 不安のために、仕事や学校へ行けないことがある
  • この状態が長く続き、自分だけでは変えられないと感じる

当てはまる数だけで、病気かどうかが決まるわけではありません。少ない項目でも、仕事や学校、日常生活に大きな影響が出ているなら、相談を考えてよい状態です。

社交不安症と間違われやすい状態

人の目が気になるという症状は、社交不安症だけで起こるものではありません。背景を整理するときには、ほかの状態も確認します。

HSPと呼ばれる感受性の高さ

相手の反応だけでなく、音や光、人混み、においなど、幅広い刺激に疲れやすい場合は、感受性の高さが関係しているかもしれません。詳しくはHSP(繊細さん)とは?をご覧ください。

不安症

人間関係だけでなく、仕事、健康、家族、将来など、さまざまな心配が頭から離れない場合は、より広い意味での不安とは?不安症の種類と治療が関係していることがあります。

うつ病

気分の落ち込みや自信の低下が強くなると、「自分は誰からも嫌われている」「何を話しても迷惑になる」と感じることがあります。

以前は人と話せていたのに、最近になって急に人の目が怖くなった。何をしても楽しめない。眠れない。食欲が落ちた。このような変化がある場合は、うつ病や抑うつ状態も確認します。

発達特性

会話のタイミングが分からない、相手の意図を読み取ることが難しい、予定の変更に強く疲れるといった発達特性があり、その経験から人づきあいへの不安が強くなることがあります。

感覚の敏感さや、子どものころから続く生きづらさがある場合は、シリーズ第5回:音や光がつらい「感覚過敏」とは?も参考になります。

過去の傷つき体験

学校でからかわれた、人前で失敗して笑われた、家庭で厳しく否定されたといった経験が、現在の対人不安に影響していることがあります。

ただし、原因を一つに決める必要はありません。もともとの繊細さ、過去の経験、現在のストレス、睡眠不足などが重なっていることのほうが多いものです。

人の目が気になるときに、自分でできること

「気にしないようにしよう」と言い聞かせても、簡単には止まりません。完全に不安を消そうとするのではなく、不安に振り回される範囲を少しずつ狭めていきます。

事実と想像を分ける

たとえば、「相手の返信が一文だった」というのは、確認できる事実です。「怒っている」「嫌われた」というのは、その事実から生まれた想像です。

紙やスマートフォンに、次のように分けて書いてみます。

  • 確認できる事実:返信が一文だった
  • 頭に浮かんだ考え:怒っている、嫌われた
  • ほかの可能性:忙しい、急いでいた、短文で返す人なのかもしれない

「絶対に嫌われていない」と思い込む必要はありません。分からないことを、自分にとって最も悪い答えで決めつけないことが大切です。

自分が何をする場面なのかを決めておく

会議で「どう見られているか」ばかり考えていると、伝えたい内容が頭から抜けてしまいます。

その場に入る前に、「今日は結論を一つ伝える」「分からない点を一つ質問する」など、目標を小さく決めておきます。

緊張を隠すことではなく、その目標を果たすことへ意識を戻します。声が少し震えても、質問できたのであれば、その場で必要なことはできています。

反省する時間を区切る

会話を振り返る場合は、10分だけなど、時間を決めます。その時間内に、次に変えたいことがあれば一つだけ書きます。

時間が過ぎても同じ場面が浮かんできたら、「これはすでに考えたこと」と区切ります。頭から完全に消す必要はありません。浮かんでも、そこから同じ検討を始めないことが大切です。

負担の小さい場面から経験を重ねる

いきなり大勢の前で発表する必要はありません。

店員へ一つ質問する。親しい人に自分の希望を伝える。少人数の会議で短く発言する。少し緊張するけれど、何とか取り組めそうな場面から始めます。

目標は、まったく緊張しなくなることではありません。緊張があっても、その場で必要なことができたと知ることです。

返事をすぐに決めない

嫌われるのが怖い方は、頼まれた瞬間に「大丈夫です」と答えがちです。

「予定を確認してからお返事します」「今日中にお伝えします」と、いったん持ち帰ってください。時間ができると、相手の期待だけでなく、自分の予定や体力も含めて判断できます。

断ることへの抵抗や、人に気を使いすぎる疲れが強い方は、次回の気を使いすぎて疲れる・断れないのは性格?へ進んでみてください。

睡眠を後回しにしない

睡眠不足になると、相手の反応を悪い方向に受け取りやすくなり、不安にもブレーキがかかりにくくなります。

人とのやり取りを深夜まで読み返す。返信を待ち続ける。翌日の会話を布団の中で何度も練習する。このような習慣がある場合は、スマートフォンを見る時間を区切るところから始めてください。

「嫌われてもいい」と思えなくても構いません

対人不安に悩む方へ、「すべての人から好かれるのは無理なのだから、嫌われても気にしなければいい」と助言することがあります。

理屈としては、その通りです。しかし、嫌われることを長く恐れてきた方にとって、「嫌われてもいい」と急に思うのは難しいものです。

最初から、そこを目指さなくても構いません。

「嫌われたかどうかは、まだ分からない」

「相手の機嫌を、すべて自分が引き受けなくてよい」

「意見が違っても、関係が必ず壊れるわけではない」

まずは、このくらいの距離から始めます。白か黒かを決めず、分からない部分を残しておく。その積み重ねが、人間関係の息苦しさを少しずつ減らします。

社交不安症の治療について

社交不安症は、「性格だから変わらない」と思われやすい状態です。しかし、適切な治療や支援によって、不安や避ける行動が和らぎ、できることの範囲が広がる可能性があります。

不安が起きる仕組みを整理する

まず、どの場面で、何を恐れているのかを確認します。

人前で話すことが怖いのか。赤面や震えを見られることが怖いのか。相手を不快にすることが怖いのか。雑談が続かないことが怖いのか。

同じ「人の目が怖い」という相談でも、困っている場面や恐れている結果は人によって違います。ここが分かると、対処の方向も見えやすくなります。

考え方と行動を少しずつ見直す

診療では、不安を強める受け取り方、自分の体ばかりを監視する癖、緊張を隠すために行っていること、避けている場面、会話後の反省などを整理します。

「誰も自分を悪く思っていない」と無理に言い聞かせることが目的ではありません。自分が予想していたことと、実際に起きたことの違いを、日常の小さな場面で確かめていきます。

取り組む場面は、本人の状態に合わせて決めます。いきなり最も苦手な状況へ挑むのではなく、少し緊張する程度の場面から段階的に進めます。

薬物療法

症状の強さや生活への影響に応じて、薬物療法を検討することがあります。社交不安症では、SSRIなどの抗うつ薬が選択肢になる場合があります。

即効性のある抗不安薬が用いられることもありますが、眠気やふらつき、依存、長期使用などへの注意が必要です。薬の種類や使う期間は、症状、仕事、運転の有無、ほかの病気などを考慮して決めます。

薬だけですべての不安を消すことが目的ではありません。緊張を和らげ、避けていたことへ少しずつ取り組みやすくするために使う場合があります。

自己判断で薬を増減したり、中断したりせず、処方した医師へ相談してください。

うつや不眠が重なっている場合

人間関係を避ける状態が長引くと、孤立感や自信の低下から、うつ状態につながることがあります。反対に、うつ病によって自己評価が下がり、人の目が強く気になるようになることもあります。

眠れない、何をしても楽しめない、自分には価値がないと感じるなどの症状がある場合は、社交不安だけでなく、うつや不眠も含めて治療を考えます。

受診を考えてよい目安

人の目が気になるという理由だけで、必ず医療機関を受診しなければならないわけではありません。自分なりの工夫で生活できているなら、気質の一部として付き合っていくこともできます。

ただし、次のような状態がある場合は、一度相談してみてください。

  • 不安のために仕事、学校、外出を休んでいる
  • 発言や電話、食事など、避ける場面が増えている
  • 動悸、震え、赤面、吐き気などが強く出る
  • 人と会う前後に、長い時間不安が続く
  • 眠れない、食欲がない、疲れが取れない
  • 気分の落ち込みや自責が2週間以上続いている
  • お酒がなければ人に会えないと感じる
  • やりたい仕事や進学、人間関係を諦めている
  • 自分を傷つけたい、消えてしまいたいと感じる

最後の項目に当てはまり、自分を傷つけるおそれが差し迫っている場合は、一人にならず、身近な人や医療機関へ助けを求めてください。生命に関わる緊急の状態では、119番への連絡もためらわないでください。

精神科・心療内科では何を聞かれるのか

初診では、無理に上手に話す必要はありません。

どの場面が怖いのか。いつ頃から続いているのか。避けていることはあるか。動悸や震えなどの体の症状はあるか。眠れているか。仕事や学校へどの程度影響しているか。こうした点を一緒に確認します。

診察そのものが「人から評価される場面」に感じられ、うまく話せなくなる方もいます。その場合は、次のような内容をメモして持参していただいて構いません。

  • 一番困っている場面
  • そのとき頭に浮かぶこと
  • 体に出る症状
  • 避けていること
  • いつから続いているか
  • 現在服用している薬

「人の目が気になる」と一言だけ書いたメモでも、相談の入口には十分です。

みなとメンタルクリニックでのご相談

みなとメンタルクリニックでは、人前での緊張、対人不安、社交不安症、不安症、うつ病、不眠などのご相談を受けています。

「性格の問題なのか、病気なのか分からない」「大勢の前では話せるのに、雑談だけが怖い」「人と会ったあと、何日も引きずってしまう」といった段階でも構いません。

診察では、社交不安症かどうかだけを見るのではなく、もともとの繊細さ、現在の環境、これまでの経験、睡眠、気分の状態などを含めて整理します。

当院は関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分です。横浜市中区、みなとみらいエリアからも通院しやすく、土曜日・日曜日も診療しています。平日は夜19時まで対応しています。

受診を希望される方は、WEB予約から空き状況をご確認ください。受診前に確認したいことがある方は、初診の方へよくある質問もご覧ください。

よくある質問

人の目が気になるのは、自意識過剰だからですか?

自意識過剰という一言で片づけられるものではありません。相手の反応に敏感な気質、過去の対人経験、不安症、社交不安症などが関係していることがあります。本人は好きで気にしているわけではなく、気にしないよう努力しても止められないことがあります。

内気な性格と社交不安症は、どう違いますか?

内気でも、自分なりに必要な場面へ参加でき、生活への大きな支障がなければ、性格の範囲と考えられます。不安のために仕事や学校を避ける、動悸や震えが出る、行動できる範囲が狭くなっている場合は、社交不安症などの可能性を考えます。

人前で話すときだけ緊張します。それでも相談できますか?

はい。発表やスピーチなど、特定の場面だけで強い不安が出る方もいます。発表のある仕事を避けている、昇進や進学を諦めているなど、生活への影響がある場合は相談できます。

HSPと社交不安症は同じですか?

同じものではありません。HSPは感受性の高さを表す心理学上の概念で、医学的な診断名ではありません。社交不安症は、人から否定的に評価されたり、恥をかいたりすることへの強い恐れによって、生活に支障が出る状態です。両方の傾向が重なることはあります。

薬を飲めば、人の目が気にならなくなりますか?

薬だけで、他人の評価がまったく気にならなくなるわけではありません。薬は強い不安や体の緊張を和らげ、避けていた場面へ取り組みやすくするために使う場合があります。

治療では、無理に人前へ出なければなりませんか?

いきなり最も怖い場面へ出るわけではありません。困っている場面を整理し、本人の状態や希望を確認しながら、負担の小さい段階から取り組みます。

診察でうまく話せる自信がありません

話すこと自体に不安がある方も多いため、うまく説明できなくても問題ありません。困っている場面や症状を書いたメモを持参していただければ、内容を確認しながら診察を進められます。

人から嫌われない方法はありますか?

すべての人から好かれる方法はありません。ただ、「嫌われたかもしれない」という想像を事実と決めつけないこと、自分の意見を少しずつ表に出すこと、相手の機嫌をすべて自分の責任にしないことは練習できます。

横浜・関内で、人の目や評価への不安に悩んでいる方へ

人の目を気にしてきた方は、これまで何度も「もっと堂々としなければ」「気にしない性格にならなければ」と、自分を奮い立たせてきたのではないでしょうか。

それでも変えられなかったから、自分は弱いと思っているかもしれません。

けれど、人の目が怖い状態は、根性の強さや社交性だけで決まるものではありません。相手の反応を細かく受け取る気質、不安を強める考え、体の反応、避けることで身についた習慣が、長い時間をかけて一つの輪になっています。

その輪は、性格を別人のように変えなくても、少しずつほどいていくことができます。

目指すのは、誰からも嫌われないことではありません。不安があっても、必要なことを伝えられること。会話のあとに、自分を何時間も責めずに済むこと。相手の表情や機嫌を、すべて自分の責任にしないことです。

「ただの性格だと思っていたけれど、生活がかなり狭くなっている」と気づいたときは、一度ご相談ください。WEB予約はこちらからご確認いただけます。


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シリーズ第3回では、「頼まれると断れない」「相手に気を使いすぎて、自分の気持ちを言えない」「人と会ったあとは、いつもぐったりしてしまう」という悩みを取り上げます。

人に気を配れることは長所です。しかし、自分を後回しにする状態が続けば、心と体は少しずつ消耗します。優しさを失わずに、抱え込みすぎないための考え方と、限界が近いときのサインを解説します。

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繊細さ・生きづらさ(HSP)シリーズ(全5回)


関連ページ


参考文献・情報源

  • 厚生労働省|こころの健康に関する情報
  • 厚生労働省|こころの耳
  • 世界保健機関(WHO)|ICD-11
  • 日本精神神経学会|精神疾患に関する情報
  • National Institute for Health and Care Excellence|Social anxiety disorder: recognition, assessment and treatment

この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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