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2026/07/07

すぐ落ち込む・引きずってしまうのは性格?うつとの見分け方を横浜・関内の精神科医が解説

すぐ落ち込む・引きずってしまうのは性格?うつとの見分け方を横浜・関内の精神科医が解説

仕事で少し注意されただけなのに、その言葉が何日も頭から離れない。友人との会話で相手の表情が曇った気がして、「何か悪いことを言ったのではないか」と何度も思い返す。

その場では笑ってやり過ごしても、家に帰ると急に苦しくなる。お風呂に入っているときも、布団に入ってからも、同じ場面を繰り返し思い出す。そして最後には、「どうして自分はこんなに弱いのだろう」と、自分を責めてしまう。

まわりからは、「気にしすぎだよ」「もう終わったことだから忘れなよ」と言われるかもしれません。自分でも、いつまでも考えていたくないと思っています。それでも、頭は勝手にあの場面へ戻ってしまいます。

嫌なことがあって落ち込むのは、誰にでもある自然な反応です。人の言葉を深く受け止めることや、簡単に割り切れないこと自体が、病気というわけではありません。

ただし、落ち込みが長く続き、眠れない、食べられない、仕事や家事に手がつかない、好きだったことにも心が動かないという状態になっているなら、「傷つきやすい性格だから」で終わらせないほうがよいことがあります。その陰に、うつ病や適応障害、不安症など、治療や休養が必要な状態が重なっている可能性があるからです。

このページでは、なぜ嫌な出来事を引きずってしまうのか、HSPと呼ばれる繊細さとの関係、性格による落ち込みとうつ病の違い、自分でできる対処、医療機関へ相談する目安まで、横浜・関内のみなとメンタルクリニックが解説します。

このページは、「繊細さ・生きづらさ(HSP)」全5回シリーズの第4回です。シリーズを最初から確認したい方は、第1回のHSP(繊細さん)とは?疲れやすさの原因と「治療できるつらさ」との見分け方からお読みください。

人からどう思われているかが気になる方は、第2回の人の目が気になる・嫌われるのが怖いのは性格?、人に気を使いすぎて疲れている方は、第3回の気を使いすぎて疲れる・断れないのは性格?も参考になります。

「読むより先に、今のつらさを相談したい」という方へ。当院は関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分です。土曜日・日曜日も診療し、空きがある場合は当日のご予約にも対応しています。WEB予約はこちらからご確認ください。


なぜ、嫌なことをいつまでも引きずってしまうのか

引きずってしまう方は、わざと嫌なことを考えているわけではありません。

頭の中では、起きたことを理解し、次に同じ失敗をしないようにしようとしています。「何が悪かったのか」「どうすればよかったのか」と考えることで、自分を守ろうとしているのです。

問題は、考えても答えが出ないことまで、考え続けてしまうことです。

相手が本当はどう思っていたのか。あの表情にはどんな意味があったのか。別の言い方をしていたら、関係は変わっていたのか。どれも、本人に確認しなければ分からないことです。確認できたとしても、完全な答えが得られるとは限りません。

それでも頭は、「もう少し考えれば、正解が見つかるかもしれない」と同じ場面を繰り返します。

嫌な出来事や自分の失敗について、頭の中で何度も繰り返し考えることを、「反すう」と呼ぶことがあります。牛が食べ物を何度もかみ直すように、すでに終わった出来事を、心の中で何度も再生している状態です。

振り返りには、次へ生かす役割があります。しかし、同じ場面を何時間も繰り返し、自分を責め続けるだけになっているなら、問題を解決するための振り返りではなく、落ち込みを深める反すうになっているかもしれません。

傷つきやすい人は、弱い人ではありません

人から言われたことを深く受け止める方は、自分を「打たれ弱い」「心が弱い」と評価しがちです。

けれど、傷つきやすさの背景には、物事を細かく受け取り、深く考える力があります。

相手の言葉だけでなく、声の調子や表情、その場の雰囲気まで感じ取る。自分の言動が相手へどう影響したかを振り返る。次はもっとよくしたいと考える。

こうした姿勢は、仕事や人間関係で大切な力です。注意されたことをまったく気にせず、同じことを繰り返す人より、周囲から信頼されることも多いでしょう。

ただ、その力がいつも自分を責める方向へ向くと、心が休めなくなります。

「次は気をつけよう」で終わればよいところを、「こんな失敗をする自分はだめだ」「きっとみんなに呆れられている」と、自分全体の評価へ広げてしまう。ひとつの出来事が、自分の価値を決める判決のようになってしまうのです。

傷ついたことと、弱いことは同じではありません。傷ついたあと、自分へどのような言葉を向けているかによって、その後の苦しさは大きく変わります。

HSPの繊細さと、落ち込みやすさの関係

HSPは、人よりも刺激を受け取りやすく、物事を深く処理する感受性の傾向を表す言葉です。医学的な病名や診断名ではありません。

感受性が高い方は、人の言葉や表情の小さな変化にも気づきやすく、ひとつの出来事について深く考える傾向があります。

たとえば、上司から「ここは次から直してください」と言われたとします。

言葉どおりに受け取れば、修正点を一つ伝えられただけです。しかし、繊細な方は、そのときの声の低さや表情まで受け取ります。

「いつもより言い方が冷たかった」

「ほかにも不満があるのではないか」

「仕事ができないと思われたかもしれない」

このように、言葉の周囲にある情報まで読み取り、さまざまな意味を考えます。そのため、出来事が心に残りやすくなることがあります。

ただし、すぐ落ち込むからHSPというわけではありません。落ち込みやすさには、現在の疲労、睡眠不足、過去の傷つき体験、不安の強さ、自信を失う出来事、職場や家庭の環境など、さまざまな背景が関係します。

大切なのは、HSPという名前に当てはめることより、落ち込んだあとに回復できているか、生活への影響がどの程度あるかを見ることです。

同じ言葉でも、深く傷つくときと流せるときがある

普段なら気にならない一言が、ひどく胸に刺さる日があります。

これは、性格が急に弱くなったからではありません。心と体の余裕が少なくなっていると、受け止められる刺激の量も減るからです。

睡眠不足が続いている。仕事が立て込んでいる。家庭でも気が休まらない。食事を十分に取れていない。長いあいだ、誰にも本音を話していない。

このような状態では、心の皮膚が薄くなったように、普段なら流せる刺激にも強く反応します。

「前はこんなことで落ち込まなかったのに」と感じる場合、性格が変わったのではなく、疲れがたまり、受け止める余裕がなくなっているのかもしれません。

人に気を使い続け、休んでも疲れが取れない方は、前回の気を使いすぎて疲れる・断れないのは性格?や、体がだるい・疲れがとれないのはストレスのせい?もあわせてご覧ください。

注意されたことと、自分を否定されたことを分ける

落ち込みやすい方は、行動への指摘を、自分自身への否定として受け取りやすいことがあります。

「資料の数字が違っています」と言われたとき、本来指摘されているのは、資料の数字です。

ところが、頭の中では次のように広がります。

「ミスをする自分は仕事ができない」

「きっと信頼を失った」

「この仕事に向いていない」

「自分は何をやってもだめだ」

ひとつの修正点が、自分全体への評価に変わっています。

人は誰でも、失敗することがあります。失敗について考えることと、自分の存在全体を否定することは別です。

「数字を間違えた」は事実かもしれません。しかし、「自分には価値がない」は、事実ではなく、落ち込んだ心が出した結論です。

この二つを分けるだけでも、必要以上に自分を追い詰めることを減らせます。

相手の表情を、自分への評価と決めつけていませんか

相手の表情が曇った。返事が短かった。目が合わなかった。

その変化に気づくこと自体は、悪いことではありません。ただし、その理由が自分にあるとは限りません。

相手は疲れていたのかもしれません。別の仕事を考えていたのかもしれません。体調が悪かったのかもしれません。急いでいたのかもしれません。

それでも、不安や落ち込みが強いときは、いくつもある可能性のなかから、最も自分を責める答えを選びやすくなります。

「嫌われた」

「怒っている」

「呆れられた」

こうした考えが浮かんだときは、「そう感じたこと」と「確認できていること」を分けてみてください。

相手の返事が短かったことは確認できます。しかし、嫌われたかどうかは、まだ分かりません。

人の目や評価がいつも気になる方は、第2回の人の目が気になる・嫌われるのが怖いのは性格?も参考になります。

普通の落ち込みとうつ病は、どう違うのか

悲しいことや失敗があれば、気分が沈むのは自然な反応です。落ち込むこと自体を、すぐに病気と考える必要はありません。

普通の落ち込みは、多くの場合、原因となった出来事と結びついています。

仕事で注意されたため落ち込んだ。友人とけんかをしたため悲しい。試験に失敗して、自信を失った。原因がはっきりしていて、時間がたったり、誰かに話したり、別のことに取り組んだりすると、少しずつ気持ちが戻っていきます。

楽しいことがあれば、その時間は笑えることもあります。休日に休むと、少し元気になることもあります。

一方、うつ病では、落ち込みが特定の出来事だけにとどまらず、生活全体へ広がります。

良いことがあっても気分が晴れない。好きだったものにも興味がわかない。休んでも回復しない。朝から体が重く、着替えや食事といった日常のことにも大きな力が必要になる。

違いを見るときは、落ち込みの深さだけでなく、続いている期間、生活への広がり、休んだときの回復を確認します。

性格による落ち込みと、治療を考えたい状態の目安

気質や性格の範囲と考えやすい状態

  • 落ち込んだきっかけが、ある程度はっきりしている
  • 時間がたつと、少しずつ気持ちが戻る
  • 誰かに話すと楽になる
  • 好きなことをしている間は、気持ちが切り替わる
  • 休めば疲れが軽くなる
  • 仕事や家事を、何とか続けられている
  • 同じような出来事がなければ、普段の状態へ戻れる

医療機関への相談を考えたい状態

  • 落ち込みが2週間以上続いている
  • 一日の大部分で気分が沈んでいる
  • 以前楽しめていたことを楽しめない
  • 眠れない、または眠りすぎる
  • 食欲や体重が大きく変化した
  • 休んでも疲れが取れない
  • 集中できず、仕事や家事のミスが増えた
  • 自分には価値がないと感じる
  • 良いことがあっても、気分が晴れない
  • 仕事、学校、家事、外出に支障が出ている
  • 死にたい、消えてしまいたいと感じる

すべてに当てはまる必要はありません。期間が2週間に満たなくても、仕事へ行けない、食事が取れない、自分を傷つけそうといった状態なら、早めの相談が必要です。

うつ病では、気分以外にも症状が出ます

うつ病というと、「悲しくて泣いている状態」を想像するかもしれません。しかし、実際には気分の落ち込みより、体の症状が前に出る方もいます。

心に表れる症状

  • 気分が沈む
  • 何をしても楽しくない
  • やる気が起きない
  • 自分を責め続ける
  • 将来に希望を感じられない
  • 決断できない
  • 集中できない
  • 死にたい、消えたいと考える

体に表れる症状

  • 寝つけない
  • 夜中や早朝に目が覚める
  • 朝、体が重くて起きられない
  • 食欲が落ちる、または食べすぎる
  • 疲れが取れない
  • 頭痛、肩こり、胃の不調が続く
  • 動悸や息苦しさがある
  • 動作や話し方が遅くなる

行動に表れる症状

  • 遅刻や欠勤が増える
  • 人との連絡を避ける
  • 家事や身だしなみに手が回らない
  • 仕事のミスが増える
  • 趣味や外出をしなくなる
  • 一日中、横になって過ごす
  • 飲酒量が増える

「泣いてはいないから、うつではない」「仕事には行けているから大丈夫」とは限りません。強い責任感で出勤を続けながら、帰宅すると何もできなくなっている方もいます。

うつ病の症状や治療について詳しく確認したい方は、うつ病とは?横浜・関内の精神科医が症状・原因・治療を解説もご覧ください。

落ち込みが朝に強い方もいます

うつ状態では、時間帯によって症状の強さが変わることがあります。

朝は体が鉛のように重く、布団から出られない。仕事へ行くことを考えるだけで涙が出る。それでも午後になると、少し動けるようになる。

夕方に少し楽になると、「朝、行けなかったのは甘えだったのではないか」と自分を責める方がいます。

けれど、午後に動ける時間があったからといって、朝のつらさが嘘になるわけではありません。一日のなかで波があることも、こころの不調では珍しくありません。

朝の不調によって遅刻や欠勤が増えている場合は、気合いで押し切るのではなく、睡眠や気分の状態を含めて相談してください。

落ち込みの背景にある、うつ病以外の状態

落ち込みや自責が続くからといって、必ずうつ病というわけではありません。状態を整理するときには、ほかの可能性も確認します。

適応障害

異動、転職、仕事量の増加、上司との関係、家庭の問題など、はっきりしたストレスをきっかけに、気分の落ち込みや不安、体調不良が始まることがあります。

ストレスのある場所へ近づくと症状が強まり、休日や環境から離れたときには少し楽になる場合、適応障害が関係している可能性があります。

詳しくは、適応障害とは?仕事のストレスで起こる心と体の不調をご覧ください。

不安症

落ち込んでいるというより、「また失敗したらどうしよう」「嫌われたのではないか」という心配が止まらず、そこから自分を責めている場合は、不安の強さが中心にあるかもしれません。

仕事、人間関係、健康、家族、将来など、さまざまな心配が頭から離れない方は、不安とは?不安症の種類と治療も参考になります。

社交不安症

人から否定的に評価されることや、失敗を見られることへの恐怖が強く、人前での発言や電話、会食などを避けている場合は、社交不安症が関係している可能性があります。

人と会う前から不安になり、会ったあとも自分の言動を長時間振り返ってしまう方は、人の目が気になる・嫌われるのが怖いのは性格?もご覧ください。

燃え尽きたような状態

長いあいだ仕事や家庭で責任を背負い、期待に応え続けてきた方が、ある日、急に力が出なくなることがあります。

仕事への情熱を失った。人と関わることが苦痛になった。何をしても達成感がない。このような状態では、疲労が限界へ達している可能性があります。

睡眠不足

眠れない状態が続くと、気分を切り替える力が落ち、嫌な出来事を強く受け止めやすくなります。集中力も下がるため、仕事のミスが増え、それをきっかけにさらに自信を失うことがあります。

布団に入ってから反省が止まらない方は、不安で眠れない原因は?考えすぎて寝つけないときの対処も参考にしてください。

セルフチェック――最近の状態を振り返ってみてください

次の項目は、診断を確定するためのものではありません。今の負担と、以前からの変化を整理するために使ってください。

  • 注意された言葉を、何日も思い返してしまう
  • 小さな失敗でも、自分には価値がないと感じる
  • 相手の表情や返事を、悪い意味に受け取りやすい
  • 会話のあと、一人で反省を続けてしまう
  • 以前よりも涙が出やすくなった
  • 好きだったことを楽しめない
  • 寝つけない、夜中や朝早く目が覚める
  • 食欲や体重が変化した
  • 休んでも疲れが取れない
  • 集中できず、仕事や家事のミスが増えた
  • 人との連絡や外出を避けるようになった
  • 朝、起き上がることが難しい
  • 良いことがあっても、気分が晴れない
  • 自分を責める考えが、一日の大部分を占めている
  • 消えてしまいたい、いなくなりたいと感じる

当てはまる項目が少なくても、生活への影響が大きい場合は相談できます。

特に、以前楽しめていたことを楽しめない、眠れない、食べられない、自分には価値がないと感じるといった変化が2週間ほど続いている場合は、一度、精神科や心療内科へ相談することをおすすめします。

落ち込んだときに、自分でできること

すぐに前向きになろうとしなくて構いません。落ち込んだ心に必要なのは、強い励ましよりも、これ以上傷を深くしないための手当てです。

まず、起きた出来事を短く書く

頭の中だけで考えていると、出来事と想像が混ざり、話がどんどん大きくなります。

最初に、実際に起きたことを短く書きます。

  • 上司から、資料の数字を直すように言われた
  • 友人からの返信が、いつもより短かった
  • 会議で質問にすぐ答えられなかった

ここには、「呆れられた」「嫌われた」「仕事ができないと思われた」といった解釈を入れません。カメラで撮影できるような事実だけを書きます。

事実と、自分が考えたことを分ける

次に、その出来事から何を考えたかを書きます。

  • 事実:資料の数字を直すように言われた
  • 考えたこと:仕事ができないと思われた
  • 感じたこと:恥ずかしい、悲しい、不安

考えたことが間違いだと決める必要はありません。ただ、「仕事ができないと思われた」は確認された事実ではなく、自分の頭に浮かんだ考えだと分けます。

この区別ができると、落ち込んだときに出した結論を、すぐに事実として扱わずに済みます。

反省する時間を決める

考えないようにしようとするほど、かえって頭へ浮かぶことがあります。

そこで、振り返る時間を10分、15分などと決めます。その時間に、次に気をつけることを一つだけ書きます。

たとえば、「次回は数字を提出前に一度確認する」と決めたなら、反省の役割は終わっています。

そのあと同じ場面が浮かんできたら、「もう対策は決めた」と区切ります。思い出すことを完全に止めるのではなく、同じ検討を最初から始めないことが大切です。

自分への言葉を、少しだけ変える

落ち込んでいるときに、「私はすばらしい」「何も問題ない」と思おうとしても、心がついてこないことがあります。

無理に前向きな言葉へ変える必要はありません。まずは、自分を傷つける言葉を少し弱めます。

  • 「私はだめだ」から「今日は失敗して落ち込んでいる」へ
  • 「何をやってもできない」から「今回はうまくいかなかった」へ
  • 「みんなに嫌われた」から「嫌われたような気がして不安になっている」へ
  • 「早く立ち直らなければ」から「今日はまだ傷ついている」へ

大げさに励ますのではなく、起きていることを正確に言い直します。

頭より先に、体を休ませる

疲れているときは、いくら考えても良い結論が出にくくなります。

夜遅くに始まった反省は、その日のうちに解決しようとせず、いったん眠る準備をしてください。

スマートフォンを置く。照明を少し暗くする。温かい飲み物を飲む。ぬるめのお湯につかる。長く息を吐く。

問題を解決してから眠るのではなく、眠ることで問題を考えられる状態に戻します。

「今日は決めない」と保留する

落ち込んでいるときは、「仕事を辞めるべきだ」「人間関係を終わらせたほうがよい」「自分には向いていない」と、大きな決断をしたくなることがあります。

もちろん、本当に環境を変える必要がある場合もあります。ただ、心が最も沈んでいる時間に、人生へ関わる結論を急ぐ必要はありません。

「今日は決めない」「眠ってから考える」「誰かに相談してから決める」と保留してください。

信頼できる人に、出来事だけでも話す

落ち込んでいるときは、「こんなことで悩む自分を知られたくない」と、一人で抱え込みがちです。

すべてを説明できなくても構いません。

「今日、仕事で注意されて、かなり落ち込んでいる」

「相手に嫌われた気がして、考えが止まらない」

このくらいでも十分です。

自分の頭の中だけで出来事を繰り返していると、考えが一方向へ固まりやすくなります。人に話すことで、出来事と自分との間に少し距離ができます。

「早く切り替えなければ」と焦らなくて大丈夫です

落ち込みやすい方は、落ち込んだこと自体についても自分を責めます。

「いつまでも考えていて情けない」

「普通の人なら、もう忘れている」

「早く元気にならなければ、まわりに迷惑をかける」

けれど、心は電気のスイッチのようには切り替わりません。

大切にしていた人から言われたこと、自信を持って取り組んだ仕事での失敗、長く信じていた関係の変化。そうした出来事から立ち直るまでに時間がかかるのは、自然なことです。

必要なのは、「何日以内に忘れる」と決めることではありません。

昨日より食事が少し取れた。今日はお風呂に入れた。同じことを考える時間が、少しだけ短くなった。誰かに話すことができた。

回復は、そのような小さな変化として現れます。

気持ちを書き出すときの注意点

気持ちを書き出すことが役立つ方もいます。ただし、何時間も同じ出来事を書き続けると、かえって落ち込みが深くなる場合があります。

書くときは、次の四つに分けてみてください。

  • 実際に起きたこと
  • そのとき考えたこと
  • 感じた気持ち
  • 今できる小さなこと

最後に「今できる小さなこと」を一つ書いたら、その日の記録は終わりにします。

今できることは、問題の完全な解決でなくて構いません。

明日、確認する。今日は眠る。誰かに相談する。次回は提出前に一度見直す。

考える時間に終わりをつくることが大切です。

自分を責める考えが止まらないとき

「自分が悪かった」と考えることで、かえって安心しようとすることがあります。

すべて自分のせいなら、自分が変われば次は防げると思えるからです。

反対に、「相手の気分や考えは、自分には完全には分からない」「どれだけ気をつけても、関係がうまくいかないことはある」と認めることは、不安を伴います。

けれど、人間関係で起きることのすべてを、一人で管理することはできません。

自分に改善できる部分があれば、そこだけを考える。それ以外の、相手の機嫌、価値観、受け取り方まで、自分の責任にしない。

自分を責めることと、責任を持つことは別です。

こんなときは、医療機関への相談を考えてください

落ち込みやすいことだけで、必ず受診しなければならないわけではありません。時間がたつと回復し、生活を保てているなら、繊細さや性格の一部として付き合っていくこともできます。

ただし、次のような状態がある場合は、精神科や心療内科への相談を考えてください。

  • 落ち込みが2週間以上続いている
  • 一日の大部分で気分が沈んでいる
  • 以前楽しめていたことを楽しめない
  • 眠れない、または眠りすぎる
  • 食欲が落ちた、または食べすぎる
  • 休んでも疲れが取れない
  • 集中できず、仕事や家事に支障が出ている
  • 人との連絡や外出を避けている
  • 自分には価値がないと感じる
  • 良いことがあっても、気分が晴れない
  • 仕事や学校へ行けない日が増えている
  • 死にたい、消えてしまいたいと感じる

最後の項目に当てはまり、自分を傷つける危険が差し迫っている場合は、一人にならないでください。身近な人や医療機関へ助けを求め、生命に関わる緊急の状態では119番へ連絡してください。

2週間という期間は、受診するまで必ず待たなければならないという意味ではありません。症状が強く、食事や睡眠が取れない、仕事へ行けないといった状態なら、早い段階で相談して構いません。

精神科・心療内科では何をするのか

診察では、「もっと気にしないようにしましょう」と言われて終わるわけではありません。

いつ頃から落ち込みが強くなったのか。きっかけとなった出来事はあるか。以前にも同じような状態があったか。眠れているか。食欲はあるか。仕事や家事をどの程度続けられているか。自分を傷つけたい気持ちはないか。

こうしたことを確認しながら、もともとの繊細さによる反応なのか、疲労や環境の負担が重なっているのか、うつ病や適応障害などの治療が必要な状態なのかを整理します。

休養と環境の調整

心身の疲れが強い場合は、まず負担を減らし、休める状態をつくります。

仕事量を調整する。残業を減らす。苦手な相手との接触を減らす。一時的に休職する。家庭内の役割を分担する。

「気持ちの問題だから、自分の考え方だけを変えればよい」とは限りません。負担の大きい環境で耐え続けている場合は、環境へ手を入れることも大切な治療の一部です。

お話をうかがいながら整理する

どのような場面で自分を責めやすいのか。起きた出来事を、どのように受け止めているのか。相手の責任まで、自分が背負っていないか。

診察や相談のなかで、出来事、考え、感情を分けながら整理します。

無理に前向きな考えへ変えることが目的ではありません。落ち込んだときに出した厳しい結論を、少し距離を置いて見られるようにしていきます。

薬物療法

うつ症状や不安、不眠が強く、生活への影響が大きい場合は、薬物療法を提案することがあります。

うつ病では、状態に応じて抗うつ薬などを使うことがあります。不眠や強い不安に対して、症状を和らげる薬を一時的に使う場合もあります。

薬を使うかどうかは、症状の強さ、生活への影響、これまでの経過、ほかの病気や服用中の薬などを確認して決めます。必ず薬を飲まなければならないわけではありません。

抗うつ薬について詳しく知りたい方は、抗うつ薬とは?種類・効果・副作用も参考にしてください。服用中の薬を自己判断で急に中断せず、変更したい場合は処方した医師へ相談してください。

診察でうまく説明できなくても大丈夫です

落ち込んでいるときは、考えをまとめること自体が難しくなります。

医師を前にすると、「こんなことで受診してよかったのだろうか」「大したことではないと思われそう」と不安になり、つらさを小さく話してしまう方もいます。

うまく説明する必要はありません。次のような内容を、短くメモして持参していただくだけでも構いません。

  • 一番困っていること
  • いつ頃から続いているか
  • きっかけになった出来事
  • 眠れているか
  • 食欲はあるか
  • 仕事や家事への影響
  • 一日のなかで楽になる時間があるか
  • 死にたい、消えたいという気持ちがあるか
  • 現在服用している薬

「注意されたことが頭から離れず、毎日落ち込んでいます」という一言からでも、診察は始められます。

みなとメンタルクリニックでのご相談

みなとメンタルクリニックでは、落ち込みが続いている方、嫌な出来事を何度も思い返してしまう方、自分を責める考えが止まらない方のご相談を受けています。

「もともとの性格なのか、うつなのか分からない」「仕事には行けているが、帰宅すると何もできない」「人から言われたことが何日も頭から離れない」という段階でも構いません。

診察では、症状だけでなく、もともとの繊細さ、睡眠、体調、仕事や家庭の状況、最近起きた出来事を含めて整理します。そのうえで、休養や環境の調整が必要か、治療を始めたほうがよいかを一緒に考えます。

当院は関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。横浜市中区、みなとみらいエリアからも通院しやすい場所にあります。土曜日・日曜日も診療し、平日は夜19時まで対応しています。

受診を希望される方は、WEB予約から空き状況をご確認ください。初めて受診される方は初診の方へ、受診前に確認したいことがある方はよくある質問もご覧ください。

よくある質問

すぐ落ち込むのは、心が弱いからですか?

心の弱さだけで説明できるものではありません。感受性の高さ、疲労、睡眠不足、過去の経験、不安の強さ、現在の環境などが関係します。以前より落ち込みが強くなった場合は、心身の余裕が減っている可能性もあります。

嫌なことを引きずるのは、HSPだからですか?

HSPと呼ばれる感受性の高さが関係することはありますが、引きずりやすい方がすべてHSPというわけではありません。不安症、うつ状態、睡眠不足、過去の傷つき体験なども影響します。

落ち込みとうつ病は、どこで見分けますか?

落ち込んだきっかけだけでなく、続いている期間、生活全体への広がり、好きなことを楽しめるか、休むと回復するか、睡眠や食欲に変化があるかなどを確認します。落ち込みや興味の低下などが2週間ほど続き、生活に支障が出ている場合は相談をおすすめします。

仕事には行けています。それでもうつ病の可能性はありますか?

仕事へ行けているかどうかだけでは判断できません。強い責任感で出勤を続けながら、帰宅すると動けない、休日は寝込む、眠れないといった状態の方もいます。以前からの変化と、生活全体への影響を見ることが大切です。

落ち込んだときは、無理に前向きに考えたほうがよいですか?

無理に前向きになる必要はありません。「何も問題ない」と思い込もうとすると、かえって苦しくなることがあります。まず、実際に起きたことと、自分が考えたことを分け、自分を必要以上に責めないところから始めてください。

考えないようにしても、頭から離れません

考えないように強く意識すると、かえって同じことが浮かぶ場合があります。振り返る時間を短く決め、次にできることを一つ書いたら、その日の検討を終える方法があります。睡眠不足や強い落ち込みが続いている場合は、医療機関へ相談してください。

受診すると、必ず薬を処方されますか?

必ず薬を使うわけではありません。症状や生活への影響を確認し、休養、環境の調整、お話をうかがいながらの整理などを含めて方針を考えます。症状が強い場合には、効果と注意点を説明したうえで薬をご提案することがあります。

「こんなことで受診するのは大げさ」と思われませんか?

大げさではありません。受診する理由になるのは、悩みの大きさを他人と比べた結果ではなく、現在のつらさと生活への影響です。状態が重くなる前に相談するほうが、立て直しやすいことがあります。

死にたい気持ちがありますが、どうすればよいですか?

一人で抱えないでください。家族や信頼できる人、医療機関へ今の状態を伝えてください。自分を傷つける危険が差し迫っている場合は一人にならず、119番への連絡や救急医療の受診を検討してください。

横浜・関内で、落ち込みや自責が続いている方へ

傷つきやすい方は、嫌な出来事があるたびに、自分へ厳しい言葉を向けてきたのではないでしょうか。

「もっと強くならなければ」

「早く切り替えなければ」

「いつまでも引きずる自分はだめだ」

けれど、落ち込んでいるときに必要なのは、さらに自分を叱ることではありません。

起きたことを整理し、自分の責任と相手の責任を分け、疲れているなら休むことです。

繊細であることや、人の言葉を深く受け止めることを、すべて変える必要はありません。その力は、人の気持ちを大切にしたり、仕事を丁寧に進めたりするうえで、あなたを支えてきたものでもあります。

ただ、その繊細さの上に、眠れないほどの不安や、何週間も続く落ち込み、自分を傷つけるほどの自責まで重ねる必要はありません。

「性格だから仕方がない」と我慢する前に、今のつらさを一度整理してみてください。みなとメンタルクリニックでは、もともとの繊細さを否定せず、その上に重なっている治療できる不調がないかを一緒に見ていきます。

ご相談を希望される方は、WEB予約はこちらからご確認ください。


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シリーズ第5回では、「まわりの話し声が刺さるようにつらい」「照明がまぶしくて疲れる」「においや衣服の肌ざわりが気になる」といった感覚の敏感さを取り上げます。

音や光などへの敏感さは、HSPと呼ばれる繊細さだけでなく、発達特性、片頭痛、強いストレスや疲労など、さまざまな背景で起こります。感覚過敏の原因と、日常生活でできる対処、受診を考えたい目安を解説します。

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繊細さ・生きづらさ(HSP)シリーズ(全5回)


関連ページ


参考文献・情報源

  • 厚生労働省|こころの病気について知る「うつ病」
  • 厚生労働省|こころの耳「うつ病の主な症状と原因」
  • 厚生労働省|こころの耳「うつ病の治療と予後」
  • 世界保健機関(WHO)|Depressive disorder
  • 日本うつ病学会|日本うつ病学会治療ガイドライン
  • 世界保健機関(WHO)|ICD-11

この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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