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2026/07/07
会社に行けない・涙が出るのは甘えではありません|横浜・関内の精神科医が解説
「朝、家を出ようとすると、体が動かない」「会社に近づくと涙がこぼれてくる」「日曜の夜になると、決まって涙が出て眠れなくなる」——そんな状態がつづいていて、それでも「これは自分の甘えなのではないか」と、ご自身を責めていませんか。
先にお伝えします。会社に行けない、涙が出る、朝起きられない。これらは、甘えでも、気合いが足りないからでもありません。心と体が限界に近づいたときに現れる、はっきりとした不調のサインです。むしろ、そこまで我慢を重ねてこられたことのほうを、心配しなければなりません。このページでは、なぜ会社に行けなくなるのか、涙が出るのはどうしてか、そしてどう対処すればよいのかを、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医がお話しします。
いま、まさにつらい状態にある方に読んでいただくことを想定して書いています。もし読み進めるのがしんどければ、無理をせず、最後の受診案内だけでも目を通してみてください。
「読むより先に、まず相談したい」という方へ。当院は関内駅から徒歩2分、土日も診療しており、当日のご予約も承っています。WEB予約はこちら、お電話は045-663-5925(診療時間内)へどうぞ。
「甘え」ではありません——体が動かないのには理由がある
「行かなければいけないのに、体が動かない」。この状態を、多くの方が「自分の意志が弱いせいだ」と受け取ってしまいます。けれど、これは意志の問題ではありません。
強いストレスにさらされ続けると、心と体は、それ以上すり減らないよう、自分を守るために「動けない」状態をつくり出します。ブレーキがかかるのです。頭では「行かなければ」とわかっているのに体がついてこないのは、あなたが怠けているからではなく、心と体が「これ以上進むと壊れてしまう」と判断して、非常ブレーキを引いているからです。
つまり、朝、体が動かないのは、限界が近いことを知らせる警告です。その警告を「甘えだ」と押さえつけて無理を重ねると、いずれ本格的に動けなくなってしまいます。体のブレーキは、責めるべきものではなく、耳を傾けるべきサインなのです。
なぜ、涙が出るのか
理由もわからず涙がこぼれる。人前で泣きそうになるのをこらえるのがつらい。こうした状態に、とまどう方は少なくありません。
涙は、感情があふれ出したときだけでなく、心が強い緊張やストレスにさらされ続けたときにも出ます。張りつめた糸が限界まで引き伸ばされて、こらえきれずにゆるむ——その瞬間に、涙という形であふれるのです。とくに、気持ちが落ち込んでいるときは、感情をコントロールする力そのものが弱まっているため、自分でも思いがけないところで涙が出やすくなります。
ですから、涙が止まらないというのは、心がとても疲れているという、わかりやすいサインです。「こんなことで泣くなんて」と自分を責める必要はありません。泣けるだけ、まだ心が助けを求められている、とも言えます。理由もなく涙が出る状態そのものについては、理由もなく涙が出る・気づいたら泣いているでくわしくお話ししています。
日曜の夜がつらい、という方へ
「サザエさん症候群」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。休日の夕方から夜にかけて、翌日からの仕事を思って気分が重くなる。動悸がする。眠れなくなる。涙が出る。多くの働く人が、程度の差はあれ経験するものです。
ただ、それが毎週のように強く現れ、日曜の夜が来るのが怖い、日曜の午後からもう気分が沈みはじめる、という状態になっているとしたら、それは軽く見てよいものではありません。体が「あの場所に戻りたくない」と、はっきり訴えている証だからです。とくに、職場に行けなくなる背景に、パワハラやモラハラといったハラスメントがある場合には、なおさら注意が必要です。その場合は、職場のハラスメントによる心の不調のページもあわせてご覧ください。
こうした状態は、何を意味しているのか
会社に行けない、涙が出る、朝起きられない、眠れない、食欲がない。こうした状態がつづいているとき、心と体には、次のような変化が起きている可能性があります。
適応障害
仕事のストレスなど、はっきりした原因があって、それをきっかけに気分の落ち込みや不安、体の不調が現れている状態です。原因から離れると比較的すみやかに回復に向かう一方、我慢してその環境にとどまり続けると、うつ病へと進んでしまうことがあります。くわしくは適応障害とは?をご覧ください。
うつ状態・うつ病
気分の落ち込みや意欲の低下が2週間以上つづき、眠れない、食べられない、何も楽しめない、といった状態が重なっている場合は、うつ状態に至っている可能性があります。会社に行けないほどの状態は、すでにそこに近づいているサインかもしれません。うつ病とは?もご参照ください。
体に出る不調
心の不調は、体にも現れます。頭痛、動悸、めまい、胃の痛み、吐き気、体のだるさ。内科で調べても異常が見つからないのに不調がつづく場合、慢性的なストレスによる自律神経の乱れが背景にあることがあります。自律神経失調症とは?や、症状別にくわしいストレスで体調が悪い(頭痛・胃痛・めまい)もあわせてご覧ください。
まず、してほしいこと・しないでほしいこと
いま、つらい状態にある方に、お伝えしたいことがあります。
まず、自分を責めるのをやめてください。「行けない自分はだめだ」「みんなは我慢しているのに」——そうやって自分を追いつめることは、傷口に塩を塗るようなものです。行けないのは、あなたが弱いからではなく、心と体が限界を超えつつあるからです。
そして、一人で抱え込まないでください。つらさを一人で抱え続けると、視野がどんどん狭くなり、「もう逃げ場がない」という気持ちに追いつめられていきます。信頼できる人に話すだけでも、少し楽になることがあります。話せる相手が見つからないときは、私たちのような医療機関を頼ってください。
反対に、してほしくないのは、「気合いでなんとかしよう」と無理を重ねることです。もう十分がんばってきたはずです。ここからは、がんばる方向を「耐えること」から「回復すること」へ切り替えるときです。
会社に行けないとき、医療機関でできること
「病院に行っても、会社に行けるようになるわけではないのでは」と思うかもしれません。けれど、精神科・心療内科には、いまのあなたを支えるためにできることがあります。
つらい症状をやわらげる
眠れない、不安が強い、気分が沈む。こうした症状に対して、必要に応じてお薬の力も借りながら、つらさをやわらげていきます。まずは、削られた心と体を休められる状態に整えることが第一歩です。
「休む」という選択肢を一緒に考える
いまの状態では、いったん仕事から離れて休むことが、回復のために必要な場合があります。医師が必要と判断すれば、休職のための診断書を作成します。「休みたいけれど、言い出せない」「休んでいいのか迷っている」という段階から、一緒に考えていくことができます。休職や診断書の具体的な進め方については、休職と診断書|もらい方・休職中のお金・復帰の流れでくわしく解説していますので、あわせてご覧ください。
回復への道すじを描く
いまがどういう状態で、これからどう回復に向かうのか。復帰を目指すのか、環境を変えることも視野に入れるのか。一人では見えなくなっていた選択肢を、専門家と一緒に整理していきます。
「まだ受診するほどでは」と思っている方へ
会社に行けない、涙が出るという状態にありながら、なお「病院にかかるほどではない」とためらう方は、とても多くいらっしゃいます。けれど、思い出してください。あなたはいま、朝、体が動かず、涙がこぼれ、眠れずにいる。それは、もう十分に「受診してよい」状態です。
早く相談していただくほど、回復は早くなります。我慢を重ねてこじらせてしまう前の、いまこの段階でご相談いただくことに、大きな意味があります。受診は、特別なことでも、大げさなことでもありません。つらいときに、専門家を頼る。ただ、それだけのことです。
横浜・関内で「会社に行けない」とお悩みの方へ
「朝、体が動かない」「会社に向かうと涙が出る」「日曜の夜が怖い」「もう限界かもしれない」——そうした状態にあるなら、どうか一人で抱え込まず、まずはご相談ください。みなとメンタルクリニックは、横浜市中区・関内駅から徒歩2分の精神科・心療内科クリニックです。関内・馬車道はオフィスの多い街で、お仕事帰りにも立ち寄りやすい立地です。土日も診療し、当日のご予約にも対応しています。お一人おひとりの状況をていねいにうかがいながら、症状をやわらげる治療、必要に応じた休職のご相談まで、回復への道のりに寄り添います。
つらさは、耐え続けるものではありません。早めのご相談が、回復への近道です。受診をご希望の方は、WEB予約はこちらからご予約ください。初めて受診される方は初診の方へ、受診前に気になることがある方はよくある質問もあわせてご覧ください。
次のページはこちら
次回は、いよいよ「休む」という選択そのものを扱います。休職とは何か、診断書はどうやってもらうのか、休んでいるあいだのお金はどうなるのか、復帰までの流れは——「休みたいけれど、何から手をつければいいのかわからない」という方に、順を追ってお話しします。
▶ 次のページ:休職と診断書|もらい方・休職中のお金・復帰の流れ
◀ 前のページ:職場のハラスメントによる心の不調(第1回)
「職場のストレス・ハラスメント」シリーズ(全4回)
- 第1回:職場のハラスメントによる心の不調|パワハラ・モラハラの症状と対処
- 第2回:会社に行けない・涙が出るのは甘えではありません(このページ)
- 第3回:休職と診断書|もらい方・休職中のお金・復帰の流れ
- 第4回:パワハラ上司への対処法より大切な「心の限界サイン」
関連ページ
- 職場のハラスメントによる心の不調|パワハラ・モラハラの症状と対処/休職と診断書|もらい方・休職中のお金・復帰の流れ
- 適応障害とは?仕事のストレスで起こる心と体の不調/うつ病とは?
- 自律神経失調症とは?症状・原因・受診の目安/燃え尽き症候群(バーンアウト)とは?/理由もなく涙が出る・気づいたら泣いている
- 初診の方へ/よくある質問/WEB予約はこちら
参考文献・情報源
本記事の内容は、仕事のストレスとメンタルヘルスに関する以下の資料を参考にしています。
- 厚生労働省|こころの健康・こころの病気に関する情報
- 厚生労働省|こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
- DSM-5-TR|アメリカ精神医学会による精神疾患の診断基準(適応障害・うつ病を含む)
- ICD-11|世界保健機関による国際疾病分類
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。