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2026/06/20
働き盛りの会社員の燃え尽き症候群|中間管理職に多い理由と対処を横浜・関内の精神科医(産業医)が解説
「責任ある立場を任され、頑張ってきたのに、最近ふっと心が動かなくなった」「部下と上司の間で板挟みになり、気づけば消耗しきっていた」「仕事はこなせているが、もう何の張りも感じない」——働き盛りといわれる30〜50代、とくに会社の中核を担う方々から、こうした声を、よくうかがいます。まずは、この記事の要点です。
- 燃え尽き症候群は、働き盛り・責任が集中する立場の人に起こりやすい
- とくに中間管理職は、板挟み・プレイングマネージャー化で負荷が集中する
- この疲弊は「個人の弱さ」ではなく、立場に伴う構造的な負荷
- 全部を一人で背負わないことは甘えではなく、長く働くための合理的な判断
- 産業医面談など職場の仕組みは、管理職でも使ってよい
燃え尽き症候群(バーンアウト)は、まさにこの働き盛りの会社員、とりわけ責任が集中する立場の人に起こりやすいものです。「自分がしっかりしなければ」と走り続けてきた方ほど、その負荷は静かに積み重なっていきます。この記事では、なぜ働き盛りの会社員に燃え尽きが多いのか、見過ごされやすい理由、仕事を続けながらできること、そして産業医・職場との連携について、産業医でもある横浜・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が解説します。
働き盛りの会社員に、燃え尽きが多い理由
働き盛りの世代は、仕事の上でも家庭の上でも、責任と期待が最も集中する時期です。職場では中核的な役割を担い、後輩や部下の指導も求められ、家庭では育児や介護と向き合うこともあります。やりがいがある一方で、自分のための時間や休息は、後回しになりがちです。気づけば、自分のことだけが、いつも予定表の最後に回っている——そんな方も、多いのではないでしょうか。
厚生労働省の令和5年「労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活に関して強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者の割合は、82.7%に上ります。多くの働く人がストレスを抱えながら働いており、なかでも責任の重い立場ほど、その負荷は大きくなりやすいのです。つまり、あなたが感じているつらさは、あなただけのものではなく、同じ立場の多くの人が抱えているものでもあります。
中間管理職に、ストレスが集中する
働き盛りのなかでも、とくに中間管理職は、組織の中で最もストレスが集中しやすいポジションだといわれます。その背景には、次のような要因があります。
- 上司と部下の板挟み:経営層から降りてくる目標と、現場の実情との間で調整役を担い、双方に気を遣い続ける。
- プレイングマネージャーの負荷:自分自身の業務を抱えながら、部下の育成やトラブル対応まで担う。
- 仕事量の増加:上から突然仕事を振られ、業務量も労働時間も増えやすい。
- 多岐にわたる役割:目標達成、調整、育成、報告、火消しなど、見えにくい仕事が積み重なる。
- クレーム対応:顧客・取引先からのクレーム対応も、近年ストレス要因として増えています。
- リモートワーク後の変化:オンライン会議が増え、集中が切れやすく、回復の時間もとりづらくなっています。
ここで、いちばん大切なことをお伝えします。こうした疲弊は「個人の弱さ」ではなく、立場に伴う構造的な負荷です。同じポジションに就けば、誰であっても、大きな負荷がかかります。当事者の努力だけで解決するのは難しく、本来は職場全体で支えるべき課題なのです。ですから、「自分の力不足だ」と抱え込む必要は、まったくありません。
なぜ見過ごされやすいのか
働き盛りの燃え尽きは、本人も周囲も気づきにくい、という特徴があります。
- 「ケアする側」で、自分のケアが後回しになる:部下や周囲を気にかける立場ゆえ、自分の不調に目を向けにくい。
- 弱音を吐きにくい:「責任ある立場なのに」「部下の手前」と、つらさを口に出せない。
- 責任感で頑張り続けてしまう:限界が近づいても、「自分がやらねば」と走り続けてしまう。
- 「ただの疲れ」と思い込む:燃え尽きのサインを、一時的な疲労と片づけてしまう。
こうして無理を重ねた結果、ある日突然、出勤できなくなったり、休職に至ったりすることがあります。ふだん人を支える立場の方ほど、自分の限界には気づきにくいものです。だからこそ、早めに気づくことが、何より大切です。
「全部を一人で背負わなくていい」
責任感の強い方ほど、「自分がなんとかしなければ」と、すべてを一人で抱え込もうとします。けれども、全部を一人で背負わないことは、甘えでは、ありません。むしろ、長く働き続けるための、最も合理的な判断です。
仕事を手放したり、人に頼ったりすることに、罪悪感を覚える必要はありません。心身が消耗しきってしまえば、結局は仕事も家庭も、立ち行かなくなります。あなたが倒れてしまえば、いちばん困るのは、あなたが守ろうとしているチームや家族です。自分を守ることは、まわりを守ることにも、つながっています。頼ることは、責任の放棄ではなく、責任を果たし続けるための土台づくりなのです。
仕事を続けながらできること
すぐに休むのが難しい場合でも、日々のなかで取り入れられる工夫があります。大きなことでなくて構いません。
- 小さな休息をこまめにとる:1〜3分でも、肩を回す、目を閉じる、外の空気を吸うといった小休憩を、1日のなかに何度か挟む。回復はまとまった時間だけでなく、小分けにするほど、日中の安定感が増します。
- 小さな喜びを挟む:好きな音楽や香りなど、ほっとできる時間を、意識的につくる。
- 睡眠を最優先する:睡眠不足は判断力の低下やイライラにつながります。まず眠る時間を確保しましょう。
- 抱え込まず、相談する:仕事の一部を任せる、上司や同僚に状況を共有するなど、一人で完結させないこと。
「こんな小さなことで変わるのか」と思われるかもしれませんが、限界近くまで張りつめた糸には、ほんの少しのゆるみが、大きな意味を持ちます。
産業医・職場との連携
燃え尽きを防ぎ、回復していくうえでは、職場の仕組みを活用することも大切です。厚生労働省は、職場のメンタルヘルス対策として、4つのケアを示しています。
- セルフケア:自分のストレスに早めに気づき、対処する
- ラインによるケア:管理監督者が職場環境を整え、部下の不調に気づく
- 産業保健スタッフによるケア:産業医や保健師による支援
- 事業場外資源によるケア:外部の医療機関や相談機関の活用
会社に産業医がいる場合は、産業医面談を活用するのが、ひとつの方法です。産業医には守秘義務があり、働き方の調整や、必要に応じた休職の検討について、職場との橋渡し役を担ってくれます。「管理職だから相談しづらい」と感じる方もいますが、立場にかかわらず、相談してよいものです。むしろ、ふだん部下に「困ったら相談して」と言っている立場だからこそ、ご自身も、その仕組みを使ってよいのです。
放置するとどうなるか
燃え尽きを放置すると、心身の不調が深まり、うつ病への移行や、休職・離職につながることがあります。早めに手を打てば働き方の調整だけで立て直せたものが、放置によって、長い療養を要する状態になってしまうこともあります。つらさが強く、「消えてしまいたい」という気持ちが浮かぶようなときは、すでに心がかなり消耗しているサインです。その考えは、あなたの本心ではなく、疲れきった心が見せているものです。一人で抱え込まず、できるだけ早く、医療機関や相談窓口を頼ってください。
こんなときは専門医に相談を
次のような場合は、無理をせず、精神科・心療内科にご相談ください。
- 仕事への意欲が急になくなり、戻らない
- 強い疲労感が抜けず、休んでも回復しない
- 責任ある立場のつらさを、誰にも相談できずにいる
- 気分の落ち込みや不眠が続いている
- つらさが強く、消えてしまいたいと感じることがある
とくに「消えてしまいたい」という気持ちが頭に浮かぶときは、一人で抱え込まず、できるだけ早く、医療機関や相談窓口を頼ってください。「管理職の自分が、こんなことで」と、ためらう必要はありません。立場は関係なく、つらいときは、誰もが相談してよいのです。
みなとメンタルクリニックでのご相談
みなとメンタルクリニック(横浜・関内駅から徒歩2分)では、働き盛りの方の燃え尽き症候群や、メンタルヘルスのご相談をお受けしています。当院の理事長は日本医師会認定産業医でもあり、「仕事と心の健康」という視点から、状態の見立て、働き方の調整、産業医面談や職場との連携をふまえたご相談、必要に応じた治療や休職のご相談まで対応しています。精神保健指定医・精神科専門医が、責任ある立場ならではのおつらさもふまえ、回復に向けた方針を、ご一緒に考えます。「弱音を吐ける場所がなかった」という方も、ここでは、どうぞ肩の力を抜いてお話しください。
当院は土日も診療しているため、お仕事を続けながら通院したい方も、ご相談いただけます。受診の事実が勝手に勤務先へ伝わることはなく、プライバシーには十分に配慮しています。「会社に知られたら」という心配は、いりません。
初診の流れ
初めての方にも分かりやすいよう、受診の流れをご案内します。
- ご予約:お電話またはWebから、ご予約いただけます。当日のご相談については、お問い合わせください
- 問診:現在の症状やお困りごと、これまでの経過、お仕事の状況などをうかがいます。話せる範囲で、大丈夫です
- 診察:医師がお話をうかがい、今の状態の見立てと、これからの方針を、ご一緒に考えます
- 今後の方針:治療や通院、必要に応じて働き方の調整や休職について、ご提案します
よくある質問
管理職という立場で、相談しにくいのですが。
責任ある立場の方ほど一人で抱え込みやすいものですが、立場にかかわらず、相談してよいものです。むしろ、早めに相談することが、ご自身とチームの両方を守ることにつながります。
休んだら、評価に響くのではと不安です。
無理を続けて突然倒れてしまうより、早めに対処して回復するほうが、長い目で見れば仕事を続けやすくなります。働き方の調整や休職について、産業医や主治医と相談しながら考えていきましょう。
産業医には、どこまで伝わりますか?
産業医には守秘義務があります。本人の同意なく詳細が職場に伝わることはなく、必要な範囲で、配慮の調整役を担ってくれます。
仕事を続けながら、治療できますか?
状態によっては、働きながら通院し、働き方を調整しながら回復を目指すことも可能です。まずは状態を見立てたうえで、ご一緒に方針を考えます。
横浜・関内で、働き盛りの燃え尽きにお悩みの方へ
人を支え、組織を回し、期待に応え続けてきたあなたへ。まずお伝えしたいのは、「よく、ここまで走り続けましたね」という一言です。責任ある立場で感じる消耗は、あなたの力不足ではなく、それだけ多くを背負ってきたことの、証です。全部を一人で抱えなくて、大丈夫。その荷物を、少し一緒に整理させてください。
横浜・関内のみなとメンタルクリニックでは、燃え尽き症候群、うつ病、適応障害、不安症、不眠症など、働く方の心の不調全般の診療を行っています。日本医師会認定産業医である理事長のもと、治療と、働き方の調整の両面から、あなたを支えます。関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅からも徒歩5分。土日も診療しており、当日のご予約にも対応しています(枠の状況によります)。お仕事を続けながらでも、通院しやすい環境です。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町・みなとみらいエリアからもお越しいただけます。
「こんなことで受診していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。初めての方も、緊張されて当然です。私たちは、その一歩を、ていねいにお迎えします。
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- 燃え尽き症候群からの回復と復職
- 仕事のやる気が出ない・無気力が続くとき
- うつ病と間違われやすい病気との違い
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。