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2026/07/01

双極性障害とは?躁うつ病の症状・治療をわかりやすく|横浜・関内の精神科

「気分の浮き沈みが激しい」「調子の良い時期と、まったく動けない時期をくり返す」「うつ病と言われたけれど、それだけではない気がする」——双極性障害(躁うつ病)について、こうした思いをお持ちの方や、ご家族のことで心配されている方は、少なくありません。まずは、この記事の要点です。

  • 双極性障害は、気分が高ぶる「躁(そう)」と、沈む「うつ」をくり返す病気
  • 単なる気分屋・性格の問題ではなく、脳の働きが関わる、治療できる病気
  • はっきりした躁のある「I型」と、軽い高揚(軽躁)の「II型」がある
  • うつ状態で受診することが多く、初診ではうつ病と診断されやすい
  • 治療で気分の波を安定させ、自分らしい生活を続けていける病気

双極性障害は、気分の波によって、仕事や人間関係、生活が大きく揺さぶられる、つらい病気です。一方で、適切な治療によって、波を安定させ、自分らしく過ごしていくことができる病気でもあります。このページでは、双極性障害とはどのような病気か、症状・タイプ・原因・経過・治療の全体像を、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が、できるだけていねいに解説します。うつ病との違いについては「双極性障害とうつ病の違い」を、治療の詳細は「双極性障害の薬物療法」もあわせてご覧ください。

双極性障害(躁うつ病)とは

双極性障害は、気分が異常に高ぶる「躁(そう)状態」または「軽躁状態」と、気分が深く沈む「うつ状態」を、くり返す病気です。かつては「躁うつ病」と呼ばれていました。「双極」とは、気分が「躁」と「うつ」という、両方の極(きょく)に振れる、という意味です。躁やうつの時期のあいだには、症状の落ち着いた安定期(寛解期)があり、多くの場合、この安定した時期がもっとも長くなります。

大切なのは、これは「気分屋」「わがまま」「性格の問題」ではない、ということです。双極性障害は、脳の働きが関わる病気であり、本人の努力や心がけだけで、どうにかできるものではありません。気分の波は、意志の力でコントロールできるものではなく、治療を必要とするものです。「自分の性格が悪いせいだ」「気の持ちようだ」と、ご自身を責めてこられた方も多いのですが、どうか、そう思わないでください。適切な治療によって、安定を取り戻していける病気です。

どのくらいの人がかかるのか

双極性障害は、決してまれな病気ではありません。生涯のうちに診断される割合(生涯有病率)は、およそ1%前後、はっきりした躁のあるⅠ型に限ると0.4〜0.7%程度と報告されています。100人に1人弱、という規模です。発症する年齢は、うつ病より早めで、10代後半から20〜30代に多いとされますが、幅広い年代でみられます。男女差は、うつ病ほど大きくありません。「特別な人がなる、珍しい病気」ではなく、身近にありうる病気なのです。

躁状態・軽躁状態とは|「調子が良すぎる」時期

躁状態・軽躁状態は、気分が高ぶり、活動的になりすぎる時期です。次のような状態がみられます。

  • 気分が高揚し、爽快で、何でもできる気がする
  • 眠らなくても平気で、活動的になる(睡眠時間が極端に短い)
  • 次々にアイデアが浮かび、しゃべり続ける
  • 気が大きくなり、大きな買い物や、後先を考えない行動をとる
  • 怒りっぽくなり、周囲とぶつかりやすくなる
  • 自分は特別だ、優れている、という感覚が強くなる

本人は、この時期を「絶好調」「調子が良い」と感じることが多く、つらさを自覚しにくいのが特徴です。しかし、周囲から見ると「別人のよう」で、浪費・トラブル・人間関係の破綻など、あとで大きな後悔につながる行動をとってしまうことがあります。ここが、双極性障害の難しいところです。「本人は困っていないのに、生活は壊れていく」——だからこそ、たとえ気分が良くても、治療が必要になります。なぜ気分が良い時期にも治療がいるのか、くわしくは「なぜ躁状態で元気が出ても治療が必要なの?」でも解説しています。

なお、「躁状態」と「軽躁状態」は、程度の違いです。躁状態は、少なくとも数日以上続き、日常生活や社会生活に明らかな支障をきたし、入院が必要になることもあるほど強いもの。軽躁状態は、それより軽く、「いつもより調子が良い活動的な時期」に見えることが多いものです。この軽躁の見えにくさが、後で述べる「II型の見逃されやすさ」につながります。

うつ状態とは|深く沈み込む時期

うつ状態は、気分が深く沈み、心身のエネルギーが枯れてしまう時期です。次のような状態がみられます。

  • 気分がひどく落ち込み、何も楽しめない
  • 意欲がわかず、これまでできていたことができない
  • 疲れやすく、体が鉛のように重い
  • 眠れない、または眠りすぎる
  • 食欲が落ちる、または食べすぎる
  • 自分を責め、「消えてしまいたい」と感じることもある

双極性障害のうつ状態は、うつ病のうつ状態と、症状がとてもよく似ています。そのため、うつ状態のときに受診すると、「うつ病」と診断されることが少なくありません。実際、のちに双極性障害と診断された方の初診時の診断は、うつ病・うつ状態が6割以上を占めていた、という研究報告もあります。双極性障害の多くの方が、つらいうつ状態のときに受診される一方、躁や軽躁の時期は「調子が良い」ため受診には至りにくい——この「うつで受診し、躁は語られにくい」という構図が、双極性障害の診断を難しくしています。その結果、正しい診断にたどり着くまでに、平均して7〜10年ほどかかることもある、と報告されています。だからこそ、「うつ病として治療しているが、なかなか良くならない」というときは、双極性の可能性も含めて見直すことが大切なのです。

双極性障害には、I型とII型があります

双極性障害は、躁状態の程度によって、大きく2つのタイプに分けられます。

双極I型

はっきりとした「躁状態」がみられるタイプです。躁状態が強く、日常生活・社会生活に大きな支障が出たり、入院が必要になったりすることもあります。躁とうつの、振れ幅が大きいのが特徴です。

双極II型

はっきりした躁状態はなく、より軽い「軽躁状態」と、うつ状態をくり返すタイプです。軽躁は「調子の良い時期」に見えるため目立たず、うつの期間が長いことが多いため、「治りにくいうつ病」として扱われ続けることがあります。とりわけ見逃されやすいタイプで、注意が必要です。

I型・II型の違いや、見分けのポイントについては「双極性障害I型とII型の違い」でくわしく解説しています。どちらのタイプかによって、治療の重点も変わってくるため、正しく見分けることが大切です。

混合状態|躁とうつが入り混じる、つらい時期

双極性障害では、躁(軽躁)とうつの要素が、同時に、あるいは短い期間に入り混じって現れる「混合状態」がみられることがあります。気分は沈んでいるのに、頭は休まらず落ち着かない、いらいらする、眠れない——アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような、非常に消耗する状態です。

この状態は、一見「焦燥感の強いうつ病」のように見えるため、見逃されやすく、また、つらさが強く、「消えてしまいたい」という気持ちが高まりやすい、危険な時期でもあります。気分が沈んでいるのに落ち着かない、という状態が続くときは、我慢せず、早めにご相談ください。こうした時期こそ、適切な見立てと対応が、大きな助けになります。

双極性障害の原因

双極性障害の原因は、まだ完全には解明されていませんが、脳の働き(神経伝達物質のバランスなど)に関わる、生物学的な要因が大きいと考えられています。遺伝的な体質も関係するとされ、双子を対象とした研究では、一卵性双生児で双方が発症する割合が高いことが示されており、体質的な背景があることがうかがえます。家族に双極性障害や気分の波がある方がいる場合、発症しやすい傾向があることも知られています。

ここで強調しておきたいのは、双極性障害は「育て方」や「性格の弱さ」「本人の努力不足」で起こる病気ではない、ということです。ストレスや生活リズムの乱れ、睡眠不足などが、気分の波の引き金になることはありますが、それは「きっかけ」であって、「原因(=本人のせい)」ではありません。糖尿病や高血圧と同じように、体質を背景にもち、治療とつき合っていく病気、と考えていただくのが、実態に近いと思います。この理解は、ご本人が自分を責めずに治療に向き合ううえでも、ご家族が支えるうえでも、とても大切です。

双極性障害の経過|再発しやすい病気

双極性障害は、躁とうつのエピソードを、生涯にわたってくり返しやすい病気です。一度、症状が落ち着いても、治療をやめると再発しやすいことが知られています。だからこそ、症状が治まったあとも、再発を防ぐための治療(維持期の治療)を続けることが、とても大切になります。

「再発しやすい」と聞くと、不安になるかもしれません。けれど、裏を返せば、適切な治療を続けることで、波を小さくし、安定した時期を長く保つことができる、ということでもあります。実際、治療を続けながら、仕事や家庭生活を、これまでどおり送っている方は、たくさんいらっしゃいます。「一生つき合う」というと重く聞こえますが、「上手につき合っていける」病気なのです。安定した時期をいかに長く保つか、が治療の大きなテーマになります。

双極性障害の治療

双極性障害の治療は、お薬による治療(薬物療法)が中心になります。うつ病とは異なり、抗うつ薬が中心ではなく、気分の波そのものを抑える「気分安定薬」(リチウムなど)や、一部の「抗精神病薬」が、治療の柱となります。

とくに注意が必要なのは、双極性障害に抗うつ薬だけを使うと、かえって気分が不安定になったり、躁へ転じたりすることがある、という点です。このため、「うつ病」として抗うつ薬で治療してもなかなか良くならない場合には、双極性障害の可能性を含めて、治療を見直すことが大切になります。お薬のくわしい内容は「双極性障害の薬物療法」で解説しています。

また、お薬だけでなく、生活リズム(とくに睡眠)を整えること、気分の波のパターンや再発のサインを把握すること、周囲の理解を得ることなども、安定を保つうえで大切です。とくに睡眠不足は躁の引き金になりやすいため、規則正しい生活が、治療の土台になります。当院では、お薬による治療と、こうした生活面のサポートを、あわせて進めていきます。

ご家族・周囲の方へ

双極性障害は、ご本人だけでなく、支えるご家族にとっても、戸惑いの多い病気です。とくに躁・軽躁の時期は、本人は「調子が良い」と感じているため、周囲が心配して声をかけても、聞き入れてもらいにくいことがあります。「別人のようだ」「言っても聞かない」と、疲れてしまうご家族も少なくありません。

一方で、軽躁の時期は本人が気づきにくいため、ご家族の「あの時期は、いつもと違った」という気づきが、正しい診断の、大切な手がかりになります。受診に付き添っていただき、そうした様子を医師にお伝えいただけると、とても助かります。ご家族自身が抱える不安や疲れについても、遠慮なくご相談ください。ご本人を支えるためにも、ご家族が一人で抱え込まないことが大切です。

よくある質問

双極性障害と、うつ病はどう違うのですか?

うつ病は「うつ状態」だけがみられるのに対し、双極性障害は「うつ状態」に加えて「躁(軽躁)状態」がみられます。うつ状態だけを見ると見分けにくいため、正しい診断には、過去の気分の高揚期を含めた、経過全体をみることが大切です。くわしくは「双極性障害とうつ病の違い」をご覧ください。

双極性障害は、治りますか?

完全になくすというより、治療によって気分の波を安定させ、再発を防ぎながら、自分らしい生活を続けていくことが目標になります。安定した状態を長く保っている方も、多くいらっしゃいます。

気分の波は、性格の問題ではないのですか?

いいえ、性格の問題ではありません。双極性障害は、脳の働きが関わる病気で、意志の力だけでコントロールできるものではありません。ご自身を責める必要はありません。治療の対象となる病気です。

躁状態のときは、本人は困っていないのに治療が必要ですか?

はい。躁状態は本人が「調子が良い」と感じても、浪費やトラブルなど、あとで大きな後悔につながる行動を招きやすく、その後に強いうつが来ることもあります。気分が良い時期こそ治療が必要な理由については「なぜ躁状態で元気が出ても治療が必要なの?」もご覧ください。

仕事を続けながら、治療できますか?

多くの方が、治療を続けながら仕事をされています。ただし、症状が強い時期には、休養が必要になることもあります。働き方の調整や、休職・復職については、状況に応じて一緒に考えます。「双極性障害と仕事・休職・復職」もご参照ください。

家族が双極性障害かもしれません。どう接すればいいですか?

まず、ご本人を責めないことが大切です。とくに軽躁の時期は本人が気づきにくいため、ご家族が見た様子を、受診時に医師へ伝えていただけると診断の助けになります。ご家族だけで抱え込まず、一度ご相談ください。接し方についても、一緒に考えます。

受診を検討する目安

次のような場合は、精神科・心療内科で相談することを検討してください。

  • 気分が落ち込む時期と、調子が良すぎる時期を、くり返している
  • 眠らなくても平気なほど、活動的になる時期があった
  • うつ病として治療しているが、なかなか良くならない
  • 抗うつ薬を飲むと、かえって落ち着かなくなる気がする
  • 気分の波で、仕事や人間関係に支障が出ている
  • 「消えてしまいたい」と感じることがある

とくに「消えてしまいたい」という気持ちがあるときは、我慢せず、早めにご相談ください。気になる項目があれば「双極性障害のセルフチェック」もご覧いただけます。受診をご希望の方は、WEB予約はこちらからご予約いただけます。

当院の特徴|関内駅2分・平日夜間診療・当日予約対応・女性医師在籍

みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分の、通いやすい立地にあります。祝日以外は毎日診療しており、平日は夜19時まで診療しているため、お仕事を続けながらの通院にも対応しています(土曜・日曜も診療)。当日のご予約にも対応していますが、枠の状況によっては、ご希望に添えない場合もございます。できるだけ同じ医師が継続して診療し、双極性障害のような長い経過をたどる病気も、腰を据えて一緒に支えていくことを大切にしています。血液検査による安全確認も含め、薬物療法にもていねいに対応します。女性医師も在籍し、保険適用の心理検査にも対応しています。うつ病、不安症、双極性障害、不眠症、自律神経失調症、適応障害、発達障害など、こころの不調全般を診療しています。

横浜・関内で、気分の波にお悩みの方へ

「気分の浮き沈みがつらい」「うつ病として治療してきたが、良くならない」「家族の気分の波が心配」——どんなことでも、不安や希望をそのままお聞かせください。双極性障害は、正しく診断し、適切に治療することで、気分の波を安定させ、自分らしい生活を取り戻していける病気です。一人で、あるいはご家族だけで抱え込まず、これまでの気分の経過も含めて、ご相談ください。

横浜・関内のみなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。祝日以外は毎日診療し、平日は夜間まで、土日も診療しています。当日のご予約にも対応しており(枠の状況によります)、みなとみらいエリアからも通院しやすいクリニックです。横浜市中区・関内を中心に、馬車道・桜木町エリアからもお越しいただけます。

「こんなことで受診していいのだろうか」と、ためらう必要はまったくありません。気分の波のつらさは、我慢するものではありません。初めての方も、緊張されて当然です。私たちは、その一歩を、ていねいにお迎えします。受診をご希望の方は、WEB予約はこちらから。

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この記事の監修者

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)

医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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