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2026/09/02
秋に食欲が増える・甘いものがやめられないのはなぜ?|「食欲の秋」と冬型の季節性うつの過食の見分け方を横浜・関内の精神科医が解説
「秋になったら急に食欲が戻って、食べすぎてしまう」「甘いものやパン、ご飯ばかり欲しくなる」「気分が沈むと、つい食べてしまって体重が増えた」。9月から10月にかけて、横浜・関内のみなとメンタルクリニックには、食欲の変化と気分の沈みを一緒に訴える方が増えてきます。
秋に食欲が増えること自体は、多くの場合、体が夏の消耗から回復している健康なサインです。ただ、「食欲の秋」という言葉の中には、季節性感情障害(冬型)の過食や、気分の不調を食べることでしのいでいる状態が混ざっていることがあります。この記事では、秋に食欲が変わるしくみと、健康な食欲と気になる食欲の見分け方、そして食べることを責めずに整えていく方法を、精神科医の立場からお伝えします。
秋の不調の全体像は秋に心と体が不調になるのはなぜ?|秋バテ・秋うつ・季節の変わり目のだるさと気分の落ち込みを横浜・関内の精神科医が解説でまとめています。この記事はその第5章、「秋の食欲と気分」を掘り下げる回です。食欲が落ちる側の話は食欲がなくなる状態と気分の落ち込みについての記事で扱っており、この記事は増える側に絞っています。
「食欲の秋」は、体にとって自然なこと
夏に落ちていた食欲が戻ってくる
暑さの中では、体温を上げないように体が食欲を抑え、冷たいものや軽いものに偏りがちでした。気温が下がると、この抑えが外れて食欲が戻ります。第1章「秋バテ」でお伝えしたように、夏の間に不足していたたんぱく質やビタミン・ミネラルを補う時期でもあるので、秋に食欲が増えるのは回復の一部です。
気温が下がると、体は熱をつくるために燃料を求める
外気温が下がると、体温を保つためにエネルギーの消費が増えます。体はそれを補おうとして、食欲を高めます。秋から冬にかけて「なんとなくよく食べる」のは、季節に合わせた体の調整です。
日照が減ると、甘いもの・炭水化物が欲しくなる
ここが、秋の食欲が「気分」とつながってくる部分です。第3章でお伝えしたように、日光を浴びる量が減ると、気分の安定に関わる脳内の神経伝達物質、セロトニンの働きが鈍ります。炭水化物を食べると、脳内でセロトニンの材料が取り込まれやすくなることが知られており、光が減った脳が、セロトニンを補うために甘いものや炭水化物を求める、という考え方があります。「秋になるとパンやお菓子がやめられない」という感覚には、こうした脳の側の事情が含まれています。この範囲であれば、多くは春に向けて自然に落ち着きます。
食欲の変化が「気分の不調」につながる3つの形
1. 冬型の季節性感情障害の「過食」
第3章で扱った季節性感情障害(冬型)では、過眠と並んで、甘いもの・炭水化物を強く欲しがる過食と、それに伴う体重の増加が中心症状として出ます。一般的なうつ病の「食べられない」とは反対の形です。日が短くなり始める10〜11月ごろから始まり、冬に強くなり、春に軽くなります。「毎年、秋から冬に食べる量が増えて、気分も沈み、春になると戻る」という季節のパターンがあるなら、この可能性を考えます。
2. 気分の沈みを、食べることでしのいでいる
気分が沈んだときに甘いものを食べると、一時的に気持ちが楽になります。これは脳のしくみとして自然な反応で、悪いことではありません。ただ、秋の負担で気分が沈む日が増え、そのたびに食べることで気持ちを立て直していると、「食べる」が気分の調整の主な手段になっていきます。食べたあとに自分を責めて、さらに気分が沈み、また食べる、という流れができると、気分の不調と食欲の変化が互いを強めていきます。
3. 気分の不調が食欲の変化として表に出ている
うつ状態では、食欲が落ちる方が多い一方で、食欲が増える形で出る方もいます。眠気が強く、体が鉛のように重く、食欲が増える、という組み合わせは「非定型」と呼ばれる形で、冬型の季節性感情障害と重なる部分が大きいですが、季節と関係なく起こることもあります。
健康な「食欲の秋」と、相談したほうがよい食欲の見分け方
食べたあとに、どう感じているか
健康な食欲は、食べれば満足し、気分もよくなります。気になる食欲は、食べても満たされない、食べたあとに自分を責める、食べることが「楽しみ」ではなく「しのぎ」になっている、という形で出ます。
気分と眠気がついてきているか
食欲だけが増えていて、気分は普通、朝も起きられる、というなら季節の範囲です。食欲の増加と一緒に、気分の落ち込み、何をしても楽しくない感じ、強い眠気、体の重さが来ているなら、食欲は気分の不調の一部として出ている可能性があります。
毎年同じ時期に来ているか
「秋から冬にかけて毎年、食べる量と体重が増え、春に戻る」という季節のパターンがはっきりしているなら、冬型の季節性感情障害を考えます。
体重の変化と、それに伴う自責
季節に伴う多少の体重の変動は自然なことです。気になるのは、体重が増えたことで自分を強く責め、それが気分をさらに沈めている場合です。この状態は、体重そのものより、自責が気分の不調を深めていることが問題なので、ダイエットより先に気分の側を整える必要があります。
食べることを責めずに、秋の食欲と気分を整える方法
まず、朝の光を浴びる
秋の甘いもの・炭水化物への欲求の土台は、光の減少によるセロトニンの働きの低下です。食べ方を変える前に、朝の光を浴びてセロトニンの土台を整えるほうが、遠回りのようで近道です。起きてすぐカーテンを開け、朝のうちに10〜15分外の光を浴びることを、秋の習慣にしてください。
食事の時間をそろえ、朝食を抜かない
食事の時間が不規則だと、空腹と満腹の波が大きくなり、甘いものへの欲求が強まります。とくに朝食を抜くと、午後から夜にかけて食欲が集中しやすくなります。朝食をとる時間をそろえることは、体内時計の調整にも役立ちます。
たんぱく質と温かい食事を先に
甘いものが欲しいときに、それを我慢するのではなく、先に肉・魚・卵・大豆などのたんぱく質と温かい汁物を食べておくと、そのあとの甘いものへの欲求が穏やかになります。「食べない」より「先に食べる」で整えるのがおすすめです。
甘いものを「禁止」しない
秋の甘いものへの欲求は、脳がセロトニンを補おうとしている自然な反応です。禁止するとかえって欲求が強まり、食べたときの自責も大きくなります。量と時間を決めて楽しむ、食べたら責めない、というほうが、気分にも食欲にもよい結果になります。
日中に体を動かす
日中の散歩や軽い運動は、光を浴びる機会にもなり、気分と食欲の両方を整えます。秋は屋外で体を動かしやすい季節です。
気分が沈んだときの「食べる以外の手段」を一つ持つ
食べることが気分の調整の主な手段になっているときは、それをやめるのではなく、もう一つ手段を増やすことを考えてください。短い散歩、湯船に浸かる、誰かに一言メッセージを送る、といった小さなことで十分です。手段が二つあれば、食べることへの集中が少しゆるみます。
受診を考えていただきたい目安
- 食欲の増加と一緒に、気分の落ち込みや何をしても楽しくない感じが2週間以上続いている
- 食べても満たされず、食べたあとに自分を強く責める日が続いている
- 甘いもの・炭水化物への欲求が強く、自分では調整しにくくなっている
- 強い眠気と体の重さが、食欲の変化と一緒に来ている
- 毎年、秋から冬にかけて食べる量と体重が増え、気分が沈み、春に戻る
- 体重の変化への自責が、気分をさらに沈めている
気分の落ち込みの見分け方は気分の落ち込みが続く——「ただの落ち込み」と「受診すべきうつ」の境界線で詳しく解説しています。
夜間や休日など、すぐに受診できないときに相談できる公的な窓口もあります。
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・通話無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
- 厚生労働省「まもろうよ こころ」:電話・SNSでの相談窓口をまとめたサイト
横浜・関内で秋の食欲の変化と気分をご相談いただくには
みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩圏内、横浜市中区・馬車道・桜木町・みなとみらいエリアからも通いやすい場所にあります。土日も診療しており、当日のご予約にも対応していますので、「食欲の秋にしては、気分まで引きずられている」と感じた時点でお気軽にご相談ください。
診察では、食欲の変化が季節の自然な回復なのか、冬型の季節性感情障害の始まりなのか、気分の不調を食べることでしのいでいる状態なのかを、食欲・眠気・気分の経過をうかがいながら一緒に整理します。光と生活リズムの調整を中心に、必要に応じてカウンセリング的なアプローチや薬による治療を組み合わせ、食べることを責めずに冬を過ごせるようお手伝いします。会社帰りの受診については会社帰りに通える心療内科をお探しの方へ|横浜・関内で夜間・土日も診療、当日予約に対応をご覧ください。
秋のメンタル不調シリーズ(全6章)
- 総論:秋に心と体が不調になるのはなぜ?|秋バテ・秋うつ・季節の変わり目のだるさと気分の落ち込みを横浜・関内の精神科医が解説
- 第1章:秋バテとは?夏の疲れが秋になって出てくる理由と、だるさ・眠気の対処・受診の目安
- 第2章:季節の変わり目の寒暖差・気圧の変化で不調になるのはなぜ?
- 第3章:日が短くなると気分が沈むのはなぜ?|秋うつと季節性感情障害(冬型)の入口
- 第4章:秋になると朝起きられない・眠くて仕方ないのはなぜ?
- 第5章:秋に食欲が増える・甘いものがやめられないのはなぜ?(この記事)
- 第6章:夏の疲れ・不調が秋になっても抜けない|受診したほうがよいサインの見分け方
夏の食欲低下と夏の不調については夏に心と体が不調になるのはなぜ?|夏バテ・夏うつ・夏の不眠・冷房病を横浜・関内の精神科医が解説もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
秋に体重が増えるのは病気ですか?
季節に伴う多少の増減は自然なことで、それだけで病気ではありません。気分の落ち込みや強い眠気が一緒に来ている、食べたあとの自責が強い、毎年秋から冬に同じパターンがある、という場合に、季節性感情障害や気分の不調の可能性を考えます。
甘いものを我慢すれば気分はよくなりますか?
秋の甘いものへの欲求は、光の減少で働きが鈍ったセロトニンを脳が補おうとする反応なので、我慢だけでは根本は変わらず、かえって欲求と自責が強まりがちです。朝の光と生活リズムで土台を整えたうえで、量と時間を決めて楽しむほうが、気分にも食欲にもよい結果になります。
当日に予約して受診できますか?
はい。当日のご予約に対応しています。土日も診療していますので、平日にお休みが取りにくい方もご利用ください。
この記事の監修者
田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。