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2026/06/15

抗不安薬の頓服とは?使い方・注意点・依存を横浜・関内の精神科医が解説

「抗不安薬を頓服で出されたけれど、いつ飲めばよいのか分からない」「不安になったら毎回飲んでよいのか不安」「頓服でも依存するのではないか心配」「薬を使わずに我慢した方がよいのか迷う」——このように感じていませんか。

抗不安薬の頓服とは、不安や緊張、パニック発作などが強いときに、必要に応じて使う薬のことです。毎日決まった時間に飲む薬とは異なり、症状が強い場面や、医師が指示した場面で使うことがあります。強い不安を一時的にやわらげ、外出、通勤、会議、発表、通院などを乗り越える助けになる場合があります。一方で、眠気、ふらつき、注意力低下、依存、耐性、離脱症状などには注意が必要です。

大切なのは、抗不安薬を「何が何でも使わない」と考えることでも、「不安ならいつでも自由に使う」と考えることでもありません。医師と相談しながら、使う目的、場面、回数、注意点を明確にして、必要なときに慎重に使うことです。

このページでは、抗不安薬の頓服とは何か、使う場面、飲むタイミングの考え方、依存を防ぐための注意点、自己判断で増減しない理由、受診の目安について、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックの精神科医が解説します。抗不安薬全体については抗不安薬とは?効果・副作用・依存の注意点を解説、ベンゾジアゼピン系の依存・耐性・離脱についてはベンゾジアゼピン系抗不安薬とは?依存・耐性・離脱症状もあわせてご覧ください。

抗不安薬の頓服とは

頓服とは、症状があるときや必要な場面で使う薬のことです。抗不安薬の場合、不安、緊張、焦り、パニック発作などが強いときに、医師の指示に従って使うことがあります。たとえば、パニック発作が起こりそうなとき、電車や人混みがどうしても不安なとき、会議や発表の前に強い緊張があるときなどです。

ただし、頓服は「不安を少し感じたら自由に何回でも飲む薬」ではありません。どのような場面で使うのか、1日に何回まで使ってよいのか、飲む間隔はどうするのか、眠気やふらつきが出た場合どうするのかを、事前に確認しておくことが大切です。抗不安薬の種類や量、作用時間は薬によって異なるため、具体的な使い方は処方した医師や薬剤師の指示に従ってください。

頓服に使われやすい薬と注意点

頓服には、効き始めが比較的早く、作用時間が短めの薬(短時間作用型)が使われることがあります。発作的な不安や、特定の場面の前に使う目的に合いやすいためです。一方で、効果が切れる感覚を自覚しやすく、頻回に使うと依存につながりやすい面があるとされています。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の添付文書では、連用により薬物依存を生じることがあるため、漫然とした継続投与による長期使用を避けるよう注意が示されています。これは毎日飲む場合だけでなく、頓服であっても使う頻度が増えれば同様に当てはまる考え方です。

作用時間による薬の違いはベンゾジアゼピン系抗不安薬とはで、薬どうしの効き方の比較はデパス・ソラナックス・ワイパックス・メイラックス・レキソタンの違いで解説しています。

頓服は「我慢できない人が使う薬」ではありません

抗不安薬の頓服に対して、「使うと負けた気がする」「我慢できない自分が弱いのではないか」と感じる方がいます。しかし、頓服は本人の弱さを示すものではありません。強い不安やパニック発作によって生活に支障が出ている時期に、一時的に症状をやわらげ、必要な行動を支えるために使われることがあります。

たとえば、電車に乗れない、外出できない、会議に出られない、眠れない、パニック発作が怖くて生活が狭くなっている場合、頓服が治療の助けになることがあります。一方で、頓服に頼りすぎると「薬を飲まないと何もできない」という感覚が強くなることがあります。そのため、必要な場面で役立てながら、少しずつ薬以外の対処法や行動の幅も広げていくことが大切です。

抗不安薬の頓服が役立つことがある場面

抗不安薬の頓服は、次のような場面で検討されることがあります。

  • パニック発作が起きそうで強い恐怖があるとき
  • 動悸、息苦しさ、めまいなどが不安とともに強く出るとき
  • 電車、地下鉄、人混み、外出がどうしても不安なとき
  • 会議、発表、面接、電話などで強い緊張があるとき
  • 不安が強く、寝つきが悪い日が続いているとき
  • 治療初期で不安が強く、生活を支える必要があるとき
  • SSRIやSNRIなどの効果が出るまでの補助として使うとき

ただし、これらの場面で必ず頓服が必要というわけではありません。症状の強さ、生活への影響、年齢、体質、併存する病気、ほかの薬との関係、これまでの服薬歴をふまえて医師が判断します。パニック発作についてはパニック障害とは?発作の症状・原因・治療を解説、動悸や息苦しさが気になる方は動悸や息苦しさは不安のせい?も参考になります。

毎日飲む薬と頓服の違い

抗不安薬には、毎日決まった時間に飲む形で処方される場合と、頓服として処方される場合があります。毎日飲む場合は、不安や緊張が一日を通して強い場合や、治療初期に症状を安定させる必要がある場合などに検討されます。頓服の場合は、発作的に不安が強くなる場合や、特定の場面で不安が強くなる場合に検討されます。

どちらがよいかは症状の出方によって異なります。毎日飲む薬を自己判断で頓服に変えたり、頓服薬を自己判断で毎日飲むようにしたりすることは避けてください。薬の使い方は、症状の変化、生活状況、副作用、依存のリスクを確認しながら、医師と相談して決めることが大切です。

頓服を使う前に確認しておきたいこと

抗不安薬を頓服で使う場合は、あらかじめ次の点を確認しておくと安心です。

  • どの症状に対して使う薬なのか
  • どのような場面で使ってよいのか
  • 1日に何回まで使ってよいのか
  • 服用の間隔はどのくらい空ける必要があるのか
  • 飲んだあと眠気やふらつきが出る可能性はあるか
  • 運転や仕事に影響が出る可能性はあるか
  • アルコールとの関係で注意することはあるか
  • 使う頻度が増えた場合はどうするか
  • 効果を感じないときに追加で飲んでよいのか

特に、「効かない気がするから追加で飲む」「不安だから予定より多く飲む」といった自己判断は避ける必要があります。効果が不十分に感じる場合や使用回数が増えている場合は、治療方針を見直すサインかもしれません。

「週に何回まで」を決めておくと迷いが減ります

頓服でいちばん迷うのが、飲むかどうかの判断そのものです。飲もうか、我慢しようか、と考えている時間自体が消耗になり、その迷い自体が不安を強めることもあります。

そこで役立つのが、あらかじめ上限の目安を医師と決めておくことです。「週に何回まで」「1日に何回まで」という枠が決まっていると、その範囲内なら迷わずに使えますし、枠を超えそうになったときが相談のタイミングだと分かります。判断の基準を自分の気持ちの強さだけに委ねないほうが、結果的に使いすぎを防げます。

頓服を飲むタイミングについて

抗不安薬の頓服をいつ飲むかは、薬の種類、症状の出方、使用目的によって異なります。パニック発作が起きたときに使う場合もあれば、強い不安が出やすい場面の前に使うよう指示される場合もあります(電車に乗る前、会議の前、苦手な外出の前など)。

ただし、すべての薬が同じタイミングで効くわけではありません。作用が出るまでの時間、効果が続く時間、眠気の出やすさは薬によって違います。そのため、「何分前に飲めばよいか」「発作が起きてから飲むのか」「不安が出そうな前に飲むのか」は、必ず処方した医師に確認してください。飲むタイミングを自己判断で変えたり、効果が不十分だからと追加で飲んだりすることは避けてください。

「場面の前」と「症状が出てから」では、意味が違います

この二つは、同じ頓服でも役割が異なります。

場面の前に使うのは、緊張が予測できる状況で、その場に踏み出すための後押しです。社交不安で発表や面接がある場合などが典型で、避けずに臨むことが目的になります。この使い方は、行動を広げる方向にはたらきます。

症状が出てから使うのは、すでに起きている強い不安をしのぐためです。ただし後述するとおり、この使い方には効果の判定が難しいという事情があります。

どちらを想定した処方なのかがあいまいなまま持っていると、使いどころが分からなくなります。処方されたときに、この点を確認しておいてください。

発作は、薬がなくても時間とともにおさまります

知っておいていただきたいことがあります。パニック発作は、多くの場合、始まってから10分ほどでピークに達し、その後は自然におさまっていきます。永遠に続くものではありません。

ここで起きるのが、判定の難しさです。発作が始まってから薬を飲むと、たいてい20〜30分ほどで落ち着いてきます。しかしそれは、薬が効いたからなのか、発作が自然に収まる時間が来たからなのか、区別がつきません。実際には両方が混ざっています。

この区別がつかないまま「飲んだから助かった」という体験が積み重なると、薬なしでは乗り切れないという確信が強まっていきます。本当は自力で越えられる場面でも、そう思えなくなるのです。だからこそ、発作が起きたときにすぐ飲むのではなく、少し様子を見てから判断する、という使い方が検討されることがあります。もちろん、これは我慢を強いるためではなく、ご自身の回復力を確かめるための工夫です。進め方は医師と相談してください。

頓服を使いすぎていないか確認する目安

頓服は、必要な場面で使うことで助けになることがあります。一方で、使用頻度が増えている場合は注意が必要です。次のような状態がある場合は、医師に相談して治療方針を見直すとよいでしょう。

  • 以前より頓服を使う回数が増えている
  • 外出や仕事のたびに必ず飲むようになっている
  • 薬を持っていないと強い不安になる
  • 薬を飲まないと行動できないと感じる
  • 効きが弱くなったように感じる
  • 自己判断で追加服用したくなる
  • 飲む場面が少しずつ広がっている
  • 眠気やふらつきがあるのに使い続けている

これらは必ずしも「依存している」という意味ではありません。しかし、頓服の役割や治療全体を見直すきっかけになります。使い方に不安がある方は、自己判断で中止せず、医師に相談することが大切です。

使う場面が広がっていくときの典型的な流れ

最初は「発作が起きたとき」だけだったものが、「発作が起きそうなとき」に広がり、やがて「発作が起きるかもしれない場面に行く前」になり、最後は「念のため毎朝」になる。この移り変わりは、多くの方に共通してみられます。

一段ずつは小さな変化なので、進んでいる最中には気づきにくいものです。だからこそ、飲んだ日と場面を記録しておくと、あとから振り返ったときに変化が見えます。「気づいたら毎日になっていた」という事態を防ぐのに、記録がいちばん確実です。

頓服でも依存することはありますか?

頓服であれば絶対に依存しない、というわけではありません。使用回数が少なく、目的が明確で、医師の指示内で使っている場合は、リスクを抑えながら使用できることがあります。一方で、頓服であっても使用頻度が増えたり、不安を感じるたびに使う習慣になったりすると、薬への心理的な依存が強くなることがあります。また、ベンゾジアゼピン系抗不安薬では、長期使用や高用量使用によって身体依存、耐性、離脱症状が問題になることがあります。

なぜ頓服は習慣になりやすいのか

頓服が習慣化しやすいのには、理由があります。

不安がとてもつらい状態で薬を飲み、しばらくして楽になる。この体験は、「薬を飲む」という行動と「つらさが消える」という結果を強く結びつけます。しかも、つらい状態から解放されるという形の結びつきは、快楽を得る場合よりも行動を定着させる力が強いことが知られています。

つまり、意志が弱いから習慣になるのではありません。人間の学習の仕組みとして、そうなりやすいということです。加えて、効き始めが早い薬ほど「飲んだ→効いた」の因果がはっきり感じられるため、この結びつきは強くなります。

この仕組みを知っておくと、対策も立てやすくなります。飲まずに乗り切れた経験を意識して積み重ねる、飲むまでに少し間を置く、といった工夫は、この結びつきを緩める方向にはたらきます。

依存を防ぐために

依存を防ぐためには、使う目的を明確にする、医師の指示された回数や量を守る、不安を感じるたびにすぐ飲む習慣にしない、使った日や場面を記録する、使用頻度が増えたら早めに相談する、薬以外の対処法も身につける、定期的に必要性を見直す、といった点が大切です。依存が心配だからといって、自己判断で急にやめることも危険です。すでに頓服を頻繁に使っている場合や、長く服用している場合は、医師と相談しながら方針を考えていきます。依存・耐性・離脱症状の詳しい説明はベンゾジアゼピン系抗不安薬とは?依存・耐性・離脱症状をご覧ください。

頓服を自己判断で増やしたり・やめたりしないでください

不安が強いと、「もう1錠飲めば落ち着くのではないか」「今日は特別につらいから多めに飲みたい」と感じることがあります。しかし、抗不安薬を自己判断で増やすと、眠気、ふらつき、注意力低下、転倒、記憶のあいまいさなどが出やすくなり、用量が増えることで依存や離脱症状のリスクも高まる可能性があります。特に、アルコールと一緒に使うことは避ける必要があります。

反対に、依存が心配になって「もう飲まない方がよい」と急にやめようとする方もいます。短期間・少量で使用している場合は大きな問題にならないこともありますが、長く・頻繁に使っている場合、急な中止で不安、不眠、焦り、動悸、震え、発汗などが出ることがあります。その症状を「やはり薬がないとだめだ」と感じ、さらに不安が強くなることもあります。

頓服を飲んでも不安が十分におさまらない場合や、追加で飲みたくなることが続く場合、あるいは減らしたい・やめたいと考えた場合は、薬の量を自己判断で変えるのではなく、現在の使用頻度、服用量、症状、生活状況を確認しながら医師と相談することが大切です。減らし方の進め方は抗不安薬の減らし方・やめ方|注意点と進め方で解説しています。

すでに指示より多く飲んでしまっている場合も、正直に伝えてください。責めるためではなく、実際に飲んでいる量が分からないと次の調整ができないためです。多く飲まざるを得なかった事情のほうに、見直すべき手がかりがあることが多くあります。

頓服を使った日を記録するメリット

抗不安薬を頓服で使う場合、使った日や場面を簡単に記録しておくと、診察で治療方針を考えやすくなります。いつ使ったか、どのような場面で使ったか、不安の強さはどのくらいだったか、飲んだ後にどの程度落ち着いたか、眠気やふらつきが出たか、薬を使わずに過ごせた場面はあったか、使用回数が増えているか減っているか、などをメモしておくと役立ちます。

記録は細かく完璧につける必要はありません。診察のときに「最近は週に何回くらい使っている」「電車の前に使うことが多い」「飲むと眠気が出る」などを伝えられるだけでも十分です。

カレンダーに印をつけるだけでも十分な情報になります。印の密度が月ごとにどう変わっているかを見れば、増えているのか減っているのかがひと目で分かります。記録の目的は反省のためではなく、方針を決めるための材料を作ることです。

頓服を使いながら薬以外の対処法も増やす

頓服は強い不安をやわらげる助けになることがあります。しかし、頓服だけに頼りすぎないためには、薬以外の対処法も少しずつ増やしていくことが大切です。たとえば、不安が起こる仕組みを理解する、動悸や息苦しさを危険なサインと決めつけすぎない、睡眠不足や過労を避ける、カフェインや飲酒を見直す、不安な場面を少しずつ段階に分ける、避けていた行動を無理のない範囲で広げる、不安があってもできたことを記録する、といった取り組みが役立つ場合があります。

たとえば電車が怖い方では、最初から満員電車に乗るのではなく、空いている時間に一駅だけ乗る、ホームに短時間いる、家族と一緒に短い区間から始めるなど、段階を分けることがあります。電車への不安については電車に乗るのが怖い原因は?も参考になります。当院ではカウンセリング的なアプローチも組み合わせながら、こうした取り組みを一緒に進めていきます。

SSRI・SNRIと頓服の関係

不安症の治療では、SSRIやSNRIなどの薬が検討されることがあります。これらは不安やパニック発作が起こりにくい状態を目指して継続的に使用される薬で、効果を実感するまでに時間がかかることがありますが、治療を中長期的に支える役割があります。一方、抗不安薬の頓服は、強い不安が出た場面で一時的に症状をやわらげる目的で使われます。

治療初期には、SSRIやSNRIの効果が出るまでの補助として抗不安薬を一時的に併用することがあります。どの薬を使うか、どのくらい続けるかは、症状や体質、生活状況をふまえて医師が判断します。違いは抗不安薬とSSRI・SNRIの違いとは?をご覧ください。

この組み合わせでは、頓服の使用回数が、土台の効き具合を映す指標になります。SSRIが効いてくれば頓服の回数は自然に減っていくのが本来の流れです。逆に回数が減らない、あるいは増えているなら、土台のほうの見直しが必要というサインです。頓服の記録は、この判断にそのまま使えます。

頓服が必要になりやすい不安症

抗不安薬の頓服は、さまざまな不安症の治療で検討されることがあります。ただし、病気によって治療の中心は異なります。

パニック障害

パニック障害では、突然の動悸、息苦しさ、めまい、強い恐怖を伴うパニック発作が起こります。発作が強い時期や、発作への恐怖が生活を狭めている時期に、頓服が検討されることがあります。

全般不安症

全般不安症では、仕事、健康、家族、将来などへの心配が長く続きます。不安が強く、眠れない・落ち着かない・体調不良が続く場合に、薬物療法が検討されることがあります。ただし、不安が一日中続くタイプでは、頓服を繰り返すより定期的な治療を組み立てるほうが適していることもあります。

社交不安障害

社交不安障害では、人前で話す、会議で発言する、電話をする、注目されるといった場面で強い不安が出ます。特定の場面で不安が強い場合、治療方針の一部として薬物療法が検討されることがあります。場面が限られているぶん、頓服の使い方が治療の要になることもあります。人前での緊張や声の震えについては人前で緊張する・声が震えるのは社交不安障害?もご覧ください。

不安による不眠

不安で眠れない状態が続く場合、睡眠の治療と不安の治療をあわせて考えることがあります。不眠については不安で眠れない原因は?も参考になります。

頓服を使うときに注意したい副作用

抗不安薬の頓服では、眠気、ふらつき・めまい、注意力や集中力の低下、脱力感・反応が遅くなる、記憶があいまいになる、転倒のリスク、といった副作用に注意が必要です。これらは仕事、運転、機械操作、転倒リスクに関係します。特に、飲み始め、薬の変更後、増量後、睡眠不足のとき、飲酒したときは注意が必要です。服用後に眠気やふらつきが出る場合は、運転や危険作業を避ける必要があります。仕事や運転への影響が心配な方は、事前に医師に相談してください。

「出先で飲む」ときに考えておくこと

頓服は、外出先や職場で使うことが前提になりやすい薬です。だからこそ、飲んだあとにどう過ごすかを想定しておく必要があります。飲んでから車を運転して帰る予定はないか、その日のうちに機械を扱う作業があるか、階段の多い場所を歩くか。

とくに初めて使う場面は、影響の出方が読めません。可能であれば、休みの日など安全な状況で一度試しておくと、実際に必要な場面で安心して使えます。仕事の内容によって調整できることもありますので、業務の内容を診察でお伝えください。当院は産業医としての対応も行っています。

アルコールとの併用に注意してください

アルコールは一時的に不安をやわらげるように感じることがありますが、抗不安薬と併用すると、眠気、ふらつき、注意力低下、判断力低下が強く出る可能性があります。また飲酒によって睡眠の質が下がり、夜中に目が覚めやすくなったり、翌日の不安が強くなったりすることもあります。抗不安薬を処方されている方は、飲酒についても医師に確認してください。睡眠薬・抗うつ薬・市販薬との関係は抗不安薬の飲み合わせで注意する薬は?をご覧ください。

気をつけたいのが、会食や飲み会の場面です。緊張する集まりだからと頓服を使い、その場でお酒も飲む、という組み合わせは、まさに避けたいパターンです。前向性健忘といって、その時間の記憶があいまいになることもあります。どちらか一方にしてください。

頓服を持っているだけで安心する場合

抗不安薬の頓服は、実際に飲まなくても「持っているだけで安心する」という方もいます。強い不安が出たときの備えがあることで、外出や通勤に取り組みやすくなる場合があるためです。

ただし、薬を持っていないと外出できない、薬を忘れると強い不安になる、薬を飲まないと絶対に無理だと感じる場合は、薬への心理的な依存が強まっている可能性もあります。頓服を「安心材料」として役立てながらも、少しずつ薬以外の安心材料を増やしていくことが大切です。

「お守り」から「必需品」への境目

この二つの違いは、実際に飲む回数では測れません。手がかりになるのは、持っていないと気づいたときに何が起こるかです。

「まあ大丈夫だろう」と思えるならお守りの段階です。予定を取りやめる、家に取りに戻る、そのことが気になって集中できない、という状態なら、薬が行動の条件になり始めています。

ここで大切なのは、その段階でも取り上げる必要はないということです。むしろ、持たずに過ごせる範囲を少しずつ広げていく、という進め方があります。まず近所の買い物だけ持たずに行ってみる、といった小さな一歩からです。ほとんど飲んでいないから相談するまでもない、と考える必要はありません。

頓服を使わずに乗り切れた経験も大切です

不安症の治療では、頓服を使うことだけでなく、使わずに乗り切れた経験も大切です。「不安はあったが電車に一駅乗れた」「会議で一言だけ発言できた」「発作が来そうだったが時間とともにおさまった」といった経験は、回復の支えになります。

もちろん、無理に薬を使わず我慢し続ける必要はありません。不安が強く生活に支障が出ている時期には、必要に応じて頓服を使うこともあります。大切なのは、頓服を使った日も、使わずに過ごせた日も、どちらも治療の情報として振り返ることです。

使わずに乗り切れた経験には、記録に残す価値があります。人は、うまくいかなかったことのほうを覚えているものです。意識して書き留めておかないと、「いつも薬に頼っている」という印象だけが残ってしまいます。実際には自力で越えた場面も相当あるはずで、それを見えるようにしておくことが、次の一歩を支えます。

よくある質問

不安になったらすぐ飲んでよいですか?

医師からどのように指示されているかによります。軽い不安でも毎回すぐ飲む習慣になると、薬に頼る感覚が強くなることがあります。どの程度の不安で使うのか、どの場面で使うのかは、あらかじめ医師と確認しておくことが大切です。

頓服を飲んでも効かないときは追加してよいですか?

自己判断で追加することは避けてください。効果が不十分に感じる場合は、薬の種類、量、使うタイミング、治療方針を見直す必要があるかもしれません。追加服用が必要に感じることが続く場合は、早めに医師へ相談してください。

頓服を毎日飲んでしまっています。大丈夫ですか?

毎日飲んでいるからすぐに危険という意味ではありませんが、頓服として処方された薬を毎日使っている場合は、治療方針の見直しが必要なことがあります。自己判断で急に中止せず、使用頻度、症状、副作用、生活への影響を医師に伝えて相談してください。

頓服でも依存が心配です

頓服でも、使用頻度が増えたり、薬がないと行動できない感覚が強くなったりする場合は注意が必要です。ただし、依存が心配だからといって急にやめる必要はありません。使う頻度や場面を整理し、必要性を医師と一緒に確認していくことが大切です。

頓服を使いながら減らしていくことはできますか?

症状が安定し、薬以外の対処法が増えてくると、使用頻度を少しずつ減らすことを検討できる場合があります。ただし、急に減らすと不安や不眠が強くなることがあります。減らす場合は、医師と相談しながら段階的に進めることが大切です。

発作が起きたとき、すぐ飲むべきですか?少し待つべきですか?

処方の意図によりますので、まず主治医に確認してください。一般論として、パニック発作は多くの場合10分ほどでピークを越え、その後は自然におさまっていきます。そのため、少し様子を見てから判断するという使い方が検討されることもあります。これは我慢を強いるためではなく、自力で越えられる感覚を取り戻すための工夫です。

ほとんど飲んでいないので、相談するほどではないですよね

ご相談ください。飲む回数が少なくても、「持っていないと外出できない」という状態が続いているなら、それは治療上扱う価値のあることです。持たずに過ごせる範囲を広げていく、という進め方があります。

飲み会の前に頓服を使ってもよいですか?

抗不安薬とアルコールの併用は避けてください。眠気やふらつき、判断力の低下が強く出るほか、その時間の記憶があいまいになることもあります。緊張する場面での対応については、別の方法も含めて医師に相談してください。

受診を検討する目安

次のような状態がある場合は、精神科・心療内科で相談することを検討してください。

  • 抗不安薬の頓服を処方されたが、使い方が分からない
  • 頓服を飲むべきか迷ってしまう
  • 頓服の使用回数が増えている
  • 飲む場面が少しずつ広がっている
  • 薬を持っていないと強い不安になる
  • 薬を飲まないと外出や通勤ができない
  • 眠気やふらつきが気になる
  • 頓服を毎日のように使っている
  • 依存が心配で急にやめようか迷っている
  • パニック発作や強い不安で生活に支障が出ている
  • SSRI・SNRIなど他の治療選択肢について相談したい

抗不安薬の頓服は、使い方を整理することで治療の助けになることがあります。一方で、使い方があいまいなままだと、不安や依存への心配が強くなることがあります。頓服の使い方に不安がある方は、一人で判断せず相談することが大切です。受診をご希望の方は、WEB予約はこちらからご予約ください。

当院の特徴|女性医師・産業医在籍、土日も診療

みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分の通いやすい立地で、祝日を除き毎日、土日も診療しています。女性医師も在籍しており、女性の患者さんや、デリケートに感じる内容の相談もしやすい体制を整えています。また、当院理事長は日本医師会認定産業医であり、仕事のストレス、休職・復職、職場との連携についても対応しています。仕事のストレスや緊張する場面で頓服を使っている方は、適応障害とは?仕事のストレスで起こる心と体の不調もご覧ください。WEB予約のほか当日予約も可能です。

会社帰りの受診をお考えの方は会社帰りに通える心療内科をお探しの方へ|横浜・関内で夜間・土日も診療、当日予約に対応もご覧ください。

初診で伝えるとよいこと

抗不安薬の頓服について相談する場合、薬の名前といつから処方されているか、どのような症状に対して処方されたか、1回に飲む量と1週間に何回くらい使っているか、どの場面で使うことが多いか、飲んだ後の効果、眠気やふらつきなどの副作用、薬を使わずに過ごせる場面があるか・減らしたい気持ちがあるか、ほかに飲んでいる薬やサプリメント・飲酒の習慣、不安・不眠・気分の落ち込みの状態などを整理しておくと、診察が進みやすくなります。

薬の名前が分からない場合は、お薬手帳、薬袋、薬の写真などを持参してください。すべてをうまく説明できなくても問題ありません。初めて受診される方は横浜関内で心療内科を当日予約したい方へ|今日つらいときの受診目安と初診の流れ初診の方へ、受診前に確認したいことがある方はよくある質問もあわせてご確認ください。

横浜・関内で抗不安薬の頓服について相談したい方へ

抗不安薬の頓服は、強い不安やパニック発作を一時的にやわらげる目的で使われることがあります。外出、通勤、会議、発表、通院などが不安で難しい時期には、治療を進める助けになる場合があります。一方で、頓服であっても、使う場面や頻度が増えている場合、薬を持っていないと強い不安になる場合、眠気やふらつきが気になる場合には、使い方や治療方針を見直すことが大切です。

横浜・関内のみなとメンタルクリニックでは、不安症、パニック障害、社交不安障害、全般不安症、うつ病、不眠症、適応障害など、こころの不調全般の診療を行っています。「頓服をいつ飲めばよいか分からない」「依存が心配」「薬を減らしたいが不安」「パニック発作が怖くて外出しづらい」「今の薬の使い方を相談したい」といった方は、一人で判断せずご相談ください。

受診をご希望の方は、WEB予約はこちらからご予約いただけます。関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。みなとみらいエリアからも通院しやすい立地です。


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参考文献・情報源

本記事の内容は、抗不安薬・ベンゾジアゼピン受容体作動薬に関する以下の資料を参考にしています。


医学監修

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医・難病指定医)
医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北での精神科救急・被災地医療、神奈川での在宅医療を経て、現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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