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2026/06/24

加害恐怖とは|「誰かを傷つけたかも」という不安がつらいとき、横浜・関内の精神科医がやさしく解説

「車を運転していて、誰かをひいてしまったのではと、不安でたまらなくなる」「すれ違った人にぶつかって、けがをさせたのではと気になって戻ってしまう」「自分が誰かを傷つけてしまうのではという考えが、頭から離れない」——こうした「人を傷つけてしまうのでは」という不安に苦しんでいませんか。

こうした考えにとらわれると、「自分はなんて恐ろしいことを考えるんだ」と、深く自分を責めてしまう方が少なくありません。でも、どうか先にお伝えさせてください。そうした考えが浮かんでしまうことと、あなたが優しい人であることは、まったく矛盾しません。これは「加害恐怖」と呼ばれる、強迫性障害の症状のひとつかもしれません。このページでは、加害恐怖とはどのような状態なのかを、横浜市中区・関内のみなとメンタルクリニックがやさしくご説明します。強迫性障害そのものについては強迫性障害(OCD)とはのページもあわせてご覧ください。

加害恐怖とは

加害恐怖とは、「自分が誰かを傷つけてしまうのではないか」「すでに傷つけてしまったのではないか」という強い不安(強迫観念)にとらわれ、それを打ち消すために確認したり、特定の状況を避けたりせずにいられなくなる(強迫行為)状態をいいます。強迫性障害の症状のひとつで、本人の苦しみがとても大きいタイプです。

大切なのは、こうした考えが浮かぶのは、あなたが危険な人だからでは決してない、ということです。むしろ、「人を傷つけたくない」という気持ちが人一倍強いからこそ、その正反対の考えが頭にこびりついて、強い不安を生んでしまうのです。脳の不安のしくみが過敏になり、「もし傷つけてしまったら」という警報が鳴りやまなくなっている——そう理解していただくと、少し気持ちが楽になるかもしれません。

こんなことはありませんか

加害恐怖には、たとえば次のようなものがあります。

  • 車や自転車の運転中、「誰かをひいたのでは」と不安になり、来た道を確認しに戻る
  • 人とすれ違ったあと、「ぶつかってけがをさせたのでは」と気になってしかたない
  • 包丁やはさみなどの刃物を見ると、「誰かを傷つけてしまうのでは」という考えが浮かび、こわくなる
  • ニュースで事件を見ると、「自分がやってしまったのでは」と不安になる
  • 「傷つけていないか」を、家族や周りの人に何度も確認してしまう
  • 不安を避けるために、運転や外出、刃物を使うことを避けるようになる

どれも、根っこにあるのは「人を傷つけてしまったら、取り返しがつかない」という強い不安と、責任感の強さです。その不安をしずめようと確認するのに、確認すればするほど、かえって不安が強くなっていく——これが加害恐怖のつらいところです。

「こんな考えをする自分は、おかしいのでは」と思っていませんか

加害恐怖でいちばんつらいのは、症状そのものだけでなく、「こんな恐ろしい考えをする自分は、どこかおかしいのではないか」「人に言えない」という、深い孤独と自責かもしれません。誰にも相談できず、一人で抱えこんでいらっしゃる方がとても多くいます。

でも、もう一度お伝えします。「傷つけてしまうのでは」という考えに苦しむのは、あなたが加害的な人だからではなく、むしろ「絶対に傷つけたくない」という気持ちが強いからこそです。実際に行動に移したいわけではなく、その考えが浮かぶこと自体に強く苦しんでいる——これこそが、加害恐怖という症状の特徴です。あなたは危険な人ではありませんし、おかしくもありません。これは、治療でやわらいでいく、脳の不安の症状なのです。

どうして、確認しても安心できないのでしょう

「ちゃんと確かめたのに、どうしてまた不安になるの?」と思われるかもしれません。じつは、確認をくり返すことが、かえって不安を強めてしまう、という仕組みがあります。

確認して一時的に安心すると、脳は「確認したから安心できたんだ」と覚えてしまいます。すると次に不安が来たとき、「また確認しないと安心できない」と、ますます強く感じるようになります。こうして確認や回避がどんどん増え、悪循環が大きくなっていきます。この仕組みについては強迫観念と強迫行為|悪循環の仕組みのページでくわしくご説明しています。

加害恐怖の治療|当院は薬物療法を中心にサポートします

加害恐怖をふくむ強迫性障害は、適切な治療によって症状がやわらいでいきます。当院が中心とする薬物療法では、主にSSRIと呼ばれるお薬を用いて、脳のなかで過敏になっている不安のしくみにじっくり働きかけます。不安そのものがやわらいでくると、「傷つけてしまったのでは」という考えにとらわれる時間が少しずつ短くなり、「あの考えに、前ほど振り回されなくなってきた」と感じられるようになっていく方が多くいらっしゃいます。当院では、この薬物療法を中心に、一人ひとりの状態に合わせてていねいに治療を進めていきます。つらい考えの内容そのものも、診察のなかで安心してお話しください。

あわせて、不安に少しずつ慣れていく「曝露反応妨害法(ERP)」という行動的なアプローチもあります。これは専門的な技法を要するため当院では実施していませんが、必要に応じて、こうした治療を行う専門機関と連携しながら進めていきます。まずはお薬で不安の土台をやわらげていくことで、加害恐怖のつらさがぐっと軽くなっていく方が多くいらっしゃいます。治療の全体像は強迫性障害の治療のページもご覧ください。

こんなときは、どうぞご相談ください

次のようなことがあれば、一度ご相談いただくタイミングかもしれません。

  • 「誰かを傷つけたのでは」という不安で、確認をくり返してしまう
  • その不安から、運転・外出・刃物を使うことなどを避けている
  • こうした考えが頭から離れず、つらい時間が続いている
  • 誰にも言えず、一人で抱えこんでいる
  • つらさから、気分の落ち込みや眠れない日が続いている

これらは、一人でがまんし続けなくてよいサインです。お薬による治療で、加害恐怖のつらさは、やわらいでいくことが期待できます。誰にも言えなかった考えも、ここでは安心してお話しください。

当院の特徴|関内駅2分・平日夜間診療・当日予約対応・女性医師在籍

みなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分の通いやすい立地にあります。祝日以外は毎日診療しており、平日は夜19時まで診療しているため、お仕事帰りにも立ち寄っていただきやすい時間帯があります(土曜・日曜も診療)。当日のご予約にも対応していますが、枠の状況によってはご希望に添えない場合もございます。できるだけ同じ医師が継続して診療し、お薬についてもご納得いただきながら、不安なことを一緒に整理しながら進めることを大切にしています。女性医師も在籍し、保険適用の心理検査にも対応しています。うつ病、不安症、不眠症、自律神経失調症、適応障害、発達障害など、こころの不調全般を診療しています。

横浜・関内で、加害恐怖にお悩みの方へ

「誰かを傷つけてしまうのでは」という不安は、人に打ち明けにくく、深い孤独のなかで抱えこみやすいものです。でも、その考えに苦しむのは、あなたが優しい人だからこそ。そして、それは治療でやわらいでいく症状です。お薬の力も借りながら、つらい考えから少しずつ自由になっていきましょう。一人で抱えこまず、どうかいまの状態をお聞かせください。

横浜・関内のみなとメンタルクリニックは、関内駅から徒歩2分、桜木町駅・馬車道駅から徒歩5分。平日は夜間まで診療し、当日予約にも対応(枠状況によります)、みなとみらいエリアからも通院しやすいクリニックです。受診をご希望の方はWEB予約はこちらから。

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参考文献・情報源

本記事の内容は、強迫性障害に関する以下の公的機関・学会等の資料を参考にしています。記載は一般的な情報であり、個々の診断・治療に代わるものではありません。

医学監修

田邊 陽一郎(精神保健指定医・精神科専門医・日本医師会認定産業医)

医療法人鴻志会 みなとメンタルクリニック 理事長。秋田大学医学部卒業後、東北の精神科救急・被災地医療、神奈川の在宅医療を経て現職。うつ病・不安障害・睡眠障害・認知症などを中心に診療。

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